北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで

北里大学病院整形外科における正当性のない不要な右膝切開術に因る重篤な後遺障害、人体実験的行為、非人道的行為に対する最高裁判所の前代未聞の重大な事実誤認及び重大な誤判確定

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅳ章

第Ⅰ はじめに
1.北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅱ章にて記載のとおり、民事訴訟提起前後・告訴前後・行政処分等申立書提出前後、筆者身辺における不審・不穏な事態が続発・頻発した。かかる事態が発生したことはこれまで一切無かった。
2.平成30年4月上旬頃、不審者が、筆者と高齢の母を待ち伏せ、つきまとい、立ち退こうとせず、また、正当な理由無く、筆者らの住居付近をうろついたり、自転車に乗ったまま右脚を地面に降ろし筆者の家を覗き込んでいたり、自転車で走行して来て外出する高齢の両親を見ると引き返し自転車に乗ったまま右脚を地面に降ろし同両親を見据え、さらに、筆者の進路に立ち塞がって立ち退こうとせず、金属性の先端が尖った器具を持ちこれを15cm程の至近距離で筆者の右腹部に向けた。
 不審者らが筆者とその高齢の家族らに重大な危害を加える危険性のある事態が発生している事実を明記しておく必要がある。
第Ⅱ 追随行為(軽犯罪法1条28号)・脅迫罪(刑法222条)等
第1 執拗なつきまとい
1.平成30年4月中旬、午前7時30分ころ、筆者の母がゴミを出すために家を出て、筆者らの住居から20m程離れたごみ集積所に近づくと、同ごみ集積所路上において、ペン状のものとA4用紙を持った不審な男が無言で同母に近寄って来た。異変を感じた同母は急いで帰宅した。
2.平成30年5月8日、午前7時51分ころ、筆者の母がゴミを出すために、ごみ集積所に行ったところ、同ごみ集積所路上において、ペン状のものとA4用紙を持った不審な男(年齢30代、身長170cmくらい)が、「一寸お尋ねしますが。」と声をかけ、同母に近寄って来た。
 同母は急いで自宅方向に向かった。不審な男は、筆者らの自宅前まで付きまとった上、持っていたペン状のものを同母の右肩辺りに突き付けようとした。これに気づいた筆者は、大声で「お母さん。危ない!」と叫んだ。
 不審な男は、「一寸道を聞こうと思っただけだ。」と言い、足早に去って行った。
 同日、午後12時8分ころ、筆者ら住居付近交差点近くの路上にウィンカーも作動させず白い車が停車していた。同交差点近くの歩道を歩行中の買い物帰りの筆者の母が同車を見ると、同車は急発進した。その時、同母と同車との距離は6m程であった。
 同車はその後Uターンし再び停車、ウィンカーも出さなかった。不審に思った同母は植え込みの間から同車を見たが同車は動かなかった。暫くして、同母が帰路につくため、停車中の同車方向に5m程歩き始めたところ、同車は再び急発進し走り去った。
3.平成30年6月14日、午後2時16分ころ、筆者ら住居付近路上において、自転車に乗った不審な男(55~60歳くらい)が、筆者ら住居付近を正当な理由無く約7分間うろつき、筆者の高齢の両親を至近距離で凝視するなどし、不安を覚えさせた。
4.平成30年8月20日、午前7時38分ころ、筆者の母がゴミを出すために、ごみ集積所に行ったところ、植え込みの陰に潜んでいた不審な男(年齢30代、身長165cmくらい)が、ペン状のものとA4用紙を持ちながら、「一寸聞きますが。」と言い突然現れた。
 驚いた同母は走って帰宅した。不審な男は追って来なかったが、この時、筆者は、ごみ集積所辺りから「ちょっとすみません。ちょっと、ちょっと」と大声で叫んでいる男の声を聞いた。
 待ち伏せた上でのつきまといであり、不穏な事態である。そこで、同母は近隣住民に聞いて回ったが、誰もかかる不穏な事態に遭っていなかった。
 同日以降5ヵ月間、同母に代わり近隣の住民がゴミ出しを行ってくれた。
5.平成30年9月7日、午前11時35分ころ、筆者とその母はかかりつけ医を受診するため、同医院近くのバス停で下車した。下車後、筆者らの後方に、こちらの歩調に合わせる、名札らしきものをつけた男(年齢40代、身長160cmくらい)がいた。
 同男は同医院の入口まで来たが入室せず外で立ったままであった。25分程経過しても同男が入室しないので、不審に思った同母は同医院待合室から、その不審な男の動静に注意を払っていた。
 筆者が診察室に入った後に、不審な男は同医院に入り、同母が携行し同医院内玄関に置いていたカートを触り始めた。不審な男は、同カートを触った後、待合室にも入らず受診せず同医院を出て行った。
第2 脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ
1.平成30年10月6日、午後2時20分ころから午後3時30分ころまで、欧米風の不審な白人男(年齢50代、身長185cmくらい、黒のサングラス、半袖黄色のアロハ風シャツ、半ズボン)が、金属性の先端が尖った7cm程のペン状のものをちらつかせながら、買い物中の筆者とその母につきまとった。
 また、不審な白人男は、筆者の進路に立ち塞がって立ち退こうとせず、持っていた前記ペン状のものを15cm程の至近距離で筆者の右腹部に向け、筆者の生命・身体に危害を加える態度を示し脅迫した上、その後も筆者ら住居付近路上において筆者らを待ち伏せしていた。
 脅迫・追随行為・待ち伏せの時系列経緯は次のとおりである。
2.脅迫・追随行為・待ち伏せの時系列経緯
(1)平成30年10月6日、午後2時20分ころ、筆者とその母が、筆者ら住居付近のAスーパーに入店したところ、ほぼ同時に、前記不審な白人男が、金属性の先端が尖った7cm程のペン状のものをちらつかせながら、筆者らに至近距離で4回接近し、つきまとった。
 不審な白人男は、買物カゴを持たず店内を移動し、買い物を一切することなく同スーパーを退店した。
 筆者らがAスーパーを退店したのは、午後2時32分ころであった。
(2)同日、午後2時36分ころ、筆者らは、Aスーパー近くのBドラッグストアに入店した。買い物を済ませ、午後2時40分ころ、同ドラッグストアを退店したところ、同ドラッグストア駐車場付近路上において、前記不審な白人男が、傍らに自転車を置き、筆者らを凝視していた。
 筆者らが帰路につかず東側方向にあるCスーパーに向かったところ、不審な白人男は直ぐに自転車に乗り東側方向に向かって行った。
(3)同日、午後2時45分ころ、筆者らは、Bドラッグストア近くのCスーパーに入店した。ほぼ同時に、前記不審な白人男もCスーパーに入店した。
 不審な白人男は、金属性の先端が尖った7cm程のペン状のものを持ち、買物カゴを持たず店内を移動し、殺気立った様子で、不安を与えるようなしかたで筆者らにつきまとった。その間約20分。同店内5か所で筆者らに至近距離で接近した。
 そして、不審な白人男は筆者の進路に立ち塞がり立ち退かず、金属性の先端が尖った7cm程のペン状のものを15cm程の至近距離で筆者の右腹部に向けたので、危害が加えられるかもしれないと恐怖を感じた。他の買物客が現れると、不審な白人男はその場を離れた。
 不審な白人男は、買物を一切せず退店し自転車に乗り立ち去った。
 同日、午後3時8分ころ、筆者らはCスーパーを退店した。
 不審な白人男の挙動が異様であったので、筆者らはバス利用で帰路についた。バスを利用すれば、脅迫や執拗なつきまといを回避できると思った。
(4)同日、午後3時30分ころ、筆者らは、筆者らが通常乗降するバス停にて下車した。
すると、同バス停目の前のベンチに、前記不審な白人男が座り、筆者らを凝視していた。不審な白人男は、傍らに自転車を置き、筆者らを待ち伏せしていた。
 明らかに異常であり、筆者らは同バス停から自宅まで無事に帰宅できないという恐怖を感じた。
 筆者らは危機的状況にあると考え、近隣の住民に迎えを頼んだ。筆者が電話をかけるなどしている間、不審な白人男は筆者らを凝視していたが、暫くして、自転車に乗りその場を去った。
(5)その後、当該近隣住民は迎えに来てくれたが、「私たちも危険な目に遭う。身の安全の保障は無い。巻き添えに遭いたくない。警察を呼んで対処して下さい。」と注意された。
(6)同日、午後3時55分ころ、筆者は帰宅後直ぐに、茅ケ崎警察署に電話をし、前記不審な白人男による脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の被害を訴えた。しかし、対応に出た者は、筆者に「土日(当日は土曜日)は担当がいないので、来週の平日10月9日(10月8日は祭日)来署」を指示した。
(7)同日、午後4時過ぎころ、筆者は、Aスーパー及びCスーパーに電話をし、前記不審な白人男による脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の被害状況を伝え、店内防犯カメラ映像記録保存を依頼した。
(8)10月9日午前11時ころ、筆者とその母は茅ケ崎警察署を訪れ、被害状況を訴えた。同日、茅ケ崎警察署員が筆者宅を訪れ、その後、防犯カメラ映像を確認するためにCスーパーに行った。
 Cスーパーの防犯カメラに、筆者の進路に立ち塞がっている前記不審な白人男がはっきりと映っている事実及び不審な白人男の画像を撮影したことを茅ケ崎警察署員から聞いた。
第Ⅲ 筆者らの命を狙う目的不明
第1 筆者らの命を狙う目的不明
1.筆者のデータ・右膝レントゲン画像・右膝MRI画像等を見た医師らは、「初診医は誰だ。今時こんなことやっているのか。」と怒りを露わにしている(北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅰ章)。
 つまり、北里大学大学病院医師・看護師らによる筆者に対する行為は、治療行為ではなく、人命軽視の人体実験的行為である。
2.ところが、後記のとおり、民事・刑事・行政のいずれにおいても責任は追及されなかった。
3.にもかかわらず、前記のとおり、筆者らの命が狙われているのである。
第2 筆者らの命を狙う目的不明ー民事関係
1.最高裁判所にて敗訴
 民事訴訟にて筆者が敗訴したので、脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の嫌がらせを受ける理由は無い。まして、筆者とその家族らの命が狙われる理由は一切無い。
2.和解打診・勧試一切無し
(1)平成25年4月18日、筆者は東京地裁に訴状を提出し、同時に、訴訟進行に関する照会書(東京地方裁判所民事第30部)の「7 和解について」の照会事項について、「条件次第である」にレ印を付け、和解での解決も考えた。
(2)しかし、東京地裁、東京高裁のいずれにおいても、和解の打診・勧試は一切無かった。
3.裁判所に和解の意思一切無し
(1)東京地裁民事第30部 菅野雅之裁判長訴訟指揮により、裁判所から、直接筆者に争点整理案・争点整理メモが送信されることは無く、被告代理人弁護士に迂回させ、同案・同メモを筆者に送信した(北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅰ章参照)。
東京地裁民事第30部から被告代理人弁護士に送信されたメールにある大熊義久は、東京地裁民事第30部合議係 裁判所書記官である。
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(2)ところで、被告代理人弁護士がメール添付にて筆者に送信した争点整理案・争点整理メモの文末にある「(被告の主張)損害の発生を否定し、その評価を争う。」との記載を見た実際に見た弁護士は、「この裁判は、(損害賠償金を)一切支払わないパターンである。」と筆者に説明した。
(3)要するに、裁判所には、「和解」の意思は全く無かったのである。
第3 筆者らの命を狙う目的不明ー刑事関係
1.横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分・嫌疑なし
北里大学病院医療過誤事件につき、傷害罪・殺人未遂罪は成立しなかった(北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅱ章参照)。
2.横浜第二検察審査会による「本件不起訴処分は相当である。」との議決
(1)北里大学病院医療過誤事件についての横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分に対し、筆者は横浜検察審査会に審査申立書原本を送付した。審査申立てを受理した横浜第二検察審査会は、「本件不起訴処分は相当である。」との議決をした(北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅱ章参照。)。
(2)前記横浜第二検察審査会の議決によって、
■医師が治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしないこと
■医師が患者の救命救急措置を講じないこと
■医師が治療しないことに因る死の結果発生の危険性を認識しながら意図的に治療をしないこと
■医師が治療途中に必須の治療を終了することに因る障害発生を認識しながら意図的に必須の治療を終了すること
■患者の承諾なく医師が身体器官を消失・切除・切断すること
■医師が不法に切開等手術をすること
■医師が治療不可能な程度にまで重篤な後遺障害を負わせること
■医師が意図的に多剤耐性菌を産生させること等、
医師による常識を大きく逸脱した行為認容の判断をしたことになり、これらは、「国民の常識」ということになる。
3.要するに、刑事事件にならなかったので、脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の嫌がらせを受ける理由は無い。まして、筆者とその家族らの命が狙われる理由は一切無い。
第4 筆者らの命を狙う目的不明ー行政関係
1.厚生労働省による行政処分無し
 厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係 担当者成田(後任 岩永)は、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)及び証拠書類一式を医道審議会に提出しなかった。
 その結果、北里大学病院医療過誤事件につき、行政処分は行われなかった。
 よって、脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の嫌がらせを受ける理由は無い。まして、筆者とその家族らの命が狙われる理由は一切無い。
2.行政処分等申立書に対する厚生労働省の対応
(1)平成29年2月6日、筆者は厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係 担当者成田に電話をし、北里大学病院医療過誤につき概略を説明した。
 筆者は前記成田に「架空」の病院(茅ケ崎病院整形外科)における「架空」の診断(両変形性膝関節症)に基づく「架空」の治療歴(関節穿刺)のカルテ記載があり、また、最高裁にて右膝MRSA感染経路を「架空」とする重大な事実誤認が判決として確定した事実、治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実、治療途中に必須の治療を終了した事実、院内感染防止対策を怠った事実等を伝えた。
 同成田は筆者に行政処分等申立書を提出するように返答した。
(2)平成29年2月7日、筆者は、前記成田宛に行政処分等申立書原本(平成29年2月7日付)及び証拠書類を送付した。
(3)平成29年2月8日、筆者は、前記成田に電話をした。
 カルテに「架空」の病院における「架空」の診断に基づく「架空」の治療歴の記載があることについて、同成田は、「事実関係を確認する。」と回答した。
(4)刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱うことになっている(「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」(厚生労働省医道審議会医道分科会(平成14年12月13日付、平成24年3月4日改正、平成27年9月30日改正、平成29年9月21日改正))。
 平成29年7月7日横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分及び平成29年12月19日横浜第二検察審査会による議決の結果(不起訴処分相当)を踏まえた上で、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)を補充すべく、平成30年1月15日、筆者は、前記成田宛に補充書面(平成30年1月15日付)、上申書(平成30年1月15日付)、診断書(平成29年5月24日付)等を送付した。
(5)平成30年1月31日、筆者は、前記成田に電話をし、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)は医道審議会に提出されているかどうかを確認した。
 同成田は、「医道審議会行政処分等申立書(同上)は提出しない。医道審議会に諮れるようなものではない。不起訴処分になったものについては医道審議会に出せない。」旨返答した。
 筆者は、同成田に、一例として、「行政処分等申立書に明記した北里大学病院医師らの行為について、カルテや診療録等を実際に見た弁護士・医師らは、治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実、治療が終わっていないにもかかわらず障害発生を認識しながら意図的に必須の治療を終了した事実等、刑事事件となる事案であると説明した。」旨を伝え、医道審議会に対する行政処分等申立書(同上)提出の必要性を主張し訴えた。
 これに対し、同成田は、「検討します。」と返答した。
(6)平成30年2月5日、筆者は、前記成田に電話をし、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)及びそれに付随する証拠書類一式について、医道審議会に提出する時期を尋ねた。
 同成田は、「現段階では答えられないです。」と返答した。
(7)平成31年1月10日、筆者は、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)及びそれに付随する証拠書類一式の医道審議会への提出の有無について確認すべく、厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係に電話をした。
 前記成田は、平成30年4月1日付で異動となり、後任は、岩永であった。
 筆者は、対応に出た同係 満保に行政処分等申立書(同上)提出の経緯及び北里大学病院医療過誤事件の概略等を伝え、同係 岩永への取り次ぎを依頼した。
 しかし、前記満保は、「司法の判断が正しいので、厚生労働省はそれに従う。岩永も同じ内容になるので時間の浪費になる。」と返答した。
(8)要するに、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)は医道審議会に提出されることは無かった。
 行政処分等申立書(同上)が医道審議会に提出されない限り、行政処分はなされない。行政処分がなされなかったので、処分行政庁である厚生労働省が不正と評価・認識している事案につき、北里大学病院について不問に付した。
第5 以上のとおり、北里大学病院医療過誤につき、民事訴訟について敗訴し、また、刑事事件とならず不起訴処分となり、さらに、行政処分は行われなかった。
 よって、脅迫・執拗なつきまとい・待ち伏せ等の嫌がらせを受ける理由は無い。まして、筆者とその家族らの命が狙われる理由は一切無い。
 

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅲ章ー2

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅲ章ー1に引き続き、上告受理申立理由書(平成27年9月6日付)の第Ⅳ部以降、上告理由書(平成27年9月6日付)等について記載したいと思う。
第Ⅳ部 再審事由
 原判決には、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断を遺脱した違法があり、判断の遺脱によって、審理の尽くされていない部分が存在することになり、その部分についての判断が欠けることになるので、理由不備の違法がある。
 また、UK医師の虚偽証言が判決の証拠となり、偽証部分は右膝障害の結果について直接言及していることから原判決の結論に影響を及ぼすものである。
 これらの違法は、原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである(民訴法338条1項7、9号、民訴法325条2項)。
第1章 判断の遺脱(1)
第1 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
 本件病院入院後、「MRSA関節炎」に罹患し、本件病院入院時、「MRSA関節炎」に罹患していなかった主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これらについて判断の遺脱がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由10)。
第2 原判決の問題
 原審は、新たに提出した証拠に基づく主張について、何らの判断も加えないで、申立人の請求を棄却した。
第3 申立人が原審(控訴審)にて新たに証拠を提出した経緯
1.原審(一審)は、2009年06月分診断群分類決定票の「後発疾患MRSA関節炎」及び平成21年6月レセプト傷病情報に、「入院後発症傷病名MRSA関節炎」と記載がある甲A27号証及び甲A55号証について、同号証の証明力を否定するに足りる特段の事由がない限り同号証の証明力を否定することは許されないところ、かかる特段の事由を認定することなく同号証をいずれも排斥し、証拠として採用しなかった(一審判決29頁)。
2.そこで、申立人は、レセプトの「入院後発症傷病名」の定義を記載した書証である厚生労働省保険局医療課作成の「DPC/PDPS傷病名コーディングテキスト」及び「入院医療のための保険診療ガイド」を証拠として原審(控訴審)にて新たに提出した(甲B164号証、甲B165号証)。
 甲B164号証及び甲B165号証には、「入院後発症傷病名」とは、「入院後に発症した傷病名であり入院時にはなかった傷病名である。」ことが記載されている。
 申立人は、本件病院入院後、「MRSA関節炎」に罹患し、本件病院入院時、「MRSA関節炎」に罹患していなかった主要事実を再度主張した(平成27年4月29日付控訴理由書42~43頁)。
3.これについて、原判決は何らの判断をすることなく結論に至った。
 また、甲A27号証、甲A55号証、甲B164号証及び甲B165号証の評価は、訴訟の勝敗を決する重要なものであり、同号証の証明力を否定するに足りる特段の事由がない限り同号証の証明力を否定することは許されないところ、かかる特段の事由を認定・説示することなく同号証を全て排斥した。これは民訴法253条1項3号違反である。さらに、同号証を全て排斥したことは、採証法則に反し、民訴法247条違反である。
第4 申立人(控訴人)の新たな証拠の提出による主張に対する相手方(被控訴人)の明白な答弁がないこと
1.本件病院入院後、「MRSA関節炎」に罹患し、本件病院入院時、「MRSA関節炎」に罹患していなかったことを証明する新たな証拠を提出し、これに基づいて申立人(同上)が主張した主要事実に対し、相手方(同上)は明白な答弁をしていない。これは民訴規則79条3項違反である。
2.また、明白な答弁をしていないことにより、擬制自白が成立する(民訴法159条1項)。上告審は、原審で適法に確定した事実に拘束されるから、擬制自白に当然拘束される(民訴法321条1項)。
3.なお、相手方(同上)が明白に答弁をしないことについて、原審は、釈明権を行使してこれを促すべきであったところ、これを怠った違法がある(民訴法149条)。
第5 小括
 以上のことから、本件病院入院時MRSA関節炎に罹患しておらず、かつ本件病院入院後MRSA関節炎に罹患した主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項であり、これについて判断を遺脱した違法がある。この違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、原判決は、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第2章 判断の遺脱(2)
第1 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
 MRSA感染症を確実に治癒するためには、TDM(薬物動態解析報告書)を適切に実施することである。
バンコマイシン投与によるMRSA関節炎の有効率は、「100%」であり、MRSA骨髄炎のそれは「81.4%又85.7%」である(甲B66号証、甲B54号証)。
 TDMの重要な要素である「採血時刻(トラフ値測定)」に関する主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由11)。
第2 原判決の問題
 原審は、新たに提出した証拠に基づく主張について判断することなく、申立人の請求を棄却した。
第3 申立人が原審(控訴審)にて新たに証拠を提出した経緯
1.原審(一審)は、「TDMのための採血が午前6時30分に実施されたと認めるに足りる証拠はない。」と認定した(一審判決40頁)。
2.そこで、申立人は、TDMのための採血が午前6時30分頃実施されたことを証明する証拠となる書証、「整形外科病棟の日程表」を原審(控訴審)にて新たに提出した(甲A99号証の1~2)。
3.5月18日TDMに、「血中濃度12.5(投与前)」と記載がある(乙A1号証の97頁)。TDMには「投与前」と記載があるが、採血時刻が「6時30分頃」であったことから、「投与後」である。
要するに、血中濃度「12.5μg/ml」とあるのは、「投与前」の「トラフ値」ではなく「投与後」の「ピーク値」である。
ピーク値が「12.5μg/ml」では全く奏功しないことから、TDMは不適切である主要事実を再度主張した(平成27年4月29日付控訴理由書55~56頁)。
4.これについて、原判決は判断することなく結論に至った。
第4 申立人(控訴人)の新たな証拠の提出による主張に対する相手方(被控訴人)の明白な答弁がないこと
1.5月18日TDMの採血時刻が「6時30分頃」であったことを証明する新たな証拠を提出し、これに基づいて申立人(同上)は、TDMは不適切である主要事実を主張したことに対し、相手方(同上)は明白な答弁をしていない。これは民訴規則79条3項違反である。
2.また、明白な答弁をしないことにより、擬制自白が成立する(民訴法159条1項)。上告審は、原審で適法に確定した事実に拘束されるから、擬制自白に当然拘束される(民訴法321条1項)。
3.なお、相手方(同上)が明白に答弁をしないことについて、原審は、釈明権を行使してこれを促すべきであったところ、これを怠った違法がある(民訴訟149条)。
第5 TDMについて
1.TDM実施にあたり、目標濃度域は重要な要素である。すなわち、「標的組織」を正確に把握することが重要である。申立人が「5月18日骨髄炎に罹患している」ことは、5月14日撮影の右膝造影MRI検査から明らかである(甲A60号証の1~4)。
2.ところで、原審(一審)は、「原告が5月18日時点で骨髄炎を発症していたと認めるに足りる証拠はなく、」と認定している(一審判決40頁)。
3.しかし、「5月14日撮影の右膝造影MRI画像」(甲A60号証の1~4)から、「5月18日時点で骨髄炎を発症していた」事実がある。右膝造影MRI画像の証明力を否定するに足りる特段の事由がない限り、同号証(甲A60号証の1~4)の証明力を否定することは許されない。
 よって、5月14日撮影の右膝造影MRI画像から、5月18日「骨髄炎」に罹患している事実と異なる事実認定は、経験則に反する(民訴法247条)。
 なお、湘南東部総合病院整形外科NH医師は診断書に、「右化膿性膝関節炎(MRSA)骨髄炎」と明記し、6月17日に申立人に同病名を告げた旨を同診断書に記載した(甲A78号証)。
本件病院でMRSA骨髄炎に罹患し、これが治癒しなかったことから、「5月18日時点で骨髄炎を発症していた」事実は明らかであることを念のために記載する。
4.5月18日骨髄炎罹患を事実認定していないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決の認定判断には、経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
5.「5月18日骨髄炎罹患の事実認定」に違法があり(民訴法247条)、また、「整形外科病棟の日程表」を証拠として採用せず、「投与後のピーク値」を「投与前のトラフ値」と認定し、「バンコマイシンの投与について不適切な点は認められない」とした原審の判断には、採証法則に反する違法がある(民訴法247条)。
6.要するに、違法な認定判断に基づきながら、さらに、事実認定の違法があり、これらを前提としたうえで、原判決が「バンコマイシンの投与について不適切な点は認められないことは前記引用部分で説示のとおりであるから、控訴人の当該主張は採用することはできない」と認定判断しているのであるから、この判断にも違法があるというべきである(原判決6頁)。
その結果、審理の尽くされていない部分が存在することになり、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法がある。
第6 小括
 以上のことから、MRSA骨髄炎の治療に対し、TDMの重要な要素である「採血時刻(トラフ値測定)」に関する主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項であり、これについて判断を遺脱した違法がある。この違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、原判決は、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第3章 判断の遺脱(3)
第1 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
 本件第2手術説明同意書が偽造された主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由12)。
第2 原判決の問題
 原審は、新たな主張に基づく事実について判断することなく、申立人の請求を棄却した。
第3 申立人が原審(控訴審)にて新たにした主張の経緯
1.原審(一審)は、「本件第2手術説明同意書が偽造されたものということはできない。」と認定し、その根拠を「本件病院における説明同意書が複写式でなく、別々に署名されたことが認められる。」と認定した(一審判決46頁)。
2.そこで、申立人は、本件病院の手術説明同意書は「複写式」であることを証明するために、本件病院の手術説明同意書及び説明同意書を提出した上でこれらが「複写式」であることを主張し、また、説明同意書とは社会通念上、「複写式」であるという経験則があること等を主張した(甲A39号証、甲A41号証、甲A67号証、甲A96号証)(平成27年4月29日付控訴理由書81~82頁)。
3.これについて、原判決は何らの判断をすることなく結論に至った。
第4 申立人(控訴人)の新たな主張に対する相手方(被控訴人)の明白な答弁がないこと
1.申立人(同上)の新たな主張に対し、相手方(同上)は、理由を記載せず明白な答弁をしていない。これは民訴規則79条3項違反である。
2.また、理由を記載せず明白な答弁をしないことにより、擬制自白が成立する(民訴法159条1項)。上告審は、原審で適法に確定した事実に拘束されるから、擬制自白に当然拘束される(民訴法321条1項)。
3.なお、相手方(同上)が理由を記載せず明白に答弁しないことについて、原審は、釈明権を行使してこれを促すべきであったところ、これを怠った違法がある(民訴法149条)。
第5 「本件第2手術説明同意書」(乙A1号証の57頁)は、偽造文書であること
1.私文書の成立の真正が確定されるのは、本人またはその代理人の署名または捺印が存在している場合であり、この場合に限られる(民訴法228条4項)。
本人またはその代理人の署名または捺印が存在しない文書には、民訴法228条4項の適用はない。
2.申立人が所有している「本件第2手術説明同意書の原本」には、署名及び拇印がない(甲A38号証)。
よって、署名及び拇印のない「本件第2手術説明同意書の原本」(甲A38号証)の成立の真正を推定することは、民訴法228条4項違反である。
したがって、「本件第2手術説明同意書」(乙A1号証の57頁)は偽造されたものである。
3.申立人は、「本件第2手術説明同意書」(乙A1号証の57頁)が偽造文書であることを書証否認等理由書に理由を明示しこれを主張した(平成26年6月16日付、平成26年11月27日付)(民訴規則145条)。
第6 小括
 本件第2手術において、一切の説明なく大腿骨内側顆約5cm切開を新たに加えた。
 また、A/S(関節鏡視下手術)での治療はしない方針であると証言したUK医師が本件第2手術において関節鏡を使用し、本件第2手術直後から持続洗浄を実施しなかったことに因る生命存続の危機に関わる等相当の問題がある。
 さらに、本件第2手術説明同意書(乙A1号証の57頁)が「偽造文書」である主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項であり、これについて判断を遺脱した違法がある。この違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、原判決は、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第4章 判断の遺脱(4)
第1 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
 申立人がVRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者になった主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由13)。
第2 原判決の問題
 申立人は、原審(一審)が事実摘示に、「VRSA患者」になったというきわめて重大な事実を記載していないことを指摘し、これを主張した(平成27年4月29日付控訴理由書3頁)。
 ところが、原審(控訴審)は、申立人の再度の主張にもかかわらず、「VRSA患者」になったというきわめて重大な事実について事実摘示しておらず、かつ「VRSA患者」になった主要事実の主張に対し、何ら判断をすることなく、申立人の請求を棄却した。
第3 申立人(控訴人)の主張に対する相手方(被控訴人)の答弁がないこと
1.申立人(同上)の主張に対し、相手方(同上)は、答弁をしていない。これは、民訴規則79条3項違反である。
2.相手方(同上)が答弁をしていないことにより、擬制自白が成立する(民訴法159条1項)。上告審は、原審で適法に確定した事実に拘束されるから、擬制自白に当然拘束される(民訴法321条1項)。
3.なお、相手方(同上)が答弁をしないことについて、原審は、釈明権を行使してこれを促すべきであったところ、これを怠った違法がある(民訴法149条)。
第4 「VRSA」患者になった事実
1.平成21年8月27日、湘南東部総合病院整形外科NH医師は、主治医意見書に、「右膝感染悪化の可能性あり。膝 MRSA 感染有り」と記載した(甲A4号証)。
2.平成24年7月4日、感染症専門医 FT医師(市立堺病院総合内科、京都大学医学部臨床教授)は、「全ての抗MRSA薬は奏功せず使用不可能な状態にあります。右膝MRSA感染症に対する治療は一切できません。右膝関節内にMRSAが常在・休眠している病態にあります。いつでも右膝MRSA感染再燃悪化する可能性があります。」と診断し、申立人は、「VRSA患者」であることを示唆した(甲A89号証)。
3.平成24年7月30日、関東労災病院整形外科TK医師は、本件病院での抗菌薬投与歴及び6月10日本件病院撮影の右膝レントゲン画像を確認した後、「全ての抗MRSA薬は奏功せず使用不可能である。右膝MRSA感染症に対する治療は一切不可能な病態にある。右膝関節内にMRSAが常在・休眠している病態にある。いつでも右膝MRSA感染再燃悪化する可能性があり、その際、骨切り固定術又は切断を考慮するが当院(関東労災病院)では引き受けることは出来ない。」と診断し、申立人は、「VRSA患者」であることを示唆した(甲A90号証)。
第5 小括
 以上のことから、「VRSA」患者になった主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項であり、これについて判断を遺脱した違法がある。この違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、原判決は、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第5章 判断の遺脱(5)
第1 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
 HN医師が申立人の自己決定権を侵害し、転医先を「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」と決定し、また、「右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性があること」を説明せず、さらに、診療情報提供書に、「右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性があること」について一切記載をせず、転医先に対し申立人の病状及び必要な治療について十分な情報を提供しなかった説明義務違反及び転医義務違反があり、その上、UK医師がこれを黙認した主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由14)。
第2 原判決の問題
 原審は、HN医師が申立人の自己決定権を侵害し、右膝MRSA感染治療には不適切な医療機関・診療科を転医先と決定し、診療情報提供書に正確な病状・必要な治療法を一切記載せず、十分な情報を提供しなかった注意義務違反及び転医義務違反に関する主要事実の主張に対し何ら判断をすることなく、申立人の請求を棄却した。
第3 申立人(控訴人)の主張に対する相手方(被控訴人)の答弁がないこと
1.申立人(同上)の主張に対し、相手方(同上)は、答弁をしていない。これは、民訴規則79条3項違反である。
2.相手方(同上)が答弁をしていないことにより、擬制自白が成立する(民訴法159条1項)。上告審は、原審で適法に確定した事実に拘束されるから、擬制自白に当然拘束される(民訴法321条1項)。
3.なお、相手方(同上)が答弁をしないことについて、原審は、釈明権を行使してこれを促すべきであったところ、これを怠った違法がある(民訴法149条)。
第4 説明義務違反及び転医義務違反があること
1.憲法13条違反
(1)HN医師が転医先を相模台病院精神科閉鎖病棟又は相模台病院精神科としたことについて、申立人が強く拒否の意思表示をしたにもかかわらずこれを無視して決定した。これは自己決定権の侵害であり憲法13条違反である。
(2)転医に際し、本件病院医師らは、申立人にMRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性を説明しなかった。説明義務違反である。これは憲法13条違反である。
2.転医義務違反
 本件病院医師らは、転医先である湘南東部総合病院整形外科に対し、申立人の病状及び必要な治療方法について十分な情報を提供することなく転医させた。これは、転医義務違反である。
診療情報提供書には、「右膝MRSA感染中であること」及び「バンコマイシン継続投与の必要性」について記載しなければならないが、これらの記載がない(甲A43号証)。
第5 民法415条の解釈適用の誤り
 転医に際し、右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性について説明義務を怠った説明義務違反がある。これを認定しない原審の判断には、診療契約上の説明義務について民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
第6 小括
 以上のことから、申立人の自己決定権を侵害し不適切な転医先を決定した主要事実、正確な病状・必要な治療法を説明しなかった主要事実、診療情報提供書に正確な病状・必要な治療法の記載が一切なく正確な情報を提供しなかった主要事実及びUK医師がこれらを黙認した主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項であり、これらについて判断を遺脱した違法がある。この違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、原判決は、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第6章 判断の遺脱(6)
 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があること
1.本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)が医療水準に反する行為である主要事実は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由15)。
2.本件第1手術の説明義務違反は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由16)。
3.ステロイドプレドニン)及びザイボックスについての添付文書違反は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由17)。
4.問診義務違反及び経過観察義務違反は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由18)。
5.本件第1手術と右膝障害の結果との間の因果関係は判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由19)。
6.骨の感染、本件病院入院中の骨髄炎罹患、右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失の主要事実はいずれも判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これらについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由20)。
7.本件第2手術直後から4時間もの間、持続洗浄を実施せず申立人をベッドに寝かせず床上約160cmの高さに設置された担架状様に放置した主要事実は、判決に影響を及ぼすべき重要な事項である。これについて判断の遺脱がある。よって上告受理を求める(上告受理申立て理由21)。
第7章 虚偽証言が判決の証拠となったこと(民訴法338条1項7号)
第1 はじめに
 原判決は、UK医師の虚偽の証言が判決の証拠となっている。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由22)。
第2 右膝障害の結果の原因
 UK医師は、右膝障害の結果の原因について、「治療は、うまく継続されていないのではないかと思います。」と証言し、必要な治療は「バンコマイシンの継続投与であった。」ことを証言した。自白である(U証人調書40頁)(下線は申立人による。)。
裁判所はその自白に拘束され、自白どおりの事実認定をしなければならない。UK医師の自白した事実は証明する必要がない。証明不要効である(民訴法179条)。
第3 原判決の問題
 バンコマイシンを継続投与しなかったことが右膝障害の結果の原因であるという確定事実がある以上、バンコマイシンを継続投与しなかった経緯を解明する必要がある。
 ところが、原判決はバンコマイシン投与中止の経緯について判断をしていないかまたは一審判決を是認している。
第4 バンコマイシン投与終了決定及びザイボックス処方経緯
1.申立人は、これまでバンコマイシン投与終了を決定したのは本件病院医師らであることを準備書面にて再三主張してきた。
2.UK医師は、バンコマイシン投与終了決定及びザイボックス処方経緯について虚偽の証言をした(U証人調書19、40頁)。
3.申立人は、UK医師の虚偽証言及びバンコマイシン投与終了決定・ザイボックス処方経緯について、「尋問調書・陳述書について」(平成27年2月5日付)と題する書面に記載し、同書面を陳述した(平成27年6月3日の本件第1回口頭弁論期日)。
 また、申立人は、バンコマイシン投与終了決定及びザイボックス処方経緯についての認定判断の誤りを平成27年4月29日付控訴理由書に記載した。
4.原審は、バンコマイシン投与終了を決定したのは本件病院医師らであると主張する申立人の主要事実を排斥した。
その結果、UK医師の虚偽証言を採用し、これが判決の証拠となっている。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民訴法247条違反
(1)抗菌薬投与・細菌培養一覧の「    」欄から、ザイボックス処方及びバンコマイシン投与終了は、「6月11日」であることを特定することができる(甲A21号証)。
 6月11日、本件病院医師らは、申立人にザイボックスを朝夕2回(1200:1錠600mg×2)処方し、申立人は、「6月11日の朝食後」からザイボックスを服用した(甲B69号証)。 
 本件病院医師らがバンコマイシン投与終了を決定したので、6月11日のバンコマイシン投与歴は「ない」。これを証明する証拠となる「抗菌薬投与・細菌培養一覧」を採用しないことは、採証法則に反する。採証法則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
(2)UK医師は、「(バンコマイシン投与について)朝晩通っていただければ点滴もできますよという話もしたんですが」と証言した(U証人調書40頁)。
 しかし、申立人は右足の親指がかろうじて反応するのみであり、車椅子の移乗にも介助が必要であったところ、高齢の両親(当時、父  歳、母  歳)の介護を受けながら、自宅から本件病院まで車で「片道2時間強」をバンコマイシン継続投与のために毎日「1日2回」通院することは、社会通念上の常識をはるかに超えている。常識的経験則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
 よって、UK医師の前記証言が虚偽であることは明らかである。常識的経験則に反する違法な認定を前提としたうえで、ザイボックス処方経緯を認定判断しているのであるから、この判断にも違法がある(民訴法321条1項)。
(3)また、ザイボックスの処方経緯についてUK医師は、「そのメディカルスタッフとみんなで話し合いが持たれたみたいですけれども」と証言した(U証人調書19頁)。
 6月11日MT開始時刻は、「17:30過ぎ頃」である。MT中、MT参加者の一人であるMK病棟係長が、ザイボックス取り扱い業者に連絡をとるために電話をしたが、「18:00」を過ぎていたので連絡がとれなかった。よってMT開始時刻の特定は可能である(下線は申立人による。)。
 申立人は6月11日の朝食後にザイボックスを既に服用していたことから、UK医師が証言するところの「話し合い」の後に「ザイボックス」処方を決定したのではない。時系列整合性がなく、論理法則に反する。論理法則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
 UK医師は虚偽の証言をしている。
 論理法則に反する違法な認定を前提としたうえで、ザイボックス処方を認定判断しているのであるから、この判断にも違法がある(民訴法321条1項)。
(4)要するに、バンコマイシン投与終了決定及びザイボックス処方経緯の事実認定には、採証法則・常識的経験則・論理法則に反する違法があり、違法な認定を前提としたうえで、バンコマイシン投与終了決定及びザイボックス処方を認定判断しているのであるからこの判断にも違法がある(民訴法247条、民訴法321条1項)。
2.民訴法149条違反
 6月11日、朝食後に、K看護師が申立人に「ザイボックス」を直接手渡しした事実がある。
そこで、原審は、申立人に対し、K看護師の証人尋問について証拠申出をするかどうかについて釈明権を行使すべきであった。
 原審がこのような措置に出ることなく、本件病院医師らがバンコマイシン投与終了を決定し、かつザイボックス処方を決定した主要事実についての申立人の主張を排斥したのは、釈明権の行使を怠った違法がある(民訴法149条)。
第6 小括
 以上によれば、バンコマイシン投与終了の責任の所在について判断をしていないかまたは一審判決を是認した原判決は、民訴法247条、民訴法149条に違反する。これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在することになり、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法がある。
 また、バンコマイシン投与終了について、UK医師の虚偽の証言が判決の証拠となっている。虚偽の証言に証拠能力はない。これらの違法は判決に影響を及ぼすことは明らかである。
第Ⅴ部 結論
 以上のとおり、原判決は、明らかにこれまでの最高裁判所判例と相反する判断をしており、憲法11条、13条、14条1項、25条に違反し、民法415条、709条、645条、民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法があり、民訴法149条、151条1項5号、159条、179条、228条4項、247条、253条1項3号、321条1項、民訴規則79条3項、国際人権B規約7条、医師法23、24条、医師法施行規則23条、医療法1条の4第1,2項、療養担当規則16、20条5項、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律5条に違反し、また、判断の遺脱等の再審事由がある。これらの法令違反は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は破棄されるべきである。
 よって、本上告受理の申立てをする。
                                     以上
                     附属書類
上告受理申立理由書副本                       7通
平成27年(ネオ)第544号 損害賠償請求上告事件
上告人  筆者
被上告人 学校法人 北里研究所
上告理由書
                              平成27年9月6日
                             上告人 筆者
頭書の事件について、上告人は、次のとおり上告理由を提出する。
理由要旨
第Ⅰ部 憲法違反
1.憲法14条1項違反
 医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」は、「当時の医学文献等の記載内容が医療水準である」ことが具体的に設定され判例法理として既に確立している(最高裁判所第3小法廷昭和57年3月30日判決(集民第135号563頁)、最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日判決(民集第50巻1号1頁)、最高裁判所第3小法廷平成9年2月25日判決(民集第51巻2号502頁))。
 しかし、医療水準についての原審の判断はこれとは全く異なる。
原審の判断を判決として確定させることは、医療水準について2つの異なる法律判断の存在を認めることになる。医療水準に対する2つの異なる法律判断によって、2つの異なる判断がなされることは、法の下の平等を規定する憲法14条1項に違反する(上告理由1)。
2.憲法13条違反
(1)医師が独自の見解に基づく独自の治療方法を独断で決定し、患者に治療方法を選択させる機会を一切与えないことは自己決定権の侵害であり、憲法13条違反である(上告理由2)。
(2)医師が患者に検査結果を故意に隠蔽することは、説明義務違反である。自己に関する情報を得ることなく自己決定権を行使することはできない。よって、説明義務違反は自己決定権の侵害であり、これは憲法13条違反である(上告理由3)。
(3)医師が患者に正確な病状及び必須の治療を説明しないことは、説明義務違反であり、憲法13条違反である(上告理由4)。
(4)患者の自己決定権は、どのような治療を受けるかについての決定権は、拒否する権利を含めて保障されている。自己決定権の侵害は憲法13条違反である(上告理由5)。
(5)患者の意思に反して転医や退院を強制することは、患者の自己決定権侵害であり、これは憲法13条違反である(上告理由6)。
(6)医師が患者は死んでも構わないとして治療をしないことは、生命に対する権利侵害であり、これは憲法13条違反である(上告理由7)。
3.憲法11条違反
 瀕死の容態にある患者に対する拷問とも言える医療の名に値しない行為は、人間の尊厳を著しく侵すものであり、これは憲法11条違反である(上告理由8)。
4.憲法25条違反
(1)医師が重篤な病態にある患者の容態が更に増悪していく過程を、「あれあれっと思って」いながらこれをただ漫然と観察するに留まることは、その職務上の使命の遂行に著しく欠けるものがあるというべきである。
 また、必須の治療を判っていながらこれを実施しないことは医師としての職務を全うしていない。
よって、医師としてなすべきことをなさないことは、患者が健康である権利を著しく侵害することであり、これは憲法25条違反である(上告理由9~10)。
(2)VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者となったことに因り、右膝MRSA感染再燃悪化の場合、生命存続の危機に常に曝露され、内心の静穏な感情を害され、焦燥・不安の精神的苦痛に強いられている状態は、社会通念上その限度を超えるものであり、VRSA患者にまで至らしめたことは、上告人が健康である権利を著しく侵害することであり、これは憲法25条違反である(上告理由11)。
(3)治療とならない医師の行為は、上告人の健康を否定することである。これは、憲法25条違反である(上告理由12)。
第Ⅱ部 絶対的上告理由
第1章 判決裁判所の構成違反
 原判決の判決原本には、裁判官の署名押印がないから、民訴法312条2項1号の絶対的上告理由に該当する(上告理由13)。
第2章 理由不備
1.上告人が原審において新たに提出した証拠に基づく主張が、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」に記載されていない。
 よって、原審として独自に判断した内容が記載されていない。判断がされていないので、これに対する理由の記載もなく理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由14~16)。
2.証拠の評価が訴訟の勝敗を決するような証拠である書証を排斥する理由を明示していない理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由17)。
3.証言に矛盾があるにもかかわらず、どのような理由でその証言を認定判断の資料となったのかを明示していない理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由18~19)。
4.判断の理由が不明であり、理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由20~22)。
第3章 理由齟齬
1.争点となっている主要事実について、「当時者間に争いがない。」として記載し、一方で「「なお、持続洗浄が開始された時期については、後記のとおり争いがある。」を加える。」と記載しており、意味不明であり理由齟齬がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(判決2頁)(上告理由23)。
2.判断に矛盾があるので、その判断に対する理由に食い違いがあり、理由齟齬がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由24~25)。
上告の理由
【本件の概要】
第1 事案の概要
 本件は、平成21年(以下、平成21年であるときは、その記載を省略する。)4月24日右膝痛が増強したとして、被上告人の開設する北里大学病院(以下「本件病院」という。)整形外科を受診したところ、本件病院医師ら(本件病院にて上告人の診療にあたった医師及び看護師らを総称して、「本件病院医師ら」という。)による医療水準に反する本件第1手術(デブリドマン・持続洗浄)の結果、上告人をMRSA右化膿性膝関節炎、骨の感染、MRSA右膝骨髄炎に罹患させ、本件病院医師らの不適切な抗菌薬投与により、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者に至らしめ、その結果、右膝MRSA感染症に対する治療は不可能な状態に陥り、右下肢 膝関節 機能全廃となり、MRSA右膝慢性骨髄炎に至った(甲A1号証、甲A2号証)。
 また、右膝は悪化するのみであり、右膝疼痛は増強し、右膝MRSA感染再燃悪化の場合には生命の保証はなく、骨切り固定術又は切断を苦慮する病態に陥っているとして、上告人は被上告人に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償として、治療関係費、逸失利益、慰謝料等の合計1憶2000万円及びこれに対する平成25年5月2日(訴状送達日の翌日)から支払済まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める事案である。
第2 原判決の問題
1.原判決には憲法違反がある。
2.原判決には判決裁判所の構成違反がある。
3.上告人が原審にて新たに提出した証拠等による複数の主張が、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」に記載されていない。
 よって、原審として独自に判断した内容を記載していないので、これらに対する理由の記載もない。理由不備がある。
(1)「本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時にはMRSA関節炎に罹患していなかった主要事実」について判断がされていないので、理由の記載もない。主文を導き出すための理由の一部が欠けており、理由不備の違法がある。
(2)TDM実施のための採血時刻から、TDMに記載のある「12.5μg/ml」は、「投与前」のトラフ値ではなく、「投与後」のピーク値となる。
よって、TDMは不適切である。原判決は、「ピーク値」を「トラフ値」と前提としたうえで判断をしている。
要するに、「TDMの採血時刻」からTDMは不適切である主要事実については判断がされていないので、理由の記載もない。理由不備の違法がある。
(3)「本件第2手術説明同意書(乙A1号証の57頁)が偽造された主要事実」について判断がされていないので、理由の記載もない。理由不備の違法がある。
4.原判決は、認定事実と異なる証拠となる書証を採用せず、採用しなかった理由を明示していない理由不備の違法がある。
5.UK医師が、4月30日に右膝MRSA感染を認識し、同日バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を証言し、自白した。
バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を容認する原審の判断は問題であり、かかる判断の理由を明示していない理由不備の違法がある。
6.骨髄炎罹患を示す「右膝MRI画像」、右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失を示す「右膝MRI画像」、ARDS発症を示す「胸部レントゲン画像」、看護記録改竄・隠蔽を証明する上告人元代理人弁護士3名ら作成による「証拠保全申立書」、「補充書面」、「電話聴取書」等の書証は具体的・客観的なものである。
 原審は特段の事由を認定することなくこれらをいずれも採用せずに、上告人の主張事実を排斥した理由不備の違法がある。
 とりわけ、看護記録改竄・隠蔽は、本件病院医師らの主張・証言・陳述に対する信用性の判断に大きな影響を及ぼすものである。看護記録改竄・隠蔽部分は、本件第2手術後の争点に相当する事項を含むものである。
7.原判決には、判断に矛盾があるので理由にも食い違いがあり、理由齟齬の違法がある。
8.原判決は、上告人の主張に対し判断をしていない部分がある。そこで、原判決が判断していない部分については一審判決を踏襲したものとみなし、これに対し憲法違反、理由不備及び理由齟齬について述べる。
第3 小括
 原判決は、憲法11、13、14条1項、25条に違反し、判決裁判所の構成違反がありこれは民訴法312条2項1号の絶対的上告理由に該当し、理由不備及び理由齟齬がありこれらは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当し、違法であるから、破棄されるべきである。
第Ⅰ部 憲法違反
第1章 憲法14条1項違反
 本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)は、医療水準に反する医療行為である。
そこで、医療水準に従った医療行為を受ける患者とそうでない患者が混在することになる。これは、法の下の平等を規定する憲法14条1項に違反する。本件病院医師らは、上告人に対し医療水準に反する医療行為を実施した。これは憲法14条1項違反である(上告理由1)。
第2章 憲法13条違反
第1 自己決定権侵害(1)
1.本件病院医師らは、「化膿性膝関節炎の疑い」に対する治療方法を独自の見解に基づいて独自の方法を独断で決定したので、上告人にはいかなる治療方法を選択するかについて、選択の余地が全くなかった。これは自己決定権の侵害であり、憲法13条違反である(上告理由2)。
2.化膿性膝関節炎の疑いの治療方法は、「抗菌薬の静脈投与」であることに対し、UK医師は、「私の中では正しいとは思えないです。」と証言して医学界に異を唱え、医学文献に記載のある持続洗浄方法について、「それは、もうその教科書を書いた方たちの意見なので。」と証言して医学文献に記載のある内容を完全に無視し、A/S(関節鏡視下手術)での治療方法について、「僕らは化膿性膝関節炎に対しては、関節鏡視下にはやらない方針でいます。」と証言した(U証人調書24、26、60頁)。
 医学文献にある記載内容を完全に無視して独自の見解に基づく独自の理論を展開し独断で治療方法を決定し、また、平均的医師でさえ行わない本件病院医師ら独自の見解に基づく独自の治療方法を実際の医療で実施することは許されない。
 純粋に実験室の中で行われる「医学」と他人との権利義務関係が生じる「医業」とは全く別であるから、「医業」の中では、「当時の医学文献の記載内容」である客観的行為規範に則って、医療行為を実施しなければならない。
第2 自己決定権侵害(2)
 4月24日、UK医師は、「緊急入院して緊急手術を実施しないと死亡する。運の悪いことに検査技師が連休で検査はできない。」と上告人及びその家族らに説明し、当日判明の検査結果を故意に隠蔽した。
 当日判明の検査結果である「滑膜炎、グラム染色陰性」の説明があれば、上告人はこれらの意義を理解しているので、本件第1手術を明確に拒否していた。
 UK医師が4月24日当日判明の検査結果を故意に隠蔽したことにより、本件第1手術を明確に拒否するという自己決定権を侵害された。自己決定権の侵害は、憲法13条違反である(上告理由3)。
第3 自己決定権侵害(3)
1.6月11日17:30過頃MT、HN医師は、上告人及びその家族らに対し、「右化膿性膝関節炎は良くなっている。関節内に菌はないが、右膝MRSA感染を予防するためにザイボックスを服用し続ける必要がある。」と説明した。この旨は同日の同医師カルテに記載がある。
2.ところが、UK医師は、「(6月11日時点)右膝MRSA感染は陰性化しておらず、治療の途中であり、バンコマイシンの継続投与が必要な状態にあった。治療は、うまく継続されていないのではないかと思います。」と証言し、右膝障害の結果の原因は、6月11日時点においてバンコマイシンを継続投与しなかったことであることを証言した(U証人調書19、20、40頁)。
3.つまり、HN医師は、上告人及びその家族らに対し事実と全く異なる説明をした。
 その結果、6月11日、上告人は自身が右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与が必要な状態にあることを知ることができなかった。
 知る権利を侵害された上告人は、必要な治療であるバンコマイシン継続投与を受けなければならないという自己決定権を侵害された。
 知る権利の侵害及び自己決定権侵害は、憲法13条違反である(上告理由4)。
第4 自己決定権侵害(4)
1.本件第2手術直後グラム陽性菌検出を家族から知らされた上告人は、5月2日午前、UK医師に対し「バンコマイシン投与開始ですよね。」と念のために確認したところ、同医師は、「バンコマイシンは投与しない。ステロイドパルス療法を優先する。」と返答した。
 これに対し、上告人は感染中のステロイド投与は感染増悪をもたらすのでステロイドを投与しないように、ステロイド投与拒否を明確に意思表示しこれを伝えたうえで、バンコマイシンを投与するように訴えた。
2.しかし、同医師はこれを無視し、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)を実施した。
 ステロイドパルス療法(ステロイド投与)を実施し、バンコマイシンを投与しなかったことは、自己決定権の侵害である。自己決定権侵害は、憲法13条違反である(上告理由5)。
第5 自己決定権侵害(5)
1.6月10日、HN医師は転医先を「相模台病院」と決定した。6月11日午前、HN医師は上告人に対し、転医先を「相模台病院精神科閉鎖病棟」と決定したと説明した(甲A26号証、甲A43号証)。
 これに対し、上告人は、同医師に対して前記転医先への転院拒否を明確に意思表示し、これを伝えた。
 なお、診療情報提供書発行経緯について同医師は、虚偽の証言をしている(H証人調書8頁)。
2.HN医師が転医先を「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」と決定したことは、自己決定権の侵害である。自己決定権の侵害は、憲法13条違反である(上告理由6)。
第6 生命に対する権利侵害
 本件第2手術直後から持続洗浄を実施すべきところ、本件第2手術直後から4時間、持続洗浄を実施しなかったことは、上告人の生命を危機的状況に陥らせる危険性があった。UK医師は、「持続洗浄を実施しないと、菌が全身を駆け巡り死亡する。」と説明した。
 上告人が、Y看護師に対し持続洗浄を実施しないことに因る「死の恐怖」を訴えたことに対し、同看護師は、「(死んでも)どうでもいい。持続洗浄は実施しないことになっている。  さんは治療の対象になっていない。治療をしないことになっている。」と返答し、O看護師はこれを黙認した。
 持続洗浄を実施しないことに因る「死亡の可能性」を認識しておきながらこれを実施しなかったことは、上告人の生命存続を否定することであり、生命そのものが失われることによって自由も幸福の追求の保障も意味をなさない。
 持続洗浄を実施しなかったことは生命に対する権利侵害であり、これは、憲法13条違反である(上告理由7)。
第3章 憲法11条違反
 人間の尊厳の不可侵性は、基本的人権の中核をなす普遍的権利である。
本件病院医師らが本件第2手術直後から4時間、瀕死とも言えるきわめて重篤な容態にあった上告人をベッドに寝かせず、床上160cm程の高さにある担架状様に放置し、持続洗浄を実施しないことに因る「(死ぬかもしれない)死に隣接した激甚な恐怖」及び「落下の恐怖」を与え続けたことは、上告人の尊厳を著しく侵すものである。これは、憲法11条違反である(上告理由8)。
第4章 憲法25条違反
1.4月30日、本件病院医師らは、右膝MRSA感染に対し、バンコマイシン投与の必要性を認識・把握しておきながらこれを実施せず、これに因る右膝MRSA感染増悪をも認識していた。
 これはUK医師が「(4月30日に)右膝MRSA感染を認識しバンコマイシンを投与しないことによって右膝MRSA感染が増悪する。」ことを証言したことから明らかである(U証人調書32、34頁)。
 憲法13条が保障する生命に対する権利は、生存の質をも保障するものであり、生命は心身ともに健康でなければ、生存の質を確保することは不可能であるから、健康も憲法上保障されるものである。憲法25条は、「健康で文化的な生活」を保障する。
 よって、4月30日、右膝MRSA感染増悪を認識・把握しておきながら、バンコマイシンを投与しなかったことは上告人が健康であることを否定することである。これは、憲法25条違反である(上告理由9)。
2.6月11日、右膝MRSA感染が陰性化しておらず、バンコマイシン継続投与の必要性があったにもかかわらず、バンコマイシンを継続投与しなかった。
 これはUK医師が、「バンコマイシンを継続投与しなかったことが現在の右膝の障害の原因である。」ことを証言したことから明らかである(U証人調書40頁)。
 6月11日、右膝MRSA感染が陰性化しておらずバンコマイシンを継続投与しなかったことは、上告人が健康であることを否定することである。これは、憲法25条違反である(上告理由10)。
3.本件病院医師らの上告人に対する不適切な抗菌薬投与に因り、上告人は全ての抗MRSA薬に耐性・無効であるVRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者となった。
 その結果、右膝MRSA感染再燃悪化の場合には、使用できる抗菌薬が存在しないので、生命存続の危機に常に曝露されている状態である。
 よって、上告人は、内心の静穏な感情を害され、右膝疼痛増強に苦しみながら、焦燥・不安の精神的苦痛を強いられている。
 上告人のデータ・病態を把握している医師らが、「爆弾を抱えていると思って生活していくしかない。」と説明しているとおり、社会通念上その限度を超える精神的損害を生じているものである。このような状態では心身は健康とはいえない。
 本件病院医師らに因る、正当性・必要性・妥当性のない本件第1手術及び不適切な抗菌薬使用によってVRSA患者となったことは上告人が健康であることを否定することである。これは、憲法25条違反である(上告理由11)。
4.治療にならないことは、上告人の健康を否定することである。
(1)UK医師は、バンコマイシン血中濃度の意義を理解していない。
 これについて、同医師は、「ここに「L」と書かれていること自体は、よく分かりません。」と証言した(U証人調書35頁)。
(2)UK医師は、セファゾリンの投与量及び投与間隔について基本的知識が欠落している。
セファゾリンの投与間隔は8時間である(抗菌薬毎に投与間隔が異なる。)。
 これについて、同医師は、「そういう8時間というのはその正確な値かどうかは分かりませんけれども、ある程度、うん、ちょっとそこら辺は確かではありません。僕の知識の中では。」と証言し、
 また、セファゾリンの投与量について、同医師は、「うちの施設では、術前の投与で術前の30分前に2グラム投与しています。」と証言した。予防的抗菌薬を「2g」としておきながら、上告人の治療として同剤を「1g」に減量したことは全く不明である(U証人調書25頁)。
(3)UK医師は、国内外を問わず、MRSA骨髄炎治療に必要なバンコマイシンのトラフ値は、「15~20μg/mL」であることを理解していない。
 これについて、同医師は人種別を引き合いに出して、「日本人量がこれで正しいのかというと、そうではないと思います。」と証言した。MRSA感染症の治療に人種別は無関係である(U証人調書36頁)。
(4)CRP(29.75)が高度上昇し続けていることに対し、UK医師は、「あれあれっと思ってはいるわけですよね。ただ、あれあれっと思っていても、」と証言したが、患者によっては既に「死亡」レベルの数値であるところ、これを「あれあれっと」上告人の容態が急速に重篤化しているのをただ漫然と観察しているのみでは治療にはならない(U証人調書32頁)。
(5)UK医師は、持続洗浄機器の使用方法を理解していないのではないかと思われる。
本件第1手術後、持続洗浄が逆流・停滞していたことに対し、「よくあることなんだよね。」とややおどおどした口調で言い、逆流・停滞を放置したままであった。
 逆流は、4月29日の「INチューブ」が混濁していることから明らかである(甲A16号証の1)(「INチューブは生理食塩水で満たされているから、本来透明でなければならない。」)。
 化膿性膝関節炎は、「整形外科疾患」ではなく、「内科救急疾患」である。UK医師の本件病院での持続洗浄による治療成績は「22例23関節」のみである(U証人調書26頁)。
(6)以上のとおり、UK医師は、基本的な検査数値、抗菌薬の投与量・投与間隔及びMRSA骨髄炎治療に必要なバンコマイシンのトラフ値を理解していない。
かかる状況の下では治療にはなっておらず、これは上告人が健康であることを否定することである。
 これは、憲法25条に違反するのみならず、生命に対する権利を保障する憲法13条に直接違反するものである(上告理由12)。
第Ⅱ部 絶対的上告理由
第1章 判決裁判所の構成違反(民訴法312条2項1号)
 原判決の判決原本には、裁判官の署名押印がないから、民訴法312条2項1号の絶対的上告理由に該当する(上告理由13)。
 平成27年7月21日、上告人は東京高等裁判所記録閲覧謄写室にて訴訟記録を閲覧・謄写した。その際、謄写した原判決原本を「原判決原本の謄写」と題する書面として提出する。
第2章 理由不備(民訴法312条2項6号)
第1 原審にて新たに提出した証拠等に基づく主張に対して、原審は、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」として記載していない。判断をしていないので理由の記載がなく、理由不備がある。
1.「診断群分類決定票」及び「レセプト」は、本件病院入院後MRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時MRSA関節炎に罹患していなかった主要事実を証明する証拠となる書証である。
 ところが、原審(一審)は特段の事由を示すことなく、これら書証の証明力を否定して排斥し、本件病院入院後に右膝MRSA感染した事実を否定した(甲A27号証、甲A55号証)(一審判決29頁)。
 そこで、上告人は、本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時MRSA関節炎に罹患していなかった主要事実を証明する証拠となる書証である「厚生労働省保険局医療課作成DPC/PDPS傷病名コーディングテキスト」及び「入院医療のための保険診療ガイド」を控訴審にて新たに提出した(甲B164号証、甲B165号証)。
 本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患した主要事実を証明する証拠は、訴訟の勝敗を決する重要な書証である。
 本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時にはMRSA関節炎に罹患していなかった主要事実について、原審は、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」として記載していない。
 また、原審は特段の事由を認定することなく、甲A27号証、甲A55号証、甲B164号証、甲B165号証を排斥し、本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時にはMRSA関節炎に罹患していなかった主要事実を認定判断せず、理由の記載がない。理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由14)。
2.TDMが不適切である主要事実に対し、原審(一審)は、「TDMのための採血が午前6時30分に実施されたと認めるに足りる証拠はない。」と認定した(一審判決40頁)。
 そこで、上告人は、「整形外科病棟の日程表」を提出し、「12.5μg/mL」とあるのは、「投与前」のトラフ値ではなく、「投与後」のピーク値であるから、TDMは不適切であることを主張した。
 バンコマイシンMRSA関節炎に対する有効率が100%であることからすれば、TDMが適切であったか否かは主要事実であり、訴訟の勝敗を決する重要な事項である(甲A99号証の1、乙A1号証の97頁)。
 適切なTDMを実施するためには正確なトラフ値を測定する必要があり、採血時刻は重要な事項である。
 ところが、原審は、TDMの採血時刻について「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」として記載していない。判断をしていないので理由の記載がなく、理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由15)。
3.本件第2手術説明同意書(乙A1号証の57頁)が偽造された主要事実について、原審(一審)は、「本件病院における説明同意書が複写式ではなく、別々に署名されたことが認められる。」と認定した(一審判決46頁)。
 そこで、上告人は本件病院における説明同意書は、「複写式」であることを証明する証拠を提出し、本件第2手術説明同意書(乙A1号証の57頁)は偽造された文書であり、偽造文書により本件第2手術は実施されたことを再度主張した。
 上告人が所有している本件第2手術説明同意書(甲A38号証)には、「署名及び拇印」がないことからすれば、複写式であるはずの説明同意書が「2種類」存在することは不自然である。
 原審は、説明同意書が「2種類」存在する合理的な理由を明示していない(甲A39号証、甲A41号証、甲A67号証、甲A96号証)。
 要するに、本件第2手術説明同意書(乙A1号証の57頁)が偽造文書であると主張する主要事実について、原審は、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」として記載していない。判断をしていないので、理由の記載がなく理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由16)。
第2 認定事実と矛盾する以下の書証を排斥した理由を明示していない理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由17)。
1.「骨の感染」であることが明記されている本件病院医薬品適正使用ラウンド(甲A22号証)。
2.「骨髄炎罹患」を示す右膝MRI画像(甲A60号証の1~4)。
3.「本件病院入院後に右膝MRSA感染」した証拠である診断群分類決定票の「後発疾患MRSA関節炎」及びレセプトの「入院後発症傷病名MRSA関節炎」並びにこれら用語の定義を記載した厚生労働省保険局医療課作成DPC/PDPS傷病名コーディングテキスト及び入院医療のための保険診療ガイド(甲A27号証、甲A55号証、甲B164号証、甲B165号証)。
4.「MRSA骨髄炎に対しザイボックスを使用すべきではないこと」が明記された国内外の医学文献等(甲B31号証、甲B56号証、甲B102号証、甲B103号証)。
5.「右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失」を示す右膝MRI画像(甲A60号証の1~4)。
6.「ARDS発症」を示す胸部レントゲン画像(甲A62号証、甲A63号証、甲A64号証、甲A65号証、甲A66号証)。
7.「骨髄炎」罹患を証明する診断書(甲A78号証)。
8.「看護記録改竄・隠蔽」を証明する証拠となる、上告人元代理人弁護士3名ら作成による証拠保全申立書、補充書面、電話聴取書(甲C11号証、甲C20号証の1)。
9.「診療録の不備」を示すカルテ(乙A1号証の16~26頁)。
第3 証言に矛盾があるにもかかわらず、どのような理由でその証言を認定判断の資料となったのかを明示していない理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する。
1.4月24日、UK医師は、「化膿性膝関節炎の疑い」の段階で「緊急性」を強調し、翌日の4月25日、本件第1手術を実施した。
 ところが、UK医師は、4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与せず、同日バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識・把握し、かつ本件第2手術を直ちに実施することなく、5月1日23:45まで右膝MRSA感染に対する一切の治療を開始しなかった(U証人調書33、34頁)。
 要するに、4月25日に「化膿性関節炎の疑い」で「緊急性」を強調し、本件第1手術を実施した。
 一方、4月30日に「右膝MRSA感染」を認識・把握しておきながら、これに対する治療を一切開始せず、「緊急性」を否定している。
 原審は、どのような理由でUK医師の証言、すなわち、「化膿性膝関節炎の疑い」の時点で、本件第1手術を直ちに実施する「緊急性」を認定判断の資料としたのかを明示していない。理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由18)。
2.4月24日本件病院入院時、関節液の培養検査結果が判明しておらず、当然のことながら「菌」の同定は不可能である。
 よって、4月25日本件第1手術時点において、「化膿性膝関節炎の疑い」であり、「菌」の存在は全く不明である。
UK医師は、「先ほどお話したように菌が検出されていない」と証言した。菌の同定結果が判明していないので当然である。
 ところが、UK医師は、「お話したようにこんだけ菌がいて、これだけの抗菌薬で戦うのは難しいから、これをこのくらいにしましょうということで第1回の手術をしました」と証言した(U証人調書10、31頁)。
「菌」は検出されていないと証言したUK医師の供述は、尋問の途中から「菌」が存在することに話が「すり替わって」しまっているのである。
 UK医師の供述は曖昧模糊かつ脈絡がなく完全に意味不明である。
 4月24日及び25日採取の関節液その他培養検査結果が「全て陰性」である証拠があるにもかかわらず、どのような理由で「UK医師の菌がいる」との証言が認定の根拠となったのか明示しておらず、理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由19)。
第4 判断の理由が不明
1.本件第2手術を直ちに実施しなかった理由を明示していない。
(1)本件第2手術の説明及び5月1日造影MRI検査の説明について、UK医師は、「私はしていません。」と証言した。自白である。本多知成裁判長もこれを確認した(U証人調書52頁、平成27年4月29日付控訴理由書73頁)。
 よって、原判決が、「翌5月1日、患者及び家族への説明や検査を行って上で本件第2手術を実施したものであり、」と認定することはできない。
 裁判所は自白に拘束される。
 したがって、右膝MRSA感染を認識・把握した4月30日当日、本件第2手術を直ちに実施すべきであったと主張する上告人の主張を排斥する判断は違法である(判決6頁)。
 要するに、違法な事実認定を前提としたうえで判断しているのであるから、この判断にも違法がある(民訴法179条、民訴法321条1項)。
(2)そうすると、本件第2手術を「5月1日23:45」まで実施しなかった合理的な理由がない。原審はかかる理由を明示していない理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由20)。
2.原判決の反社会的な判断に問題があり、その判断の理由を明示していない。
(1)UK医師は、「4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪」を証言し、これを認めた。自白である(U証人調書32、34頁)。
 ところが、原審は、4月30日、バンコマイシンを投与すべきであると主張する上告人の主要事実を排斥した(判決3、6頁)。
(2)そうすると、原審は、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪という確定事実を不適切ではないと認定判断することになる。
 要するに、UK医師が、右膝MRSA感染を認識・把握しておきながら、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認める自白をしているにもかかわらず、原審がこれを不適切であると判断しないことは、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を容認する判断であり、これは問題である。
 原審がかかる判断をした理由は不明であり、理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由21)。
3.原審(一審)は、「原告が外来受診の時点でMRSAに感染していたと認めることができる」と認定したが根拠となる科学的データ及び培養検査結果等の証拠は存在しない(一審判決29頁)。
 4月24、25日の検体全ての培養検査結果は、「全て陰性」である。MRSA院内発症は、入院後48時間以降である(甲B118号証の8頁)。
 また、本件第1手術後に白血球数及び好中球数はいずれも減少していることから、「ただの」滑膜炎である(U証人調書22頁)。
 さらに、原審(一審)は、培養検査結果の感度を問題にしているが、そうであれば、HN医師の陳述書、「5月25日及び26日に提出した滲出液の培養検査結果でも陰性であることが確認できたことから、転院してリハビリ」との記載を疑問視すべきである(乙A13号証の3頁)。
 原審は、4月24、25日の培養検査結果陰性に「懐疑的」であり、一方、HN医師陳述書の5月25、26日の培養検査結果に「懐疑的」ではない。原審の判断には整合性がない。
 要するに、原審(一審)の前記認定の根拠は不明であると主張したことに対し、原審(控訴審)は判断及び理由を記載していない。理由不備がある。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由22)。
第3章 理由齟齬(民訴法312条2項6号)
1.争点となっている主要事実について、「前提事実(以下の事実は、当事者間に争いがない。)」としておきながら、「「なお、持続洗浄が開始された時期については後記のとおり争いがある。」を加える。」と記載があり、理由・意味不明である。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(判決2頁)(上告理由23)。
2.化膿性膝関節炎の治療の最も重要なことは菌に感受性のある抗菌薬使用であることを認定判断しておきながら、一方で、右膝MRSA感染症に対し、MRSAに耐性のテトラサイクリン系クーペラシンを5月7日から6月1日まで継続投与容認の判断には矛盾があるから、その理由に食い違いがある。理由齟齬である。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由24)。
3.UK医師のA/S(関節鏡視下手術)での治療をしない方針との証言を採用し認定判断しておきながら、一方で、本件第2手術でA/S(関節鏡視下手術)実施を容認しており、判断に矛盾があり、その理由に食い違いがある。理由齟齬である。これは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する(上告理由25)。
第Ⅲ部 結論
 以上のとおり、原判決は、憲法11、13、14条1項、25条に違反し、判決裁判所の構成違反がありこれは民訴法312条2項1号の絶対的上告理由に該当し、原審にて新たに提出した証拠に基づく主張に対する判断を示しておらずその部分に対する理由が全く記載されていない理由不備、証拠の評価が訴訟の勝敗を決するような証拠である書証を排斥する特段の事情を明示していない等の理由不備及び理由齟齬がありこれらは民訴法312条2項6号の絶対的上告理由に該当する。よって、原判決は違法であり、破棄されるべきである。
                                     以上
附属書類
1 上告理由書副本                         7通
2 「原判決原本の謄写」と題する書面副本              7通
平成27年(ネオ)第544号 損害賠償請求上告事件
上告人  筆者
被上告人 学校法人 北里研究所
原判決原本の謄写
                              平成27年9月6日
                             上告人 筆者
 頭書の事件について、上告人は、上告理由書の附属書類として本書面を提出する。
 本書面は、平成27年7月21日、上告人が東京高等裁判所記録閲覧謄写室にて訴訟記録を閲覧し、裁判官の署名押印のない原判決書原本1~7頁及び「これは正本である。平成27年7月15日 東京高等裁判所第11民事部 裁判所書記官 後藤正行 押印」との記載押印のある書面を謄写したものである。
                                     以上
※備考
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北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅲ章-1

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅰ章及び第Ⅱ章に関連し、上告受理申立理由書(平成27年9月6日付)、上告理由書(平成27年9月6日付)等について記載したいと思う。
実際の上告受理申立理由書(同上)及び上告理由書(同上)には、目次・頁数の記載がある(北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅲ章ー2 ※備考を参照。)。
なお、SK医師の表記は北里大学病院整形外科外来担当医SKであり、UK医師・U先生・U医師の表記は北里大学病院整形外科主治医UKであり、HN医師・H先生の表記は北里大学病院受持医HNである。
U証人調書、H証人調書と記載があるのは、それぞれ、北里大学病院整形外科主治医UK、北里大学病院整形外科受持医HNの証人調書であり、本人調書と記載があるのは、筆者本人調書のことである。
参考までに、第1回口頭弁論調書(東京高等裁判所 平成27年(ネ)第1710号)及び記録到着通知書(最高裁判所第二小法廷 平成27年(オ)第1416号 平成27年(受)第1764号)を掲載する。
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平成27年(ネ受)第601号 損害賠償請求上告受理申立て事件
申立人 筆者
相手方 学校法人 北里研究所
上告受理申立理由書
                              平成27年9月6日
                             申立人 筆者
頭書の事件について、申立人は、次のとおり上告受理申立て理由を提出する。
理由要旨
1.医学文献に記載がなく、かつ平均的医師でさえ行わない医療行為、すなわち、医学水準に反する医療行為を容認する判断を判決として確定させるべきではない。医療水準に反する行為を判決として確定させることは、医療水準に対する法律判断が「2つ」存在することになり法的秩序が混乱する。医療水準に対する法律判断を統一すべきである。また、憲法81条の規定により医療水準に反する医療行為を容認した原審の判断が、法の下の平等を規定する憲法14条1項に適合するか否かについて御庁が判断されるべきである(上告受理申立て理由1)。
2.医師が独自の見解に基づく独自の治療法を独断で選択・決定し、患者に治療方法の選択の機会を一切与えないことは認められない。患者が他の治療方法について質問し、また、特定の治療方法について言及しているにもかかわらず、医師が患者の意思を完全に無視し、独断で治療方法を決定することを容認する判断を判決として確定させるべきではない。医師が検査結果を故意に隠蔽することによって患者の自己決定権を侵害することは認められない(上告受理申立て理由2)。
3.医師がMRSA感染症を認識し、これに対しバンコマイシンを投与しないことに因るMRSA感染増悪を判っていながら治療を一切開始しないことは認められない。MRSA感染増悪を認識しておきながらこれに対してバンコマイシンを投与しないことに因るMRSA感染増悪を容認する判断を判決として確定させるべきではない(上告受理申立て理由3)。
4.患者の自己決定権を侵害することは認められない(上告受理申立て理由4)。
5.添付文書を遵守せず特段の合理的理由を示すことなく独自の見解に基づき薬剤を使用することは認められない(上告受理申立て理由5)。
6.抗菌薬投与前に問診をせず、また、抗菌薬投与後の経過観察を怠ることは認められない(上告受理申立て理由6)。
7.明らかな因果関係があるにもかかわらずこれを否定することは認められない(上告受理申立て理由7)。
8.認定事実と矛盾する書証を特段の事由を明示することなく排斥することは認められない(上告受理申立て理由8)。
9.医療の名に値しない行為に対する判例がないので、御庁がこれに対し判断を下される必要がある(上告受理申立て理由9)。
10.申立人が原審にて新たに提出した証拠等に基づく主張に対し、相手方(被控訴人)は明白な答弁をせず、また、判断の遺脱がある(上告受理申立て理由10~12)。
11.申立人のこれまでの主張に対し、相手方(被控訴人)は答弁をせず、また、判断の遺脱がある(上告受理申立て理由13~14)。
12.申立人のこれまでの主張に対し、判断の遺脱がある(上告受理申立て理由15~21)。
13.判決の証拠が虚偽証言に基づくことは認められない(上告受理申立て理由22)。
上告受理申立ての理由
【本件の概要】
第1 事案の概要
 本件は、平成21年(以下、平成21年であるときは、その記載を省略する。)4月24日右膝痛が増強したとして、相手方の開設する北里大学病院(以下「本件病院」という。)整形外科を受診したところ、本件病院医師ら(本件病院にて申立人の診療にあたった医師及び看護師らを総称して「本件病院医師ら」という。)による医療水準に反する本件第1手術(デブリドマン・持続洗浄)の結果、申立人をMRSA右化膿性膝関節炎、骨の感染、MRSA右膝骨髄炎に罹患させ、本件病院医師らの不適切な抗菌薬投与により、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者に至らしめ、その結果、右膝MRSA感染症に対する治療は不可能な状態に陥り、右下肢 膝関節 機能全廃となり、MRSA右膝慢性骨髄炎に至った(甲A1号証、甲A2号証)。
 また、右膝は悪化するのみであり右膝疼痛は増強し、右膝MRSA感染再燃悪化の場合には、生命の保証はなく、骨切り固定術又は切断を苦慮する病態に陥っているとして、申立人は相手方に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償として、治療関係費、逸失利益、慰謝料等の合計1憶2000万円及びこれに対する平成25年5月2日(訴状送達日の翌日)から支払済まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める事案である。
第2 原判決の問題
1.原判決は、申立人の主張に対し判断をしていない部分がある。そこで、原判決が判断していない部分については一審判決を踏襲したものとみなし、これに対し判例違反その他の法令の解釈に関する重要な事項について述べる。
2.原判決は、複数の判例に違反した判断をし、申立人の主張する主要事実を証明する証拠となる書証について理由を明示することなく排斥した。
3.原判決の中でとりわけ問題となる「医療水準に対する判断」、「説明義務に対する判断」及び「自己決定権に対する判断」は、判例違反、憲法違反、その他の法令に違反し、時代の趨勢に逆行する判断である。
4.本件病院医師らの申立人に対する行為は、医療水準に反する。医療水準に反する医療行為を容認する原審の判断を判決として確定させることは、医療水準に対するこれまでの法的秩序を崩壊させることになり、これは社会・経済に重大な悪影響を及ぼすものである。
5.唯一の証拠方法を排斥し、認定することは、適法に確定された事実ではない。
6.自白は裁判所を拘束する。よって、本件病院医師らが、右膝MRSA感染を認識し、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を証言し自白したにもかかわらず、これを不適切であると判断しないことは右膝MRSA感染増悪を容認していることに等しい。原判決は、著しく正義に欠ける。
7.本件第2手術説明同意書が、「偽造文書」であることについて判断をしていない。本件第2手術前の説明及び造影MRI検査について、UK医師は説明していないと証言し、本田知成裁判長(一審)もこれを確認した。原審は自白と異なる事実認定をしているがこれは違法である。本件第2手術において、説明なく新たに大腿骨内側顆約5cm切開を加えたことは相当の問題である。
8.医学文献の証明力を否定し、また、MRI画像・レントゲン画像の証明力を否定し、さらに、申立人元代理人弁護士3名らによって確認された「看護記録改竄・隠蔽」を否定してこれら客観的な書証を証拠として採用しないことは、証拠の証明力を否定することになる。
9.原判決は、「看護記録改竄・隠蔽」を認定判断していない。看護記録改竄・隠蔽は証明妨害であり説明義務違反である。説明義務違反は憲法13条違反である。
10.原審にて新たに提出した証拠に基づく主張について、原審は、「控訴人が当審において追加又は敷衍した主張」に記載せず、かつ判断をしていない。また、証拠の評価が訴訟の勝敗を決する書証を特段の事由を明示することなく排斥した。
11.主要事実についてこれまでの申立人の主張に対し、相手方は答弁をしていない。また、これについて判断の遺脱がある。
12.原判決の補正として、「「なお、持続洗浄が開始された時期については、後記のとおり争いがある。」を加える。」との記載があるが、「争い」がある事実を「前提事実(以下の事実は、当事者間に争いがない。)」に記載するのは不適切である。
13.判決の証拠に虚偽証言を採用した。
14.医学文献に基づく申立人の主張事実に比し、本件病院医師らの証言に依拠した判断に基づく判決は、著しく公正さに欠ける。
15.医学的知見について明瞭にする必要がある場合、例えば、本件病院入院前に採取の関節液撮影写真から関節液が「ただの水であり化膿性ではない」事実、右膝MRI画像から本件病院入院中に「骨髄炎」に罹患の事実、本件病院医師らの不適切な抗菌薬投与に因りVRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者となった事実、ステロイドパルス療法(大量のステロイド投与)実施の事実、ザイボックス処方の重大な問題、胸部レントゲン画像からARDSを発症の事実、右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失の事実その他について、手続保障の観点から、争点に関する判断にとって重要性を有する事項については、鑑定を実施し、事案を解明すべきである。
第3 小括
1.判例法理に従い、医療水準の法律判断は1つであるべきである。
2.医療の名に値しない事件について判例がないので、御庁がこれについて法律判断を下されるべきである。
3.原判決は明らかにこれまでの最高裁判所判例と相反する判断があり、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める。
4.また、原判決は再審事由があり、判決に影響を及ぼす重要な事項について判断を遺脱し、虚偽証言が判決の証拠となっている等の違法がある。これらの違法は、原判決に影響を及ぼすことが明らかである。よって、民訴法325条2項に基づき破棄されるべきである。
第Ⅰ部 医療水準について法律判断の統一の必要性及び憲法適合性の有無
第1 はじめに
1.医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」の法律判断、すなわち、法令解釈の統一がなされないとA裁判所とB裁判所で異なる判断がなされる結果になり、法的秩序が混乱する。「同種の事件には、同一の解決を」という法的安定性・平等の要請から、同様の事件であるにもかかわらず、異なる判断をすることは平等な取り扱いに反する。医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」についての法令解釈の統一は、社会の進むべき方向性について影響を与え、当該事件のみならず類似の事件でも問題となる重要事項であり、また、これによって判決の結論が変わるものである。
2.本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)は、医療水準に反する医療行為である。これを認定判断していないかまたは本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)を容認した一審判決を是認した原判決は、明らかにこれまでの最高裁判例と相反する判断をしており、法令の解釈に関する重要な事項を含むものである。また、医療水準に反する本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)を容認した判断が憲法14条1項に適合するか否かの判断・決定を得る必要がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由1)。
第2 最高裁判所判例が判示した「医療水準」について
 医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」について、最高裁判所は以下のとおり判示した。
1.最高裁判所第3小法廷昭和57年3月30日判決(集民第135号563頁)は、診療当時の医療水準を基準にすることを明確にしている。
2.最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日判決(民集第50巻1号1頁)は、過失の行為基準である医療水準と医療慣行とを峻別して医療水準を具体的に設定した。平均的医師が行っている医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたとはいえないと判示した。医療水準の基準となるものは、医師が日常的に行っている医療行為ではなく、医薬品の添付文書や日常診療において指針とされるべき医学文献等の記載内容である。
3.最高裁判所第3小法廷平成9年2月25日判決(民集第51巻2号502頁)は、医学文献の記載内容を重視すべきであると判示し、医学文献に反する鑑定意見に基づく事実認定を経験則違反の違法があると判断した。
第3 小括
 最高裁昭和57年判決、最高裁平成8年判決及び最高裁平成9年判決が判示したとおり、医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」とは、診療当時の医学文献等の記載内容である。
第4 原判決の問題
 本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)が医療水準に反する医療行為であることについて認定判断をしていないかまたは本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)について一審判決を是認した原判決は、医療水準について判示した最高裁昭和57年判決、最高裁平成8年判決及び最高裁平成9年判決に違反する。
第5 本件第1手術(デブリドマン・持続洗浄)及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)は、医療水準に反する医療行為であること
1.化膿性膝関節炎の疑い(又は確定診断)の場合の治療方法は、「抗菌薬の静脈投与」であることは医学文献に記載されており、これが「医療水準」である。
2.医療水準たる「抗菌薬の静脈投与」という治療方法に対して、UK医師は、「私の中では正しいとは思えないです。」と証言し、医学界において認められている医学文献に記載のある治療方法に異を唱え、独自の見解に基づいて本件第1手術を実施した(U証人調書24頁)。
3.よって、本件第1手術は、最高裁昭和57年判決、最高裁平成8年判決及び最高裁平成9年判決が判示した「医療水準」に反する医療行為である。
4.医学文献の記載内容とは全く異なる方法での持続洗浄(同上)について、同医師は、「少なくとも僕らはこの治療法をやって、」と証言し、医学文献に記載のない本件病院医師ら独自の見解に基づく、かつ独自の持続洗浄方法であることを証言し、これを認めた。また、医学文献に記載のある持続洗浄の方法について、同医師は、「それは、もうその教科書を書いた方たちの意見なので。」と証言した。「持続洗浄」の意義・目的に対する医学界の考えと同医師のそれとは根底から全く異なる。本件病院医師らが行った持続洗浄は、平均的医師でさえ実施しないきわめて異質・特異的な持続洗浄方法である(U証人調書26頁)(下線は申立人による。)。
5.よって、本件病院医師らの持続洗浄方法(同上)は、最高裁昭和57年判決、最高裁平成8年判決及び最高裁平成9年判決が判示した「医療水準」に反する医療行為である。
第6 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民法415条の解釈適用の誤り
 本件第1手術が医療水準に反する医療行為であることを認定しない原審の判断には、診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準について民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
2.民法709条の解釈適用の誤り
 申立人は、「化膿性膝関節炎の疑い」であった。「化膿性膝関節炎の疑い」の場合の治療方法は、「抗菌薬の静脈投与」である。これが医療水準に従った医療行為である。また、本件第1手術には正当性・必要性・妥当性を一切認めないから、同手術によって約17cmもの切開を加えたことは不法行為である。4月24日、本件病院入院前、UK医師は「10cm程の切開」と説明した。本件第1手術記録にも「約10cmの皮切」と記載がある。切開範囲が術前と異なるのみならず、手術記録とも異なるものである。
 医療水準に従った適切な医療行為を受ける権利侵害及び約17cmもの不法な切開を認定しない原審の判断には、民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
第7 小括
1.医療水準について統一的見解の必要性
 本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)は、医療水準に反する医療行為であることについて認定判断をしていないかまたはこれについて一審判決を是認した原判決は、医師の注意義務の判断基準たる「医療水準」について判示した最高裁昭和57年判決、最高裁平成8年判決及び最高裁平成9年判決に違反する。判例法理に従うという観点から、医療水準について統一的見解を得る必要がある。
2.憲法14条1項に適合するか否かの判断・決定の必要性
(1)「医療水準」に従った適切な医療行為を受ける患者と「医療水準」に反する不適切な医療行為を受ける患者とが存在することは不平等である。「医療水準」に従った適切な医療行為を受けることができない患者は、平等な医療を受ける権利を侵害され、これは法の下の平等を規定する憲法14条1項に違反する。
(2)そこで、憲法14条1項規定の重要性に鑑み、医療水準に反する本件第1手術及び持続洗浄(本件第1手術・本件第2手術)を容認する原審の判断が、憲法14条1項に適合するか否かを御庁が判断される必要がある(憲法81条)。
第Ⅱ部 判例違反
第1章 判例違反(1)
第1 はじめに
 説明義務違反について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成13年11月27日判決(民集第55巻6号1154頁)と相反する判断があり、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由2)。
第2 原判決の問題
 説明義務違反を認めない原審の判断に誤りがある。
第3 最高裁判所判例が判示した「説明義務を基礎づける説明内容」について
 最高裁判所第3小法廷平成13年11月27日判決(民集第55巻6号1154頁)は、手術実施に当たり、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明義務があると判示した。
第4 本件第1手術の説明義務違反
1.UK医師は、同医師独自の見解に基づいて本件第1手術を独断で決定した。「化膿性膝関節炎の疑い」の場合の治療方法について、「(抗菌薬の静脈投与が)存在しますけれども、私の中では正しいとは思えないです。」と証言したことから明らかである(U証人調書24頁)(下線は申立人による。)。
2.本件病院医師らは、「化膿性膝関節炎の疑い」の治療方法が、「抗菌薬の静脈投与」であることを説明しなかったので、申立人には治療方法を選択する余地は一切なかった。
3.また、「2週間」の入院予定であり、本件第1手術について簡単な手術との説明であり、危険性・合併症について一切説明はなかった(乙A1号証の29頁)。
4.よって、本件第1手術について説明義務違反がある。
第5 小括
 本件病院医師らが独自の見解に基づいて本件第1手術実施を独断で決定し、本件第1手術の危険性・合併症についての説明義務違反を認定しない原判決は、最高裁平成13年判決に違反する。
第6 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.憲法13条違反
(1)本件病院独自の見解に基づいて本件第1手術を独断で決定し、本件第1手術以外の治療方法について一切説明しなかったので、申立人には治療方法を選択する余地が全くなかった。申立人は、「化膿性膝関節炎の疑い」の場合の治療方法である「抗菌薬の静脈投与」という適切な治療方法を選択する自己決定権を侵害された。これは、自己決定権を保障する憲法13条違反である。
(2)4月24日、本件病院医師らは、本件病院入院当日判明の検査結果を故意に隠蔽した。申立人は、滑膜炎及びグラム染色陰性の検査結果の意義を理解しているので、これらの検査結果を知っていれば、本件第1手術を明確に拒否していた。本件病院医師らが、同日判明の検査結果を隠蔽したことにより、自己決定権を侵害された。これは、憲法13条違反である。
2.民訴法247条違反
(1)UK医師は、「絶対に治る、どこまでやればもう治るということが感染症の場合分りませんので、経過を見ながら、経過を見て治っていかないときにはまた手術をする必要が出てくるということもお話しています。」と虚偽の証言をした(U証人調書9頁)。
(2)本件第1手術前から、「どこまでやれば絶対とはいえない。2週間の入院予定でありながら、数回の手術を実施する予定がある。」との説明があれば、手術結果の不確実性及び手術の失敗を示唆していると考えるのが常識であり、本件第1手術を明確に拒否するという常識的経験則がある。つまり、UK医師の本件第1手術の危険性・合併症の説明について、常識的経験則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
3.民法415条の解釈適用の誤り
 本件第1手術について説明義務を怠った説明義務違反がある。原審の判断には、診療契約上の説明義務について民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
4.民法645条の解釈適用の誤り
 4月24日、本件病院入院当日に判明していた検査結果を故意に隠蔽し、化膿性膝関節炎の疑いの場合の治療方法等について説明を怠った説明義務違反がある。よって、原審の判断には、診療契約上の説明義務について民法645条の解釈適用を誤った違法がある。
5.医療法(昭和23年7月30日法律第205号)1条の4第2項違反
 4月24日、本件病院入院当日に判明していた検査結果を故意に隠蔽し(UK医師は連休で検査技師がいないので検査できないと説明した。)、化膿性膝関節炎の疑いの場合の治療方法等について説明を怠ったことは、医療を提供するに当たり適切な説明を行うことを規定する医療法1条の4第2項違反である。
6.保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療養担当規則」という。)(昭和32年4月30日厚生省令第15号)20条5項違反
 本件第1手術は正当性・必要性・妥当性は一切ない。よって、本件第1手術を実施したことは、手術は必要があると認められる場合に行うことを規定する療養担当規則20条5項違反である。
7.民訴法181条1項の解釈適用の誤り
(1)4月24日、UK医師はカルテに一切記載していない。同日SK医師は、「U先生から、御両親、御本人へI.C.」と虚偽の記載をしている。
(2)そこで、本件第1手術の危険性・合併症についてのUK医師の証言が虚偽である事実、すなわち、本件第1手術の危険性・合併症その他について説明をしなかった特定の主要事実を立証するための唯一の証拠方法として、申立人は、証拠申出書(平成26年6月16日付及び平成27年4月29日付)を提出し、SK医師の証人尋問を申出た。
(3)ところが、証拠申出書(平成26年6月16日付及び平成27年4月29日付)は、いずれも排斥された。
(4)最高裁判所第1小法廷昭和53年3月23日判決(集民第123号283頁)は、唯一の証拠方法の申出を排斥し、これを申し出た当事者の主張事実について証明がないとしてその当事者に不利な認定をした判決は、証拠の採否に関する法の解釈適用を誤った違法があると示した。
(5)以上のことから、特定の争点について、唯一の証拠方法の申出を排斥し、これを申し出た申立人の主張事実を認めず、UK医師の証言のみに依拠し、本件第1手術の危険性・合併症に関する説明について事実認定をした原審の判断は、証拠の採否に関して、民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法がある。
8.民訴訟149条違反
(1)UK医師は、「僕らは化膿性膝関節炎に対しては、関節鏡視下にはやらない方針でいます。」と証言した。しかし、本件第2手術において、関節鏡を使用している。申立人はUK医師に対し、本件第1手術ではなくA/S(関節鏡視下手術)による治療について自己への適応及び実施可能性について特に強い関心を明確に伝えた事実がある。これは、自己決定権を保障する憲法13条に関わる重要事項である(U証人調書60~61頁、本人調書3頁、甲A85号証の2頁)。
(2)MRSA化膿性膝関節炎のバンコマイシンの有効率は100%であることからすれば、バンコマイシンを適切に使用していれば、MRSA化膿性膝関節炎は完全に治癒していたはずである(甲B66号証)。
ところが、UK医師は、感染症の治療の不確実性を強調している。
(3)そこで、UK医師のA/Sに対する言動の矛盾及び感染症に対する医学界における見解と同医師のそれとが全く異なることについて、原審は、釈明権を行使し、事案を解明すべきであった。
(4)本件病院医師らは、本件第1手術前予防的抗菌薬を投与せず、また、院内感染防止マニュアルに従っていない。
 予防的抗菌薬を投与しない特段の合理的な理由は一切ない。UK医師は、申立人には化膿性膝関節炎の疑いはなかったことを認識していたことを示唆する興味深い証言がある。それは、セファゾリンが有効な感染症の有無を想定していたかどうかに対する尋問に対し、同医師は、「そこまでは、そうかと言われると、」と証言したことである。「化膿性膝関節炎の疑い」の場合には、「黄色ブドウ球菌」を想定して「セファゾリン」を選択しなければならないが、UK医師の証言から、化膿性膝関節炎の疑いを想定していないことになる。このことから化膿性膝関節炎の疑いは全くなかったと結論付けることができる(U証人調書32、46、48頁)(下線は申立人による。)。
同医師証言の矛盾について原審はこれを指摘していない。医療水準に従った感染防止対策が全く講じられていない問題について、原審は釈明権を行使し、事案を解明すべきであった。
(5)原審がこのような措置に出ることなく、UK医師が独自の見解に基づいて独断で治療方法を決定した事実、バンコマイシンを適切に投与していれば、MRSA化膿性膝関節炎は治癒していたこと、感染防止義務違反があることについての申立人の主張を排斥したのは、釈明権の行使を怠り、民訴法149条違反である。また、審理が尽くされていない違法がある。
第7 小括
 以上によれば、説明義務違反について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成13年11月27日判決(民集第55巻6号1154頁)と相反する判断をしており、憲法13条、民訴法149条、民訴法247条、医療法1条の4第2項、療養担当規則20条5項に違反し、民法415条、民法645条、民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第2章 判例違反(2)
第1 原判決の問題
 バンコマイシンを早期に投与しなかった注意義務違反及び科学的評価(菌の同定結果)に基づかない抗菌薬使用が不適切であることを認定しない原判決の判断には誤りがある。原判決は、最高裁判所第2小法廷平成18年1月27日判決(集民第219号361頁)と相反する判断があり、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由3)。
第2 バンコマイシンの早期投与及び科学的評価に基づく抗菌薬使用について
 最高裁判所第2小法廷平成18年1月27日判決(集民第219号361頁)は、「MRSA感染症又はその疑い例に対しては、平成5年当時も現在もバンコマイシンが第1選択薬であるのは世界的な標準であり、」と判示され、「MRSA感染症の発症を予防するためには、科学的評価に基づく適正な種類の抗生物質のみを使用すべきである」と判示した。
第3 小括
 最高裁平成18年判決は、①MRSA感染症またはその疑い例に対して、バンコマイシンを投与し、②MRSA感染症の発症を予防するためには、科学的評価に基づく適正な種類の抗菌薬のみを使用すべきであると判示した。
よって、4月30日、本件病院医師らが右膝MRSA感染を認識・把握しておきながら、同日バンコマイシンを直ちに投与しなかった注意義務違反及び科学的評価に基づかないMRSAに耐性のペニシリン系ビクシリン継続投与が不適切であることを認定しない原判決は、最高裁平成18年判決と相反する判断である。
第4 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民訴法179条違反及び民訴法149条違反
(1)右膝MRSA感染症の認識時点について、UK医師は、「4月30日です。」と証言し、また、右膝MRSA感染症判明後も、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪について、同医師は、「あると思います。」と証言し、これを認めた。自白である(U証人調書32、34頁)(下線は申立人による。)。
 裁判所はその自白に拘束され、自白どおりの事実認定をしなければならない。UK医師の自白した事実は証明する必要がない。証明不要効である(民訴法179条)。
(2)よって、4月30日、本件病院医師らが右膝MRSA感染を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与せず、これに因る右膝MRSA感染増悪を認識していた確定事実を認定しないことは、民訴法179条違反である。
(3)そこで、原審は、釈明権を行使し、①4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握した当日バンコマイシンを投与開始すべき注意義務を怠ったこと、②同日、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与開始しなかったこと、③MRSA感染判明後も科学的評価に基づかず、かつMRSAに耐性のペニシリン系ビクシリンの継続投与を容認したことの問題を指摘し、審理を尽くして事案の解明をすべきであった。
 原審がこのような措置に出ることなく、いかに遅くとも4月30日にバンコマイシンを投与開始すべきであったとの申立人の主張を排斥したのは釈明権の行使を怠り、民訴法149条違反である。また、審理が尽くされていない違法がある。
2.民訴法247条違反
(1)4月27日、セファゾリンが奏功しないことにより起因菌は「MRSA」である。これは専門的経験則である。セファゾリンが奏功しないと判明した4月27日にバンコマイシンを投与すべき注意義務を怠った注意義務違反があり、これを認定しない原判決の判断には専門的経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
(2)最高裁平成18年判決が判示した「MRSA感染疑い」時点である4月27日にバンコマイシンを投与すべきことは経験則である。4月27日にバンコマイシンを投与すべき注意義務を怠った注意義務違反があり、これを認定しない原審の判断には経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
(3)意見書に「(4月28日)ペニシリン系の抗生剤に変更しているが、もっと早期にVCM(バンコマイシン)に変更すべきであった。」と記載がある(甲B1号証)。
同意見書を使用しないことは採証法則違反である。早期にバンコマイシンを投与すべき注意義務を怠った注意義務違反があり、これを認定しない原審の判断には採証法則に反する違法がある(民訴法247条)。
(4)4月30日、グラム陽性菌検出の場合、即日バンコマイシンを投与すべきことは専門的経験則である。4月30日にバンコマイシンを直ちに投与すべき注意義務を怠った注意義務違反があり、これを認定しない原審の判断には専門的経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
(5)4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与せず、また、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識・把握しているのであれば、直ちにバンコマイシンを投与すべきである。これは経験則である。4月30日にバンコマイシンを直ちに投与すべき注意義務を怠った注意義務違反があり、これを認定しない原審の判断には経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
(6)バンコマシン投与開始は、「5月10日」である(甲A21号証)。
原判決は、「バンコマイシン投与を本件第2手術中から投与していたものと認められる。」と認定したが、抗菌薬投与・細菌培養一覧について、相手方は、「現在確認中である。」としたままである(平成26年3月14日付被告第3準備書面13頁)。
 また、バンコマイシン投与開始「3日後」に実施するはずの「TDM」について、UK医師は、「記録はありませんので」と証言した(U証人調書34頁)(下線は申立人による。)
 虚無証拠による事実認定は採証法測違反である(判時2115号12頁)。なお、申立人は、必要な「抗菌薬投与・細菌培養一覧」及び「TDM」を入手すべく、文書提出命令申立書(平成26年1月18日付、平成27年4月29日付)を提出したがいずれも採用されなかった。
 結局、「抗菌薬投与・細菌培養一覧」は、「現在確認中」であり、バンコマイシン投与開始3日後に実施するはずの「TDM」は「ありません」としていずれも証拠とし提出されていない。
 よって、「バンコマイシン投与を本件第2手術中から投与していたものと認められる」とした原審の認定には採証法測に反する違法がある。採証法則に反する事実認定は、民訴法247条違反である。
3.民法415条の解釈適用の誤り
 右膝MRSA感染を認識・把握した4月30日にバンコマイシンを即日投与開始すべきところこれを怠った注意義務違反があり、これを認定しない原審の判断には診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準について民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
4.民法709条の解釈適用の誤り
 右膝MRSA感染を認識・把握した4月30日にバンコマイシンを即日投与開始すべき医療水準に従った適切な医療行為を受ける権利を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うものであり、これを認定しない原審の判断には民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
5.保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年4月30日厚生省令第15号)(以下、「療養担当規則」という。)16条違反
 本件第1手術後、CRPは高度上昇をし続け4月30日のCRPは、「29.75」となりその後も上昇した。患者によっては、既に「死亡」レベルの数値である。
UK医師は、CRPを毎日確認したと供述し、「あれあれっと思ってはいるわけですよね。ただ、あれあれっと思っていても」と証言した(U証人調書32頁)(下線は申立人による。)。
療養担当規則16条は、「診療について疑義があるときは、他の保険医の対診を求める等診療について適切な措置を講じなければならない。」と規定する。
そこで、UK医師は、瀕死の容態に陥っている申立人を「あれあれっと」と漫然と観察するのみに留まるのではなく、感染症専門医に対診すべきであった。同医師が対診を怠ったことは、療養担当規則16条違反である。
6.最高裁平成17年判決の補足意見
(1)最高裁判所第1小法廷平成17年12月8日判決(集民第218号1075頁)の補足意見は、「医師の検査、治療等が医療行為の名に値しないような例外的な場合には、「適切な検査、治療等の医療行為を受ける利益を侵害されたこと」を理由として損害賠償責任を認める余地がないとはいえない」と示した。
(2)化膿性膝関節炎は急速に進行し治療のわずかな遅れでも重篤な結果をもたらし、患肢だけでなく生命をも脅かす救急疾患である。
4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握しておきながらバンコマイシンを投与せず、また、バンコマイシンを投与しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識・把握しているのであれば、バンコマイシンを即日投与して治療を開始しなければならない。右膝MRSA感染増悪を判っていてバンコマイシンを投与しなかったことは治療とはいえない。
(3)救急疾患である右膝MRSA感染及び低い治癒率である骨の感染ということからすれば、本件病院医師らがバンコマイシンを4月30日直ちに投与開始しなかったことに因り、申立人の「治癒可能性を奪った」ことは明らかである。
(4)4月30日、右膝MRSA感染増悪を認識しておきながらバンコマイシンを投与せず、右膝MRSA感染症の治療を一切開始せず、MRSAに耐性のペニシリン系ビクシリン継続投与容認はMRSAを増殖させるに過ぎず、右膝MRSA感染増悪を容認していることに等しいことである。
院内感染対策指導医 M医師は、5月1日、「activeな感染症があります」とし、「(MRSA耐性のペニシリン系)ビクシリン」を本件第2手術後まで継続投与を容認した(乙A1号証の44頁、乙A2号証の3頁)。
右膝MRSA感染症を治療するどころか、右膝MRSA感染を増悪させるペニシリン系ビクシリン継続投与容認は医療行為の名に値しない。
(5)5月7日~6月1日、右膝MRSA感染症に対し、MRSAに耐性のテトラサイクリン系クーペラシンを長期継続投与した。これは右膝MRSA感染症を増悪させるものである(甲B77号証、甲B5号証、甲B158号証)。
MRSA感染症に対し、MRSAに耐性の抗菌薬を使用することは、MRSA感染症を増悪させるのみであり医療行為の名に値しない。これは申立人の健康を否定するものであり、「健康で文化的な生活」の保障を規定する憲法25条違反である。
(6)右膝MRSA感染を認識・把握しているにもかかわらず、右膝MRSA感染増悪をもたらすMRSAに耐性の抗菌薬継続投与を不適切であると認定しない原審の判断を判決として確定させるべきではない。
第5 小括
 以上によれば、バンコマイシンを早期に投与しなかった注意義務違反及び科学的評価に基づかない抗菌薬使用が不適切であることを認定しない原判決は、最高裁判所第2小法廷平成18年1月27日判決(集民219号361頁)と相反する判断をしており、憲法25条、民訴法149条、民訴法179条、民訴法247条、療養担当規則16条に違反し、民法415条、民法709条の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第3章 判例違反(3)
第1 はじめに
 自己決定権の侵害を認めない原判決は、最高裁判所第3小法廷平成12年2月29日判決(民集第54巻2号582頁)(いわゆる[エホバの証人事件])に違反し、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由4)。
第2 原判決の問題
 自己決定権の侵害を認めない原判決の判断に誤りがある。
第3 最高裁は患者の自己決定権を認めていること
 最高裁判所第3小法廷平成12年2月29日判決(民集第54巻2号582頁)(いわゆる[エホバの証人事件])は、患者の自己決定権を認め、患者の自己決定権は医師の裁量権より優先することを明確にしている。
第4 小括
 5月2日、申立人がUK医師に対しステロイドパルス療法(ステロイド投与)拒否を明確かつ確定的に意思表示したにも関わらず、同医師はステロイドパルス療法(ステロイド投与)を実施した(甲A32号証、本人調書8頁)。
これは、自己決定権の侵害である。よって、自己決定権の侵害を認めない原判決は、最高裁平成12年判決に違反する。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.憲法13条違反
 5月2日、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)拒否を明確かつ確定的に意思表示したにもかかわらず、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)を実施した。自己決定権の侵害は、憲法13条違反である。
2.民訴法247条違反
(1)ステロイド投与に因る免疫抑制作用及び感染中のステロイド投与に因る感染増悪は公知の事実である(民訴法179条)。
当然のことながら、感染中にステロイド投与の説明があればこれを拒否するという常識的経験測がある。
(2)したがって、原審が、「ステロイドの投与を拒否した事実を認めるに足りる証拠はない。」と認定したことは、常識的経験則に反する事実認定であり違法である(民訴法247条)。
3.民訴法149条違反
(1)申立人がステロイドパルス療法(ステロイド投与)拒否を明確かつ確定的に意思表示したにもかかわらずこれを実施したことについて、申立人は陳述書に記載し、また、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)拒否の自己決定権侵害について、これまで準備書面及び争点整理メモに記載し主張し続けてきた。自己決定権侵害について一審判決にも記載がある(甲A32号証、争点整理メモ15頁、一審判決16頁)。
(2)原判決は、「U医師が「バンコマイシンは投与しない。ステロイドパルス療法を優先する。」と言ったというものであるところ、当該供述を裏付ける証拠はなく、」と認定している(判決4頁)。
(3)そうであれば、原審は、申立人に対し、改めて同医師の証人尋問について証拠申出をするかどうかについて釈明権を行使すべきであった。原審がこのような措置に出ることなく、申立人の主張事実を排斥したのは、釈明権の行使を怠った違法がある(民訴法149条)。
4.反対尋問権について
(1)最高裁判所第2小法廷昭和32年2月8日判決(民集第11巻2号258頁)補足意見は、「反対訊問の機会を与えない供述は、その後の再訊問と相俟つか、または反対訊問権者において積極的にその訊問権を拠棄したものと認められる場合でない限り、主訊問による供述だけでは、一方的な訊問でいまだ完結しない、供述としては未完成なものと解すべきであり、」と示した。
(2)証人尋問について申立人に与えられた尋問時間は著しく制限(「5~10分」)された(平成26年9月4日の本件第9回口頭弁論期日プロセスカード)。
これに対し、申立人は、尋問時間の配分について「上申書」(平成26年9月17日付)及び「調書の記載異議申立書」(平成26年10月3日付)を提出した。
(3)与えらえた尋問時間は「15分」となったが、その限られた尋問時間内に裁判所主導の尋問内容と重複しないように、尋問当日、尋問内容を適宜取捨選択するという状況であった。結果として、反対尋問権は著しく制限させることになった。
(4)交互尋問制度の下では、反対尋問によって証言の真実性が担保されるから、反対尋問の権利行使の機会が必要かつ十分に与えられなければ、その証言には証拠力がないと解すべきである。ステロイドパルス療法実施について十分な反対尋問がなされていない。
よって、UK医師が「(ステロイド)パルス療法ではありません。」と証言したその証言には証拠力がないと解すべきである(U証人調書44頁)。
(5)また、「ステロイドパルス療法」とカルテに記載があることについて、U医師は、「書き間違いですね。はい。これは、もう明らかに書いた人のミスです。」と証言した(U証人調書44頁)(下線は申立人による。)。
しかし、6月1日MT UK医師と同席し、同医師の説明を聞きながらこれを筆記・記録していた(文責)MY医師を呼び出さず、すなわち、同医師の証人尋問を実施することなく、UK医師の証言にのみ依拠した証拠を採用することは、適法に確定された事実とは言えず違法である(民訴法321条1項)。
5.鑑定要否について
(1)「5月1~3日、大量のステロイドステロイドパルス療法)が投与されていたはずである。」と複数の医師らが指摘している。申立人はこれを証明するために、鑑定申出書(平成26年8月25日付、平成27年4月29日付)を提出したがいずれも採用されず事案が不明瞭のままであり、審理不尽の違法がある。
(2)UK医師がステロイド投与に因る右膝MRSA感染増悪を認識・把握していることを証言していたことからすれば、ステロイド投与の問題だけでなくステロイドパルス療法(大量のステロイド投与)を実施した根拠を明瞭にする必要がある。右膝MRSA感染を増悪させてまで大量のステロイド投与の目的が全く不明である(U証人調書37頁)。
(3)手続き保障の観点から、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)という争点に関する判断にとって重要性を有する医学的知見については、鑑定を実施することが望まれる事案であることは当然である(甲C40号証)。
第6 小括
 以上によれば、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)拒否の自己決定権の侵害を認めない原判決は、最高裁判所第3小法廷平成12年2月29日判決(民集第54巻2号582頁)(いわゆる[エホバの証人事件])に違反し、憲法13条、民訴法149条、民訴法247条に違反し、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第4章 判例違反(4)
第1 はじめに
 添付文書違反を認定しない原判決は、最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日判決(民集第50巻1号1頁)に違反し、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由5)。
第2 原判決の問題
1.ステロイド投与について
 感染中のステロイド投与につき、ステロイドプレドニン)の添付文書を無視し、「特段の合理的理由」を示すことなく同剤投与を容認し、同剤添付文書違反を認定しない原判決の判断には誤りがある(甲B79号証)。
2.ザイボックス処方について
(1)添付文書に記載のあるとおり、MRSA関節炎・MRSA骨髄炎の治療薬は、バンコマイシンでありザイボックスではない(甲B65号証、甲B69号証)。
(2)ザイボックスの添付文書の【警告】に記載のある「適正使用」を無視し、根拠なく、かつ「特段の合理的理由」を示すことなくザイボックスを処方した(甲B163号証)。
(3)その結果、全ての抗MRSA薬に耐性となり、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)患者となり、全ての抗MRSA薬を失った。右膝MRSA感染再燃悪化の場合には、生命存続の保証はないというきわめて重大な病態に陥っている主要事実について、原審は判断をしていない。
(4)平成21年8月27日、湘南東部総合病院整形外科NH医師は、主治医意見書に「右膝感染悪化の可能性あり」、「感染症 有 膝MRSA」と記載している(甲A4号証)。
 平成24年7月4日、FT医師(市立堺病院総合内科、感染症専門医、京都大学医学部臨床教授)は、「全ての抗MRSA薬は使用不可能な状態にあり、MRSA感染症に対する治療はできません。」と診断された(甲A48号証、甲A89号証)。
 平成24年7月30日、関東労災病院整形外科TK医師は、「全ての抗MRSA薬は使用不可能な状態にある。右膝MRSA感染に対し治療ができる状態にない。」と診断された(甲A90号証)。
(5)以上のとおり、ザイボックス添付文書の【警告】に記載ある「適正使用」を無視し、同剤添付文書違反を認定しない原判決の判断には誤りがある。
第3 添付文書違反について
 最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日判決(民集第50巻1号1頁)は、医師が医薬品を使用するに当たって、医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるべきであると判示した。
第4 小括
 ステロイドプレドニン)の添付文書及びザイボックスの添付文書の【警告】に記載のある「適正使用」を無視し、「特段の合理的理由」を示すことなく、ステロイド投与及びザイボックス処方を容認し、添付文書違反を認定しない原判決は、最高裁平成8年判決に違反する。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民訴法179条違反
(1)UK医師は、MRSA感染中のステロイド投与に因る感染増悪を認識していることを証言した(U証人調書37頁)。
(2)同医師は、ステロイド投与後の5月16日MRSA感染増悪を認め、これを証言した。「5月11日」までステロイドを継続投与したことから、ステロイド投与に因るMRSA感染増悪は明らかである(U証人調書38頁)。
(3)すなわち、同医師は、ステロイド投与に因る右膝MRSA感染増悪を証言し、自白した。裁判所はその自白に拘束され、自白どおりの事実認定をしなければならない。同医師の自白した事実は証明する必要がない。証明不要効である。よって、ステロイド投与に因るMRSA感染増悪の確定事実を認定しないことは、民訴法179条違反である。
2.民訴法247条違反
(1)バンコマイシン添付文書に記載があるとおり、バンコマイシンは、MRSA関節炎・MRSA骨髄炎の治療薬である(甲B65号証)。
ザイボックスの添付文書の適応症には、MRSA関節炎・MRSA骨髄炎の記載はない(甲B69号証)。
甲B65号証及び甲B69号証を証拠として採用しないことは、採証法則に反する違法がある。また、平成20~23年当時、国内外の医学文献等には、MRSA骨髄炎に対して、ザイボックスを使用すべきではないことが明記されている(甲B31号証、甲B56号証、甲B102号証、甲B103号証)。
これら国内外の医学文献等を証拠として採用しないことは、採証法則に反する。
よって、ザイボックスはMRSA骨髄炎に奏功するものと認められるとした原審の判断には、採証法則に反する違法がある(民訴法247条)。
(2)原審は、セロトニン症候群について、「12日をいうものと解される」と認定している(判決5頁)。
しかし、6月11日午前8時20分頃、ザイボックス服用後にセロトニン症候群が発現し、吐き気に因り昼食及び夕食を摂取することができなかった。証拠として「摂取量」に関する記録、6月11日夕食摂取欄に、「全1/5」と記載がある(乙A1の285頁)。
これを証拠として採用しないことは、採証法則に反する。採証法則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
(3)ザイボックスと抗うつ薬との併用投与に因りセロトニン症候群が発現するので併用投与は「禁忌」であることは医学文献に明記されている(甲B20号証)。
甲B20号証を証拠として採用しないことは、採証法則に反する違法がある。
よって、ザイボックスと抗うつ薬との併用投与は不適切ではないとした原審の判断には、採証法則に反する違法がある(民訴法247条)。
3.民訴法253条1項3号違反
 ザイボックス処方は誤っていることについての主要事実を認定することができる証拠である書証がある(甲B20号証、甲B65号証、甲B69号証、甲B31号証、甲B56号証、甲B102号証、甲B103号証)。
これら書証の証明力を否定するに足りる特段の事由がない限り、同書証の証明力を否定することは許されないところ、原判決は、かかる特段の事由を認定することなく、同書証を採用しなかった理由を説明していない。これは民訴法253条1項3号違反である。
4.民訴法149条違反
(1)UK医師は感染中のステロイド投与に因る感染増悪を証言した。これを認めておきながら、「特段の合理的理由」を示すことなくステロイドを投与した。UK医師の言動は矛盾している(U証人調書37頁)。
(2)MRSA感染症の治療に対し、MRSAに耐性のテトラサイクリン系クーペラシンを継続投与することだけでもきわめて重大な問題であるところ、薬疹を重篤化させるMRSA耐性テトラサイクリン系クーペラシンを継続投与しておきながら(5月7日~6月1日)、薬疹を理由としてステロイドを投与することは矛盾している(甲B77号証、甲B5号証、甲B158号証)。
(3)ザイボックスがMRSA骨髄炎に奏功するかについてUK医師は、「はい。」と証言した(U証人調書20頁)(下線は申立人による。)。
しかし、平成20年から平成23年当時、ザイボックスの骨髄炎に対するデータはほとんどなく、骨髄炎に対しザイボックス使用をするべきではないことが国内外の医学文献等に明記されている。
よって、UK医師が「ザイボックスは骨髄炎に奏功する。」として根拠は全く不明である。
(4)UK医師は、「6月11日時点、右膝MRSA感染が陰性化しておらず、治療が終わっておらず、バンコマイシン継続投与すべき状態にあったこと」を証言した。しかし、UK医師記名押印のある「診療情報提供書」には、「右膝MRSA感染が陰性化していないこと」及び「バンコマイシン継続投与の必要性」について記載はなく、また、ザイボックス処方を容認していることから、同医師の言動は矛盾している(U証人調書19、20、40頁、甲A43号証)。
(5)以上のことから、原審は、これらの矛盾及び不明について解明すべきであったところこれを怠り、ステロイド投与及びザイボックス処方は添付文書違反であることについての申立人の主張事実を排斥したのは、釈明権の行使を怠り、民訴法149条違反である。
5.民法415条の解釈適用の誤り
 ステロイド及びザイボックスの添付文書に記載された使用上の注意事項について本件病院医師らの注意義務違反を認めない原審の判断には、診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準について、民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
6.民法709条の解釈適用の誤り
 MRSA骨髄炎に対する適切な治療行為であるバンコマイシンの継続投与を受ける権利を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うものであり、これを認定しない原審の判断には、民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
7.国際人権B規約(昭和54・8・4条7)7条違反
(1)ザイボックスの臨床試験第Ⅲ相試験において、骨髄炎患者は「除外基準」であるにも関わらず、MRSA骨髄炎に罹患していた申立人に同剤を使用したことはきわめて重大な問題である。骨髄炎患者にザイボックスを使用した場合、「プロトコル」違反である(甲B71号証)。
(2)臨床効果や理論的根拠の薄弱な試行的医療である申立人に対するザイボックス処方は実験的行為である。これは、「自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。」と規定した国際人権B規約7条違反である。
第6 小括
 以上のことから、添付文書違反を認定しない原判決は、最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日判決(民集第50巻1号1頁)に違反し、民訴法149条、民訴法179条、民訴法247条、民訴法253条1項3号、国際人権B規約7条に違反し、民法415条、民法709条の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第5章 判例違反(5)
第1 はじめに
 問診義務違反及び経過観察義務違反について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成16年9月7日判決(集民第215号63頁)に違反し、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由6)。
第2 原判決の問題
 問診義務違反及び経過観察義務違反を認めない原審の判断に誤りがある。
第3 最高裁判所が判示した「薬剤投与に関する医師の注意義務の内容」について
 最高裁判所第3小法廷平成16年9月7日判決(集民第215号63頁)は、薬剤投与によるアナフィラキシーショックの発現に対し、薬剤の選択、投与後の経過観察、発症時の救急処置を含めた医療態勢について判示した。
第4 小括
 本件病院入院前、アレルギー症状を起こしやすい体質である旨を申告していた申立人に対し、本件病院医師らは抗菌薬に対する問診を実施せず、セファゾリン投与後の経過観察を怠り、同剤投与後アレルギー症状(薬物性肝障害・薬疹)が発現していたにもかかわらず、セファゾリンセフェム系)よりも更にアレルギー症状を重篤化させるビクシリン(ペニシリン系)を継続投与した。これを容認した原判決は、最高裁平成16年判決に違反する。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民訴法247条違反
(1)抗菌薬投与前に注射用抗菌薬投与に関する問診をすべきであるところ、これを怠った。
なお、「注射用抗菌薬投与に関する問診票」(乙A1号証の14頁)は偽造された(平成26年6月16日付書証否認等理由書、平成26年11月27日付書証否認等理由書)。
問診票には患者氏名の記載及び確認医師名の記載があるのが常識である。よって、患者氏名の記載及び確認医師名の記載のない文書である同問診票の成立を否定するという経験則がある。経験則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
(2)セフェム系セファゾリン)よりも、ペニシリン系(ビクシリン)の方が、更なるアナフィラキシーショック症状を惹起する(甲B137号証)。
したがって、セファゾリン投与後に薬物性肝障害・薬疹を認めている以上、ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認する原審の判断には論理法則に反する違法がある。
また、播種状紅斑丘疹型薬疹の原因薬物はペニシリン系であるから、原因薬物の投与を即時中止すべきである(甲B40号証)。
播種状紅斑丘疹型薬疹を認識・把握しておきながら、ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認することは薬疹を更に重篤化させる結果となり、これは論理法則に反する。
したがって、ペニシリン系ビクシリン投与を不適切であると認定しない原審の判断には、論理法則に反する違法がある(民訴法247条)。
2.民訴法253条1項3号違反
(1)本件病院入院前、「卵、鶏肉、キウイ、メロン、パイナップル、枝豆、長芋」等に食物アレルギーが有るとして、申立人はアレルギー体質であることを申告した。
また、「造影剤使用に因り体に異常が出た事実及び吐き気発現」の事実について、4月30日実施のCT検査の際の造影検査に関する問診票に記載した(乙A1号証の28、287頁、甲A68号証の2)。
なお、本件病院入院前に造影剤を使用しこれにアレルギー症状を惹起した事実があり4月30日の造影検査に関する問診票にこれを記載した時系列経緯がある。
(2)申立人は食物アレルギー体質及び造影剤に対し体に異常が出る体質であることを証明する証拠である書証がある。
よって、これら書証に記載どおりの事実を認めるべきであるが、これら書証を排斥する理由を示していないことは、民訴法253条1項3号違反である。
3.民訴法149条違反
 4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握し、かつ5月1日、薬剤アレルギーを認識・把握し、播種状紅斑丘疹型薬疹及び急性汎発性発疹性膿疱症(膿疱型)と診断した院内感染対策指導医 M医師は、これらを重篤化させるMRSAに耐性のペニシリン系ビクシリンを本件第2手術後まで継続投与を容認した。
薬疹の原因薬剤であるペニシリン系ビクシリン投与を即時中止せず、ステロイドパルス療法(ステロイド投与)を必要とするほどまでに薬疹を重篤化させ、皮膚潰瘍及び顔面を除く全身の落屑にまで至らしめた(乙A1号証の44頁、乙A2号証の3頁、甲A91号証、甲B40号証)。
よって、原審は、釈明権を行使し、この矛盾を指摘し事案を解明すべきであった。原審がこのような措置に出ることなく、セファゾリンが奏功しない時点である「4月27日」にバンコマイシンを投与すべきであり、ペニシリン系ビクシリンを投与すべきではなかった主要事実についての申立人の主張を排斥したのは、釈明権の行使を怠り、民訴法149条違反である。
4.判例違反
(1)ペニシリン系ビクシリン添付文書の【使用上の注意】には、セフェム系抗生物質に対し、過敏症の既往歴のある患者やアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者には慎重投与することが記載されている(甲B75号証)。
(2)セファゾリンセフェム系)投与後、申立人は既に同剤にアレルギー症状(薬物性肝障害・薬疹)を呈しており、かつアレルギー症状を起こしやすい体質である。
また、「化膿性膝関節炎の疑い」の場合に使用する抗菌薬は、「セファゾリン」又は「バンコマイシン」のいずれかに限定される。
よって、ビクシリン添付文書の使用上の注意事項に従わない「特段の合理的理由」を認めない。
(3)したがって、ペニシリン系ビクシリン投与を容認した原判決は、添付文書違反について判示した最高裁判所第3小法廷平成8年1月23日(民集第50巻1号1頁)に違反する。
5.民法415条の解釈適用の誤り
 抗菌薬投与に関する問診を実施する注意義務があるところこれを怠り、また、アレルギー体質である旨を申告した申立人に対し、抗菌薬投与後の経過観察を十分に行うこと等の指示等をせず、アレルギー症状(薬物性肝障害・薬疹)発現後も、原因薬剤であるペニシリン系ビクシリン即時投与中止をしなかったことについて注意義務違反を認めない原審の判断には、診療契約上の問診義務、経過観察義務及び注意義務に関し、民法415条の解釈適用を誤った違法がある。
6.民法709条解釈適用の誤り
 薬疹を認めた場合には、原因薬剤を即時中止すべきであるところ、これを中止せず、そればかりか薬疹を重篤化させるMRSAに耐性のペニシリン系ビクシリンを投与し続け、MRSA感染中にステロイドパルス療法(ステロイド投与)を必要とするほどの重篤な薬疹、皮膚潰瘍及び顔面を除く全身の落屑にまで至らしめ、MRSA感染症に対するバンコマイシン投与という適切な医療行為を受ける権利を侵害した。この権利侵害を認定しない原審の判断には、民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
第6 小括
 以上によれば、問診義務違反及び経過観察義務違反について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成16年9月7日判決(集民第215号63頁)と相反する判断であり、民訴法149条、民訴法247条、民訴法253条1項3号、最高裁平成8年判決に違反し、民法415条、民法709条の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第6章 判例違反(6)
第1 はじめに
 本件第1手術と右膝障害の結果との間の因果関係について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、因果関係に関する法則の解釈適用について判示した最高裁判所第3小法廷平成9年11月28日判決(集民第186号269頁)と相反する判断があり、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由7)。
第2 原判決の問題
 本件第1手術と右膝障害の結果との因果関係について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決の判断に誤りがある。
第3 最高裁判所判例が判示した「因果関係に関する法則の解釈適用」について
 最高裁判所第3小法廷平成9年11月28日判決(集民第186号269頁)は、「因果関係を是認し得る高度の蓋然性を認めるに足りる事情があるものということができ、他に明らかにその原因となった要因が認められない以上、経験則上、この間に因果関係を肯定するのが相当であると解される。」と判示した。
第4 小括
1.レセプトに、「入院後発症傷病名MRSA関節炎」及び診断群分類決定票に、「後発疾患MRSA関節炎」と明記があることから、本件病院入院前MRSA関節炎に罹患していないこと及び本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患したことを証明する証拠がある(甲A55号証、甲A27号証、甲B164号証、甲B165号証)。
なお、原審にて、本件病院入院後MRSA関節炎に罹患した証拠となる書証を新たに提出し、本件病院入院後にMRSA関節炎に罹患し、本件病院入院時にMRSA関節炎に罹患していなかった主要事実を主張したことに対し、判断の遺脱があることについては第Ⅳ部にて述べる。
2.4月30日、UK医師は右膝MRSA感染を認識・把握しておきながら、バンコマイシンを投与せず、また、バンコマイシンを投与しないことに因るMRSA感染増悪を認めこれを証言した。自白である(U証人調書32、34頁)。
3.UK医師は、ステロイド投与に因るMRSA感染増悪を認める内容を証言した。自白である(U証人調書38頁)。
4.UK医師は、6月11日、右膝MRSA感染が陰性化しておらず治療の途中であり十分治療終わっていない状態であることを証言し、バンコマイシン継続投与の必要性を認識しておきながら、バンコマイシンを継続投与しなかったことが、右膝障害の原因であると証言した。自白である(U証人調書19、20、40頁)。
5.以上のとおり、本件病院入院時、申立人は右膝MRSA感染しておらず、膝関節内は、「無菌」であることからすれば、本件第1手術後MRSA感染し、MRSA感染判明後もバンコマイシンを投与しないことに因りMRSA感染増悪をきたし、ステロイド投与に因る更なるMRSA感染増悪を惹起し、本件病院退院時バンコマイシン継続投与すべき病態にあるにもかかわらず、本件病院医師らがこれを怠った結果、右膝障害の結果に至った。
したがって、本件第1手術と右膝障害の結果との間に因果関係を是認し得る高度の蓋然性を認めるに足りる確定事実があり、他に明らかにその原因となった要因が認められない以上、経験則上、この間に因果関係を肯定するのが相当である。
よって、これを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成9年11月28日判決(集民第186号269頁)と相反する判断がある。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.憲法13条違反
(1)4月24日、本件病院入院時、UK医師は、当日判明の検査結果である「滑膜炎」及びグラム染色陰性結果を申立人に知らせず、故意にこれらの検査結果を隠蔽した。これは説明義務違反であり、憲法13条違反である。
(2)6月11日、HN医師は、申立人及びその家族らに対し、化膿性膝関節炎は良くなっている。関節内に菌はないと説明した。
しかし、UK医師は、6月11日、右膝MRSA感染は陰性化しておらず、バンコマイシン継続投与が必要な状態にあったことを証言し、自白した。
よって、HN医師は、申立人及びその家族らに対し虚偽の説明をした。
つまり、本件病院医師らは、申立人らに対し正確な病状及び必要な治療方法を説明しなかった。これは説明義務違反であり、憲法13条違反である。
2.民訴法179条違反
(1)本件第2手術の説明及び5月1日の造影MRIの検査の有無について、UK医師は、「私はしていません。私はしていませんが、受け持ちがしたのかどうかは私には分かりません。」と証言し、本件第2手術の説明及び5月1日の造影MRIの検査説明をしていないことを認めた。自白である。
本多知成裁判長もこれを確認した(U証人調書52頁)(下線は申立人による。)(平成27年4月29日付控訴理由書73頁)。
(2)よって、原判決が「翌5月1日、患者及び家族への説明や検査を行った上で」と認定することは民訴法179条違反であるから、適法に確定された事実ではない(民訴法321条1項)。
そして、原審は、前記認定を前提としたうえで、「本件第2手術を実施したものであり、その実施が遅延したものとは認められず、また、控訴人を他の病院へ転送したとしても、手術の実施が早まったとは認められないから、控訴人の当該主張も採用することができない。」と判断しているのであるから、この判断にも違法がある。したがって、転医・転送義務違反がある。
(3)また、本件第2手術説明同意書は偽造された。これはUK医師の証言から明らかである。本件病院医師らは、大腿骨内側顆を一切の説明なく約5cm切開を加えたのである(乙A1の57頁、甲A38号証)。
3.民訴法151条1項5号違反
(1)申立人は、鑑定申出書(平成26年8月25日付、平成27年4月29日付)を提出したがいずれも排斥された。しかし、手続保障の観点から争点に関する判断にとって重要性を有する専門的知見について鑑定実施が望まれる。
(2)ところで、右膝MRSA感染を認識・把握した4月30日当日に、本件第2手術を直ちに実施しないことについて、UK医師は、「4月30日に手術をそのままするのか5月1日にするのか、そこの1日で何かが大きく変わることはないと思います。」と証言した(U証人調書34頁)(下線は申立人による。)。
しかし、「何」が「大きく変わることはない」のかについて審理が尽くされていない。審理不尽である。
(3)そこで、右膝MRSAの菌数と本件第2手術開始遅延との因果関係について詳細に検討する必要がある。
4月30日、菌数「06」とあることから、MRSA菌数は「1,000,000」個である(甲A34号証)。①4月30日、右膝関節内にMRSA菌数100万個を認めておきながら、②MRSAを増殖させるMRSA耐性のペニシリン系ビクシリンを継続投与し、③不要なドレーンチューブを留置し続け(バイオフィルム産生の原因)、④水分摂取制限下においてビーフリード(糖分等)添付文書を無視して過剰投与し、本件第2手術開始45分前の血糖値を「261」にまで上昇させ、⑤5月1日、ステロイドパルス療法を実施し(複数の医師らが指摘)、⑥本件第2手術開始時刻である5月1日23:45まで右膝MRSA感染症に対する一切の治療を実施しなかったことに因る右膝MRSA感染増悪を医科学的・統計学的・客観的に正確に数値解析する必要がある。
(4)そのためには、整形外科医、感染症科医、内科医、薬剤師、臨床検査技師その他必要に応じて医学統計解析法の専門家の学識経験に基づく説明を聞くべく鑑定を命ずることが有益である。
裁判所は、鑑定を命じないと訴訟関係が明瞭にならない場合、釈明処分として鑑定を命ずることができるから、これを実施しなかったことは民訴法151条1項5号違反である。
4.民法709条の解釈適用の誤り
(1)治癒可能性の侵害
 バンコマイシンMRSA関節炎に対する有効率は、「100%」である。
4月30日、右膝MRSA感染を認識・把握時点にて、バンコマイシンを投与開始せず、本件第2手術を直ちに実施しなかったことによって、申立人の「治癒可能性を奪った」ことは明らかである。治癒率をもった可能性は法的保護に値する利益である(甲B66号証)。
(2)以上のことから、治癒可能性の侵害及び適切な治療を受ける権利を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うものである。これを認定しない原審の判断には、民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
5.民法645条の解釈適用の誤り
 4月24日本件病院入院時の説明義務違反及び本件病院退院にあたり6月11日の説明義務違反がある。
よって、原審の判断には、診療契約上の説明義務について民法645条の解釈適用を誤った違法がある。
6.医師法(昭和23年7月30日法律第201号)23、24条違反
 6月11日時点において、右膝MRSA感染が陰性化していないこと及びバンコマイシン継続投与の必要性を認識しているのであれば、申立人に説明し、これをカルテに記載すべきである。
しかし、これについて説明をしなかったことは、医師法23条違反であり、また、カルテに記載がないことは医師法24条違反である。
7.医師法施行規則(昭和23年10月27日厚生省令第47号)23条違反
 6月11日のカルテには、右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性について記載がない。そればかりか、同日HN医師は、「化膿性膝関節炎はよくなっている。菌は関節内にない。骨髄炎になるかもしれないのでザイボックスを服用する」旨をカルテに記載した。
これは事実と異なるものであり、診療録に記載すべき「病名及び主要症状、治療方法(処方及び処置)」を規定する医師法施行規則23条違反である。
8.医療法(昭和23年7月30日法律第205号)1条の4第1、2項違反
 6月11日時点において、右膝MRSA感染中でありバンコマイシン継続投与の必要性を認識・把握しておきながらこれを実施せず、ザイボックスを処方したことは、「良質かつ適切な医療を行う」ことを規定する医療法1条の4第1項違反であり、右膝MRSA感染中であることを及びバンコマイシン継続投与の必要性を申立人に説明しなかったことは、「適切な説明を行う」ことを規定する同法1条の4第2項違反である。
9.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日法律114号)5条違反
 6月11日時点において、右膝MRSA感染に対する良質かつ適切な医療であるバンコマイシン継続投与を実施せず、また、右膝MRSA感染中であること及びバンコマイシン継続投与の必要性があることについて申立人に説明しなかったことは、「医師等の責務」について規定する感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律5条違反である。
第6 小括
 以上によれば、本件第1手術と右膝障害の結果との間の因果関係について判断をしていないかまたはこれを否定した一審判決を是認した原判決は、最高裁判所第3小法廷平成9年11月28日判決(集民186号269頁)と相反する判断があり、憲法13条、民訴法179条、民訴法151条1項5号、医師法23、24条、医師法施行規則23条、医療法1条の4第1、2項、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律5条に違反し、民法709条、民法645条の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第7章 判例違反(7)
第1 はじめに
 骨の感染、骨髄炎罹患、右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失、ARDS発症を認定判断していないかまたはこれを否定した一審判決を是認し、看護記録改竄・隠蔽及び診療録の不備を否定した原判決の判断は、最高裁判所第1小法廷昭和32年10月31日判決(民集第11巻10号1779頁)及び最高裁判所第3小法廷昭和59年3月13日判決(集民第141号295頁)と相反する判断があり、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであるから、上告受理を求める(上告受理申立て理由8)。
第2 最高裁判所が判示した「書証排斥」及び「書証の証明力の排斥」に関する違法について
1.最高裁判所第1小法廷昭和32年10月31日判決(民集第11巻10号1779頁)は、書証について何ら首肯するに足る理由を示すことなく、ただ漫然とこれを採用できないとしたのは審理不尽、理由不備の違法があると判示した。
2.最高裁判所第3小法廷昭和59年3月13日判決(集民第141号295頁)は、特段の事由を明らかにすることなく、書証の証明力を排斥した判断に審理不尽、採証法則違反、理由不備の違法があると判示した。
第3 原判決の問題
「骨の感染」、「骨髄炎罹患」、「右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失」、「ARDS発症」、「看護記録改竄・隠蔽」及び「診療録の不備」を証明する証拠となる書証である文書・画像について理由を示すことなく排斥し、また、これら書証の証明力を排斥した原判決は、最高裁判所第1小法廷昭和32年10月31日判決(民集第11巻10号1779頁)及び最高裁判所第3小法廷昭和59年3月13日判決(集民第141号295頁)と相反する判断がある。
第4 事実及び書証
1.骨の感染の事実
「骨の感染」であることは、本件病院医薬品適正使用ラウンド(2009.5.27付、2009.6.3付)の「     」欄に記載がある(甲A22号証)。
2.5月18日骨髄炎罹患の事実
「5月18日骨髄炎に罹患」している事実は、5月14日撮影右膝造影MRI画像から明らかである(甲A60号証の1~4)。
3.右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失の事実
「右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失」している事実は、5月14日撮影右膝造影MRI画像から明らかである(甲A60号証の1~4)。
4.ARDS発症の事実
「ARDSを発症」している事実は、4月28日、5月4~7日撮影胸部レントゲン画像から明らかである(甲A62号証、甲A63号証、甲A64号証、甲A65号証、甲A66号証)。
5.6月17日骨髄炎罹患の事実
 6月17日、湘南東部総合病院整形外科受診即日入院当日、MRI検査及びレントゲン撮影検査が実施され、NH医師は申立人及びその家族らに、「骨髄炎に罹患しており、膝関節、大腿骨及び脛骨が損傷している。」ことを説明した。
 6月17日に、骨髄炎に罹患していることは、同医師が診断書に、「右化膿性膝関節炎(MRSA)骨髄炎」と明記し、同傷病名を同日申立人(本人)に告げた旨を記載したことから明らかである(甲A78号証)。
6.看護記録改竄・隠蔽の事実
(1)「看護記録改竄・隠蔽」の事実は、平成22年11月5日、申立人元代理人NS弁護士が申立人元代理人KJ弁護士に電話聴取しその内容を「電話聴取書」に記載した。同聴取書には、「当職は、北里大学病院の医事課に電話して、「医療記録の全てが送付されていないようだ。レントゲン画像や看護記録の一部がないので送付してほしい。」と告げました。しかし、医事課の担当者から、「それで全部です。」と言われてしまいました。この返事を聞いて、当職は、証拠保全の必要性を感じました。実際、当職の当日のメモには「証拠保全の必要」との記載があります。」と記載がある(甲C20号証の1)。
(2)申立人元代理人HC弁護士及び申立人元代理人NS弁護士らは、証拠保全申立書7頁(平成22年11月2日付)に、「看護記録に関しては、手術当日に関する313頁と314頁の間に意図的に抜粋された形跡がある(疎甲7)。」と明記した(甲C11号証)。
(3)申立人元代理人HC弁護士及び申立人元代理人NS弁護士らは、補充書面2頁(平成22年11月10日付)に「看護記録に至っては、5月1日午前2時から5月3日午前2時30分までの記録が全て抜き取られている(疎甲7の8頁と9頁の間が抜けている)。しかも、看護記録が抜けている5月2日は、第2回デブリドマン手術が行われた日である。開示された看護記録にあえて通し番号が振ってあることからみても、意図的に抜粋した可能性が高いと言わざるを得ない。」と明記した(甲C11号証)。
(4)要するに、「看護記録改竄・隠蔽」の事実は、申立人元代理人KJ弁護士、同HC弁護士、同NS弁護士3名らによる作成文書又は聴取文書である「証拠保全申立書」、「補充書面」及び「電話聴取書」に明記されている(甲C20号証の1、甲C11号証)。
(5)以上のことから、看護記録改竄・隠蔽は明らかである。
7.診療録の不備の事実
(1)本件病院入院後、右膝レントゲン撮影を実施するも、同撮影検査結果の所見記載が一切ない。
(2)5月1日、右膝造影MRI検査結果の所見記載がない。
(3)5月上旬、「骨髄炎」罹患の記載がない(甲A87号証の6)。
(4)5月18日TDMについて、T薬剤師はH先生へとし、「血中濃度および治療計画の要点をカルテに記載してください。記載することで血中濃度の保険請求可能となります(血中濃度だけでは保険請求できません)。」と記載がある。
HN医師は血中濃度すら記載しておらず治療計画の要点も記載していない。しかし、保険請求はしている。
また、同医師は、TDMに「診断名」を記載していない。
要するに、「骨髄炎」の記載がない(乙A1号証の97頁、甲A54号証)。
(5)6月12日、抜糸(6月1日縫合部位)をした記載がない。
第5 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.民訴法253条1項3号違反
 右膝MRI画像、胸部レントゲン画像、診断書、証拠保全申立書、補充書面、電話聴取書、医薬品適正使用ラウンド、カルテ記載等の画像及び文書である書証について、原審は、書証と反対の事実を認定し、認められるべき証拠である書証を排斥した。原審がこれら書証を排斥する合理的な理由を解明せず、特段の理由を説示しないことは民訴法253条1項3号違反であり、理由不備の違法がある。
2.民訴法247条違反
(1)右膝MRI画像、胸部レントゲン画像、診断書、証拠保全申立書、補充書面、電話聴取書、医薬品適正使用ラウンド等の書証を証拠として採用しないことは、採証法則に反する。よって、採証法則に反する事実認定は違法である(民訴法247条)。
この結果、審理が尽くされておらず審理不尽の違法がある。
(2)本件第1手術後右膝MRSA感染し、右膝レントゲン撮影検査を実施していたのであるから、当然これに対する所見をカルテに記載するという常識的経験則がある。
ところが、これについてカルテに一切記載がない。「診療録の不備」を認定しない原審の判断には、常識的経験則に反する違法がある(民訴法247条)。
3.憲法13条違反
(1)看護記録改竄・隠蔽は、証明妨害行為であり説明義務違反である。これは憲法13条違反である。
(2)カルテ虚偽記載
 6月11日、右膝MRSA感染が陰性化しておらず、バンコマシン継続投与の必要があったにもかかわらず、HN医師が、「化膿性膝関節炎は今のところよくなっていて菌も関節内にはないが、骨髄内に入って骨髄炎になるかもしれないのでザイボックスという抗MRSA内服薬を開始した。」とカルテに記載したことは事実と著しく異なる。これは説明義務違反であり、憲法13条違反である。
(3)カルテに事実無根の記載
 カルテに事実無根の記載がある。6月11日、「自殺未遂」とのカルテ記載は、事実無根である。記載者「み」の氏名は不明である。虚偽記載である「自殺未遂」を「口実」としたザイボックス処方はきわめて重大な問題である(U証人調書19、40、52頁)。
 なお、UK医師は、「自殺未遂」について、「あります。」と虚偽の証言をし、また、HN医師は、「(自殺未遂について)間違えていません。ー中略ー間違えていません。」と虚偽の証言をした(U証人調書40、52頁、H証人調書13、23頁)。
虚偽の証言だけでも問題であるところ、これにより、ザイボックス処方の「口実」となっていることは、きわめて重大な問題である(下線は申立人による。)。
4.民法709条の解釈適用の誤り
 看護記録改竄・隠蔽は、証明妨害行為であり、これは不法行為である。よって、看護記録改竄・隠蔽を認定判断しない原判決は、民法709条の解釈適用を誤った違法がある。
第6 小括
 以上のことから、骨の感染、骨髄炎罹患、右膝半月板消失・右膝前十字靭帯ほぼ消失、ARDS発症、看護記録改竄・隠蔽及び診療録の不備を証明する証拠となる書証について理由を示すことなく排斥し、また、これら書証の証明力を排斥した原判決は、最高裁判所第1小法廷昭和32年10月31日判決(民集第11巻10号1779頁)及び最高裁判所第3小法廷昭和59年3月13日判決(集民第141号295頁)と相反する判断があり、憲法13条、民訴法247条、民訴法253条1項3号に違反し、民法709条の解釈適用を誤った違法があり、これらの法令違反の結果、審理の尽くされていない部分が存在し、その部分に対する判断が欠けることになるので、理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
第Ⅲ部 判例のない法令解釈につき最高裁判所の判断の必要性
第1 はじめに
 患者が死亡しても構わないとして治療をしない事件に関する最高裁判所判例は見当たらない。また、本件病院医師らの申立人に対する「医療の名に値しない」主要事実認定にあたり、証拠の採否に関して民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法がある。よって、上告受理を求める(上告受理申立て理由9)。
第2 原判決の問題
1.原判決は、本件第2手術の持続洗浄開始時期について、「後記のとおり争いがある。」とし、事案を解明していない(判決2頁)。
2.本件第2手術直後から4時間もの間、持続洗浄を実施しなかった主要事実認定にあたり、証拠の採否に関して民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法がある。
3.本件第2手術直後から持続洗浄を実施しなかった主要事実について、UK医師は虚偽の証言をし、虚偽の証言が判決の証拠となっている(一審判決42頁、U証人調書39頁)。
第3 最高裁判所が判示した「唯一の証拠方法の法則」
 最高裁判所第1小法廷昭和53年3月23日判決(集民第123号283頁)及び最高裁判所第2小法廷平成20年11月7日判決(集民第229号151頁)は、争点となっている特定の主要事実を立証するために当事者が申し出た唯一の証拠方法は特段の事情がない限り必ず取り調べなければならないとする証拠法則、すなわち、唯一の証拠方法の法則を判示した。
第4 医療の名に値しないこと
1.本件第2手術直後の5月2日午前4時50分から午前9時頃まで、Y看護師及びO看護師らが、申立人をベッドに寝かせず、床上約160cmの高さに設置した担架状様に放置した事実がある。
2.本件第2手術直後から持続洗浄を実施しないことに因る敗血症等を原因とする「死の恐怖」及び床上約160cmの高さからの「落下の恐怖」に「4時間」もの間曝露させた。申立人の容態はきわめて重篤な病態にあった(CRP:29.36)。
3.本件第2手術直後から持続洗浄を実施しないことに因る「死の恐怖」を恐れ、申立人は、Y看護師及びO看護師らに持続洗浄を直ちに開始するように要請したが、両看護師らは、「  さんは治療の対象になっていない。持続洗浄は実施しないことになっている。治療をしないことになっている。」と言明した事実がある。
第5 医療の名に値しない事実認定に違法があること
1.本件第2手術後から4時間もの間、申立人が放置された状況を証明するために、Y看護師及びO看護師らの証人尋問を実施すべく、申立人は証拠申出書(平成26年6月16日付、平成27年4月29日付)を提出した。これは、唯一の証拠方法である。
2.原審は証拠申出書を排斥し、本件第2手術直後から4時間持続洗浄を実施しなかった主要事実を認定していないかまたは「4時間、持続洗浄が実施されなかったものと認めることはできない。」と認定判断した一審判決を是認している。その主要事実認定に違法がある(一審判決43頁)。
3.要するに、本件第2手術から4時間もの間、申立人が放置された主要事実について、証拠の採否に関して民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法がある。違法な認定を前提としたうえでの判断にも違法がある(民訴法321条1項)。
第6 UK医師は虚偽証言をしていること
 本件第2手術直後の持続洗浄の有無に関し、160cmの高さに設置された担架状様に放置された主要事実についてUK医師は、「事実ではありません。」と虚偽の証言をし、かかる事実について同医師は、「あり得ないと思いますよ。」と虚偽の証言をした(U証人調書39頁)(下線は申立人による。)。
第7 法令の解釈に関する重要な事項を含んでいること
1.憲法11条違反
 本件第2手術直後のきわめて重篤な病態にあった申立人をベッドに寝かせず、床上約160cmに設置した担架状様に放置することは、非人道的行為であり、人間の尊厳を著しく侵すものである。これは、憲法11条違反である。
2.憲法13条違反
 5月1日、午前、UK医師は、「右膝内から菌が出ている。緊急手術を実施し、持続洗浄を実施して膝の中を洗い流さないと死亡する。」と説明したことから、本件第2手術直後から持続洗浄を実施しないことは、申立人の生命を著しく脅かすものである。本件病院医師らは、死亡する危険性を判っていながら持続洗浄を実施しなかった。
申立人の生命存続そのものを否定することは、憲法13条違反である。
3.民訴法181条1項の解釈適用の誤り
 争点となっている特定の主要事実を立証するために申立人が申し出た唯一の証拠方法を却下することは、民訴法181条1項の解釈適用を誤った違法がある。
4.民訴法321条1項違反
 唯一の証拠の申出を排斥して、申立人の主張事実を認めることができないと認定したことは、適法に確定された事実ではない。民訴法321条1項違反である。
第8 小括
1.最高裁判所第1小法廷平成17年12月8日判決(集民第218号1075頁)の補足意見は、「医師の検査、治療等が医療行為の名に値しないような例外的な場合には、「適切な検査、治療等の医療行為を受ける権利を侵害されたこと」を理由とし損害賠償責任を認める余地がないとはいえない。」と示した。
2.本件第2手術直後から4時間もの間、申立人が死亡しても構わないとしてUK医師が持続洗浄を実施しなかった。
そして、前記両看護師らは重篤な病態にあった申立人に対し持続洗浄を実施しないことに因る敗血症等を原因とする「死の恐怖」及び床上約160cmの高さからの「落下の恐怖」に「4時間」もの間曝露させた。
UK医師及び両看護師らの行為は、「医療の名」に値しない。
3.このような事件について、最高裁判所判例はいまだ見当たらない。よって、御庁が判断される必要がある。
北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅲ章ー2につづく。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅱ章

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅰ章」に続き、本記事において、偽造文書・虚偽診断書・看護記録改竄隠蔽・変造文書その他、告訴等について記載したいと思う。
第Ⅰ部 偽造文書・虚偽診断書・看護記録改竄隠蔽・変造文書・その他
1.第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)説明同意書は「偽造文書」である。第2回目手術説明同意書が偽造文書であることにつき、控訴審(東京高裁)にて被告(学校法人北里研究所:北里大学病院を設置運営)は反論できなかった。擬制自白である。
筆者は第2回目手術説明同意書に同意していないので、筆者が所有している「第2回目手術説明同意書」には、署名も押印もない。
ところが、平成22年5月7日北里大学病院が任意開示により筆者元代理人弁護士に送付した「第2回目手術説明同意書」には、何者かが筆者の氏名を記載し、かつ身元不明の拇印がある。
平成22年8月17日、筆者及びその家族らは相模原南警察署(北里大学病院所轄)刑事課強行犯係高橋刑事と面談し、筆者元代理人弁護士が任意開示にて入手のカルテ及び検査データ等350頁程を証拠書類として提出し、第2回目手術説明同意書が「偽造文書」であることにつき刑事事件としての取り扱いの意思表示をした。
しかし、平成23年3月同高橋刑事は異動の際、後任の同署同課同係加藤刑事に引き継ぎをしておらず、筆者が提出した上記証拠書類を保存していなかった。
カルテ及び検査データ等350頁程を再度コピーし、車椅子を使用して相模原南警察署まで行き、北里大学病院医療過誤につき再度説明することは困難である。
筆者は「偽造文書」につき刑事事件としての取り扱いを断念せざるを得なくなった。
なお、仮に、上記証拠書類を再度コピーし、相模原南警察署まで行き北里大学病院医療過誤につき再度説明をしていたとしても、同署が適切な対応をしたとは思えない。
平成27年12月4日最高裁による敗訴決定後、平成28年1月26日午後、筆者及びその家族らは相模原南警察署を訪問し、同署鈴木警部補に告訴状原本(詐欺罪・傷害罪等)受理を訴えた。
筆者は人の命にかかわる事件であることを繰り返し主張したが、同警部補は担当刑事が不在であること及び告訴状原本を必ず受理する必要はないと説明した。
そこで、翌1月27日午前10時に同署を再度訪問し担当刑事らと面談をする約束をし、筆者らは1月26日午後9時過ぎ頃離署した。
翌日1月27日午前10時頃、筆者らは相模原南警察署を再度訪問し担当刑事らと面談をした。
しかし、筆者らが、「まだ話が終わっていません。」と主張したにもかかわらず、同署知能犯係担当刑事は、筆者らの意思を無視し、申立てを打ち切るため筆者らを離署させることを目的としてタクシーを呼んでしまった。
そして、同刑事が車椅子使用中の筆者を署内から署外に出したので、同署を引き上げるほかなかった
平成28年1月26日午後9時過ぎ頃まで告訴状原本受理の必要性を訴えた上、翌日1月27日午前10時面談の予約をし同署を再度訪問した意義は全くなかった。
2.受持医HN作成による虚偽診断書
受持医HNは、診断書に「虚偽病名」を記載し、また、虚偽病名の原因を「不詳」とし、さらに前医を「」とするなど、診断書に虚偽記載をした
その結果、筆者自身が加入し当然に受け取るべき後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金等、計約761万円を受け取ることができなかった。
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入院の原因となった傷病名は、「右化膿性膝関節炎」ではない
関節液培養検査により「菌」を検出しなければ「化膿性膝関節炎」と診断することはできない。関節液培養検査結果判明には2~3日を要する。よって、平成21年4月24日時点では「右化膿性膝関節炎の疑い」である。
確定診断は、「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」であった。つまり、平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、「右化膿性膝関節炎」ではなかったのである
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chronic synovitis:慢性の滑膜炎
punniculitis:皮下脂肪組織炎
★受持医HNが前医を知らないはずはない。前医である北里大学病院整形外科から湘南中央病院整形外科宛てに「診療情報提供書」(2009(平成21)年1月13日付)が発行されていた。
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入院後発症傷病名 MRSA関節炎と明記がある。入院後発症傷病名とは、「入院後に発症した傷病名であり入院時にはなかった傷病名である。」と定義されているMRSA関節炎とは右化膿性膝関節炎(MRSA)のことである。
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平成22年8月17日、筆者及びその家族らは前記高橋刑事と面談し、前記証拠書類を提出し、北里大学病院整形外科受持医HN作成による「虚偽診断書」について刑事事件としての取り扱いの意思表示をした。
しかし、平成23年3月高橋刑事は異動の際、後任の同署同課同係加藤刑事に引き継ぎをしておらず、提出した上記書類を保存していなかったため、「虚偽診断書」につき刑事事件としての取り扱いを断念せざるを得なかった。
北里大学病院は特定機能病院であり、特定機能病院にて治療を受けた患者は当該病院に質問をすることが可能である。そこで、受持医HNが作成した虚偽診断書について問題を解決すべく、平成23年9月24日、筆者は北里大学病院に電話をした。
ところが、対応に出た者が取り次ぎを拒否し一方的に電話を切った。この繰り返しが続いたので、筆者は相模原南警察署刑事課強行犯係に電話をし、北里大学病院担当者が取り次ぎを拒否し、話ができない状態にある事実を訴えた。対応したよこい刑事は北里大学病院に再度電話を試みるよう提案したので、北里大学病院に再々度電話をしたが一方的に電話を切られてしまった。筆者は北里大学病院に電話をすることを断念した。
受持医HN作成による「虚偽診断書」について問題を解決することはできなかった。
3.看護記録改竄・隠蔽
筆者元代理人弁護士3名が、「看護記録改竄・隠蔽」の箇所を特定し、証拠保全申立書(平成22年11月2日付)、電話聴取書(平成22年11月5日付)、証拠保全申立書の補充書面(平成22年11月10日付)に明記した。
筆者元代理人弁護士らは、証拠保全申立書(同上)に、「看護記録に関しては、手術当日に関する313頁と314頁の間に意図的に抜粋された形跡がある。」と明記し、証拠保全申立書の補充書面(同上)に、「看護記録に至っては、5月1日午前2時から5月3日午前2時30分までの記録が全て抜き取られている(疎甲7の8頁と9頁の間が抜けている)。しかも、看護記録が抜けている5月2日は、第2回デブリドマン手術が行われた日である。開示された看護記録にあえて通し番号が振ってあることからみても、意図的に抜粋した可能性が高いと言わざるを得ない。」と明記した。
しかし、原審(東京地裁)は、筆者元代理人弁護士3名が作成した上記文書を証拠として採用せず、「看護記録改竄・隠蔽」について認定判断しなかった。
控訴審(東京高裁)は筆者元代理人弁護士3名が作成した上記文書を証拠として採用せず、「控訴人が主張する診療録の不備や看護記録の隠蔽などについても、控訴人主張の事実が認められないか、又は控訴人主張の事実が不法行為若しくは債務不履行に当たるものとは認められない。」と認定判断した。
筆者は書証排斥及び書証の証明力の排斥について違法があると主張し上告受理を申立てたが、最高裁は上告審として受理しない決定をした。
最高裁が、「証拠保全申立書」、「補充書面」、「電話聴取書」等書証の証明力を排斥した判断は不明である。
筆者元代理人弁護士3名が作成した書証でさえ証拠として採用せず、結局、「看護記録改竄・隠蔽」を認定判断しなかった
4.変造文書による右膝造影MRI検査を実施するも所見記載無し
平成21年5月1日MRI造影検査説明と同意書は、平成21年4月30日CT造影検査説明と同意書を変造したものである。
筆者が所有している平成21年4月30日付造影検査説明と同意書原本には、「CT」にのみ丸印が付されている。同日は「CT」検査のみである。
ところが、北里大学病院が提出した提出した平成21年4月30日付造影検査説明と同意書には、「CT」及び「MRI」に丸印が付されていた。平成21年4月30日に「造影MRI」検査を実施した事実はない。
平成22年8月17日、筆者及びその家族らは前記高橋刑事と面談し、前記証拠書類を提出し、「変造文書」について刑事事件としての取り扱いの意思表示をした。
しかし、平成23年3月同高橋刑事は異動の際、後任の同署同課同係加藤刑事に引き継ぎをしておらず、提出した上記証拠書類を保存していなかったため、「変造文書」につき刑事事件としての取り扱いを断念せざるを得なかった。
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(611号法廷)にて、平成21年5月1日造影MRI検査説明と同意書の説明について、主治医UKは、「私はしていません。」と証言した。
平成21年5月1日主治医UKは右膝造影MRI検査の説明同意書を得ることなく同検査を実施したが、同検査所見はカルテにも診療録にも記載が無い。
平成21年5月1日右膝造影MRI検査を実施した目的は全く不明である。
同日使用した造影剤オムニスキャンの添付文書には、「一般状態の極度に悪い患者に対する投与は「禁忌」であり、特に必要とする場合には慎重に投与」と記載がある。造影剤使用に因るアナフィラキシーショックの危険性があった。
平成21年5月1日筆者は敗血症性ショック(死亡率30~70%)に陥り、CRP:31.31、ARDS(急性呼吸促迫症候群:致死率50%超)を発症し、きわめて重篤な病態にあった。患者によっては「死亡」レベルである。
前日4月30日に主治医UKは、右膝MRSA感染を認識し、バンコマイシンを投与開始しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識しながらバンコマイシンを投与開始せず右膝MRSA感染を増悪させるMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認し、翌日5月1日も右膝MRSA感染を増悪させるMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認し、同日「生死にかかわる可能性もあること」とカルテに記載しきわめて重篤な病態にあることを認識していたが、造影剤オムニスキャンを使用した。
主治医UKが右膝造影MRI検査結果所見をカルテに記載しなかったことから、治療を目的とした検査とは考え難く、「特に必要とする場合」に該当しない。造影剤を使用したことに強い疑念を持っている。
つまり、平成21年5月1日主治医UKは変造文書に基づき、きわめて重篤な病態にあった筆者に「禁忌」である造影剤を使用し、右膝造影MRI検査結果所見をカルテにも診療録にも記載せず、右膝MRSA感染を認識しておきながらMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認し、筆者の生命を危機的状況に曝露させ続けた。
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5.虚偽病名
2009年04月分 診断群分類決定票には、[併存症] 低ナトリウム血症2型糖尿病・糖尿病性合併症なし、[後発疾患] 自立神経発作と記載がある。
発行年月日時刻は、「2009/04/27 20:52」である。捺印欄には第1回目手術(平成21年4月25日)執刀医である北里大学病院整形外科医チーフMAの「捺印」がある。
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筆者は「低ナトリウム血症」、「2型糖尿病・糖尿病性合併症なし」と診断された事実はいずれも一切無い。
しかし、既往歴として上記病名が記載されていた。
また、平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院から4月27日までの「3日間」に、「自立神経発作」を惹起した事実は一切無い。
2009年04月分 診断群分類決定票の捺印欄には、チーフMA「捺印」があることから、「低ナトリウム血症」、「2型糖尿病・糖尿病性合併症なし」、「自立神経発作」の「虚偽病名」を発行したのはチーフMAであると推認する。
平成21年4月25日チーフMAは第1回目手術前に予防的抗菌薬を投与せず院内感染防止対策を怠り、セファゾリン(予防的抗菌薬)1gパック2個手術室に持参した。チーフMAの氏名が記載され「2個手術室持参」と明記がある。
ところで、主治医UKは、平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらずバンコマイシンを継続投与すべき病態にあり、同剤を継続投与しないことに因る右膝障害の結果発生を認識していたにもかかわらず、同剤を継続投与せず、根拠なく、抗MRSA薬の中で最上位格にある「ザイボックス」を服用させた。
主治医UKらは、「ザイボックス」使用に固執している。
ザイボックスの重症度が高度の副作用として、「低ナトリウム血症」がある。また、当時筆者は三環系抗うつ薬アナフラニール」を服用しており、抗うつ薬とザイボックスとの併用投与に因りセロトニン症候群(自立神経発作)が発現する。
筆者の抗菌薬投与歴・データを見た医師らは、主治医UKらの抗菌薬投与は右膝MRSA感染を増悪させ、バンコマイシン耐性を発現させるものであると厳しく批判している
すなわち、右膝MRSA感染に対するMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与(平成21年4月27日~同年5月1日)、MRSA耐性テトラサイクリン系クーペラシン長期継続投与(平成21年5月7日~同年6月1日)、ステロイドパルス療法(平成21年5月1~3日)、ステロイド投与(平成21年5月4~11日)、平成21年5月10日バンコマイシン投与開始という「異常な遅れ」である。
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平成21年5月10日バンコマイシン投与開始
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★4/25「Dx (診断)右化膿性膝関節炎」の記載は「虚偽」である。「化膿性膝関節炎の疑い」である。
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平成21年4月27日受持医HNがセファゾリンセファメジンと同義)投与を終了したことから起因菌「MRSA」を認識したはずである(セファゾリンが奏功せず起因菌はMRSAである。)。
そして、チーフMAも平成21年4月27日に起因菌「MRSA」を認識したはずであり、この事とチーフMAの虚偽病名発行とは無関係とは言えないと思われる。
チーフMAは平成21年5月1日右膝MRSA感染を増悪させるMRSA耐性ペニシリン系ビクシリンを継続投与した。
平成21年4月27日に、ザイボックス服用以前にザイボックス服用後に発現する副作用が事前に入力されていたことは不可解である。
ところで、平成21年8月10日筆者は後医である湘南東部総合病院整形外科に入院中であり治療・リハビリに専念しており、「裁判」を考える余裕など全く無い。
筆者が北里大学病院医療過誤につき「裁判」を考え始め弁護士に相談をしたのは平成22年4月頃である。
ところが、裁判について考え始める「半年以上」も前から、採血結果や培養検査結果等の大量のデータが出力されていた。
データ出力年月日は、「2009.8.10 08:00」である。筆者だけでなく、筆者元代理人弁護士らもこの点を不審に思っていた。
第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)のANESTHESIA RECORD(麻酔記録)及びその他診療録の中には、「521チュウシ」、「362チュウシ」の手書きの記載が散見される。
「チュウシ」は、「治療中止」を意味すると思われる。
平成21年5月2日午前5時頃看護師Y(名不詳)が筆者に「治療しないことになっている。治療の対象になっていない。」と言明したとおり、筆者は「治療の対象」になっていなかったのである
6.架空の入院歴
筆者はうつ病と診断され「通院歴」はあるが「入院歴」は一切無い。
しかし、受持医HNは、うつ病(東病院入院歴あり)と診療録に事実無根の「架空」を記載した。
7.カルテに事実無根の「架空」を記載
平成21年6月11日「み」(氏名不詳)は、「自殺未遂」とカルテ記載した。しかし、自殺を企図した事実は一切無い。「自殺未遂」は事実無根の「架空」である。
「自殺未遂」の表記は社会的評価を著しく低下させる。
筆者は以下のとおり、関係諸機関担当者と面談し、また、平成25年4月東京地裁民事訴訟提起後、第1準備書面に「6/11自殺未遂の記載は虚偽記載であり、事実無根の記載をした理由を説明しなければならない。」と明記し、「み」の氏名特定の必要性を主張し、さらに、文書を提出するなどして、「み」の氏名特定に努力してきたが、「」の氏名を特定できておらず、名誉毀損罪で告訴できない状態にある。
(1)平成22年8月17日相模原南警察署刑事課強行犯係高橋刑事面談
(2)平成25年9月26日東京地裁にて第1準備書面(平成25年9月16日付)陳述
(3)苦情申出書(平成28年4月18日付)神奈川県公安委員会殿宛
(4)上申書(1)(平成28年8月1日付)丸の内警察署長殿宛
(5)上申書(1)(平成28年8月16日付)東京地検特捜直告班宛
(6)行政処分等申立書(平成29年2月7日付)厚生労働大臣 塩崎恭久殿宛
(7)訴追請求状(平成29年3月6日付)裁判官訴追委員会
(8)上申書(1)(平成30年1月15日付)厚生労働大臣 加藤勝信殿宛
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8.カルテに事実無根の「架空」を記載
平成21年6月11日、受持医HNは、「転落しようとしていた。」「本人、家族もこんなに病院に迷惑をかけたので今後は当院には何があっても受診しないと約束した。今までには自殺企図etcで近医は全て行けなくなってしまったと。」とカルテ記載した。
しかし、これらは全て事実無根の「架空」である。言語道断の記載に恐怖を感じる。
手術に因り右膝MRSA感染させ、かつ右膝MRSA感染を増悪させた責任転嫁のための言い逃れと思われる。
(1)筆者が「転落しようとしていた。」事実は一切無い。事実無根の「架空」である。
「無断で車イスに移乗し」とあるが行動の制限を受けた事実は一切無い。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院当日から6月9日までバルーンチューブ(尿道留置カテーテル)を装着し排尿パックがベッド柵に固定されていたが、6月10日自尿となりバルーンチューブから解放された。情報用紙に「6/10 BT抜去、W/Cトイレ使用」と記載がある。
「2週間の入院予定」であったが、「49日間」経過しその間「外出」したことは一度も無かった。車椅子を使用し移動するのは個人の自由である。
なお、「メール」とカルテ記載があるがメール設定をしておらずメール送信は不可能である。
(2)筆者及びその家族は北里大学病院に迷惑をかけた事実は一切無い。事実無根であり「架空」である。
北里大学病院整形外科入院中、筆者は数名の看護師らに謝礼を渡そうとしたが看護師らは規則により受け取ることができないと返答した。謝礼を受け取った看護師は一人もいなかった。
一方、受持医HNは謝礼を受け取ったがこれが迷惑とは思えない様子であった。
(3)受持医HNの指示に従い、筆者は平成21年6月24日北里大学病院整形外科外来HNの受診を予約していた。入院・看護総括に「外来名 整形外科 再診予定日 6月24日外来担当医H 外来での継続看護 要(に丸印)」と記載があるとおりである
「受診しない約束」をした事実は一切無い
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★診断名 「右化膿性膝関節炎」の記載は、「虚偽」である。
★確定診断は、「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」である。
★平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、「右化膿性膝関節炎」ではなかったのである。
(4)筆者が自殺企図etcで近医は全て行けなくなった事実は一切無い。事実無根であり、「架空」である。
第Ⅱ部 横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分・嫌疑なし
第1 傷害罪・殺人未遂罪成立せず
北里大学病院医療過誤事件につき、筆者は明白な証拠資料に基づき、複数の弁護士・医師らに相談の上、北里大学病院整形外科外来担当医SK、主治医UK、チーフMA、受持医HN、院内感染対策指導医M、看護師Y(名不詳)及び看護師O(名不詳)らの被疑事実が刑事処分に相当することを確認し告訴した。
しかし、横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛は、「不起訴処分」とし、また、その理由を「嫌疑なし」とした(平成29年7月7日付処分通知書:平成29年検第1137~1143号、平成29年7月14日付不起訴処分理由告知書:平成29年検第1137~1143号)。
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第2 山積の被疑事実
北里大学病院整形外科外来担当医SK、主治医UK、チーフMA、受持医HN、院内感染対策指導医M、看護師Y(名不詳)及び看護師O(名不詳)らの被疑事実は、異常に多過ぎるので、一例を挙げるに留める。
1.治療を開始せず右膝MRSA感染を増悪させた。
主治医UKは、平成21年4月30日右膝MRSA感染を認識し、同日バンコマイシンを投与開始しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識しながら同日同剤を投与開始せず、右膝MRSA感染増悪という結果を発生させた。これは患者を治療しないことによる傷害、つまり、不作為の傷害である。
2.必須の治療を終了し右膝障害の結果を発生させた。
主治医UKは、平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらずバンコマイシンを継続投与すべき病態であった事実及びバンコマイシンを継続投与しないことに因る右膝障害の結果発生を認識しながら同日同剤継続投与を終了し、右膝障害の結果を発生させた。
すなわち、右膝MRSA感染に対する必須の治療を終了したことは故意の傷害である。
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平成21年6月10日バンコマイシン投与終了
3.右膝を不法に約17.5cm切開した。
「右化膿性膝関節炎の疑い」に対する治療方法は「抗菌薬の静脈投与」であり、右膝切開術ではない。
右膝切開術により右膝を不法に約17.5cm切開した。これは右膝を不法に「切り付けた」行為であり、傷害である。
4.治療を開始せず生命の危険に曝露させ続けた。
平成21年5月1日筆者は敗血症性ショック(死亡率30~70%)に陥り、CRP:31.31、ARDS(急性呼吸促迫症候群:致死率50%超)を発症し、きわめて重篤な病態にあった。
主治医UKは平成21年5月1日「生死にかかわる可能性もあること」とカルテ記載し筆者が瀕死の病態にあったことを認識していたが、同日救命救急措置に必須の治療であるバンコマイシン投与を直ちに開始しなかった。
これは不作為による殺人未遂である。
敗血症性ショックに対する抗菌薬投与は、1時間遅れる毎に7.6%の生存率が下がるため、敗血症性ショック発生から1時間以内に抗菌薬(バンコマイシン)を投与開始しなければならなかったのである。
ところが、主治医UKがバンコマイシンを投与開始したのは、「平成21年5月10日」であった。
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平成21年5月10日バンコマイシン投与開始
5.術直後から必須の持続洗浄を実施せず生命の危険に曝露させ続けた。
主治医UKは、第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)直後から午前9時頃まで、必須の持続洗浄を実施しなかった。
「術直後から持続洗浄を実施しなければ、右膝関節内の菌が全身を駆け巡り死に至る。」と説明していた主治医UK自身が術直後から持続洗浄を実施しなかった。これは不作為によ殺人未遂である。
6.身体器官を消失・切除・切断した。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前正常に存在していた筆者の身体器官が、入院手術後に消失、切除、切断されていた。
右膝半月板消失
右膝前十字靭帯ほぼ切除
右膝蓋下肢伏在神経切断
右膝半月板消失及び右膝前十字靭帯ほぼ切除につき一切説明は無く、カルテに記載が無い。
右膝半月板消失に至ってはカルテにも診療録にも記載が無い。
承諾なく、筆者の身体器官消失・切除・切断は傷害である。
北里大学病院以外の整形外科医らは、北里大学病院入院時・入院中撮影の平成21年4月24日撮影右膝MRI画像、同年5月1日撮影右膝MRI画像、同年5月14日撮影右膝MRI画像につき以下のとおり画像診断した。
(1)4月24日撮影右膝MRI画像から右膝関節に水が貯留していること。
(2)5月1日撮影右膝MRI画像から骨髄炎を発症していること。
(3)5月14日撮影右膝MRI画像から、
①5月1日撮影時に比し、骨の感染増大・骨髄炎増悪
右膝半月板消失
右膝前十字靭帯ほぼ切除され不鮮明
主治医UKは、平成21年4月25日に第1回目手術を実施、平成21年5月1~2日に第2回目手術を実施した。よって、主治医UKが右膝半月板を消失させ、右膝前十字靭帯をほぼ切除したのは、「第2回目手術時」である。
平成25年9月26日第3回口頭弁論期日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて筆者は、北里大学病院整形外科にて撮影した右膝造影MRI画像フィルム(平成21年4月24日撮影、平成21年5月1日撮影、平成21年5月14日撮影)を証拠として提出し上記画像診断を主張した。
平成21年5月14日撮影の右膝造影MRI画像フィルムから第2回目手術によって、右膝半月板が消失し、右膝前十字靭帯がほぼ切除され不鮮明であることは明白である。
ところが、原審(東京地裁)は、「本件第2手術によって原告の右膝半月板が消失し、右膝前十字靭帯がほぼ切除したとは認められず、」と認定した。これは明らかな事実誤認である。
半月板や前十字靭帯に関するMRI画像読影は難解ではなく容易であり、原審(東京地裁)の菅野雅之裁判長(本多知成裁判長 途中交代)、篠原礼裁判官、原彰一裁判官らが、右膝造影MRI画像フィルムを読影できなかったとは考え難い。
控訴審(東京高裁)にて、筆者は原審の上記事実誤認及び画像フィルムという証拠資料を看過した事実認定の違法があると主張し、また、整形外科医らによる鑑定実施の必要があると主張して、再度、「鑑定申出書」を提出したが、控訴審(東京高裁)は整形外科医らによる鑑定を実施せず、右膝半月板消失、右膝前十字靭帯ほぼ消失について認定判断をしなかった。
筆者は、書証排斥及び書証の証明力の排斥について違法があると主張し上告受理を申立てたが、最高裁は上告審として受理しない決定をした。
平成21年5月14日撮影右膝造影MRI画像フィルムから、筆者の右膝半月板消失の事実及び右膝前十字靭帯はほぼ切除され不鮮明である事実を動かすことはできない
最高裁が平成21年5月14日撮影の右膝造影MRI画像フィルムの書証の証明力を排斥した判断は不明であり、最高裁北里大学病院側に偏向した判断を強く示唆するものである。
7.第2回目手術にて承諾なく右大腿骨内側顆約5cmを新たに不法に切開した。
主治医UKは、偽造した第2回目手術説明同意書に基づき、第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)にて、承諾なく、右大腿骨内側顆約5cmを新たに不法に切開した。これは右膝大腿骨内側顆約5cmを不法に「切り付けた」行為であり、傷害である。
8.右大腿骨及び右脛骨を破壊・損傷させた。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前正常に存在していた筆者の右大腿骨及び右脛骨が、入院手術後に著しく損傷していた。
右大腿骨及び右脛骨を損傷
右大腿骨内側及び右脛骨内側を大きく破壊・損傷
右大腿骨及び右脛骨の破壊・損傷につき一切説明は無く、カルテにも診療録にも記載が無い。
右大腿骨内側及び右脛骨内側は特に大きく破壊され損傷していた。
右大腿骨及び右脛骨の破壊・損傷は傷害である。
9.院内感染対策指導医がMRSA感染症を増悪させるMRSA耐性抗菌薬継続投与を指示した。
平成21年4月30日右膝MRSA感染を認識した院内感染対策指導医Mは、「(MRSA耐性ペニシリン系)ビクシリン→5/1のope后変更する。」とカルテに記載し、5月1日右膝MRSA感染症の治療に使用できず、かつ右膝MRSA感染を増悪させるMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を指示した。
これは故意の傷害である。
10.外来担当医SKは「どこまでやれば絶対とは言えない。」とカルテ記載し認識しながら筆者らに一切説明せず主治医UKに受診させた
平成21年4月24日主治医UKが筆者らに「どこまでやれば絶対とは言えない。」と説明した事実は一切無い。外来担当医SKは「架空」や「虚偽」をカルテ記載する傾向が強い。
外来担当医SKは主治医UKによる右膝切開術+持続洗浄の不確実性及び合併症を認識し、かつ主治医UKが医学界において認められておらず医学文献に記載のない右膝切開術(デブリドマン+持続洗浄)を独断で決定し、患者に治療方法の選択の余地を一切与えず施術することを認識しながら主治医UKに受診させた。これは故意の傷害である。
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11.右膝をMRSA感染させた。また、意図的な右膝MRSA感染・右膝MRSA感染増悪を推認。
平成21年4月25日主治医UKは右膝切開術(デブリドマン+持続洗浄)を実施し、その結果、右膝MRSA感染させた。右膝MRSA感染は病毒感染であり傷害である。また、以下のとおり、院内感染防止対策を怠り、意図的な右膝MRSA感染・右膝MRSA感染増悪が推認される。
(1)4月24日 採取関節液培養検査結果 陰性
(2)4月25日 採取関節液・組織・その他培養検査結果 陰性
(3)4月26日 開示なし
(4)4月27日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 SC菌数わずか
(5)4月28日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 SC菌数わずか
(6)4月28日 血液培養・尿培養 陰性
(7)4月29日 血液培養・尿培養 陰性
(8)4月30日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
(9)5月1日  採取関節液培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
(10)5月1日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
ドレーン:右膝関節内に留置したドレーンチューブ
MRSA SC(Sub Culture:増菌培養)とは、菌が少ないものを想定した場合に無理やり増やす操作を行った結果、MRSAが検出されたということであり、MRSA 菌数 06とはMRSA1,000,000個検出したということである。
MRSAは2個に分裂するのに210分かかる。つまり、半日かけても「8個」にしか増えない
膝関節腔内は「無菌」である
平成21年4月25日第1回目手術前、主治医UKは予防的抗菌薬を投与せず院内感染防止対策を怠った。予防的抗菌薬を投与しなかったので、4月25日検体培養検査結果は抗菌薬の影響を一切受けていない。
以上のことから、平成21年4月30日右膝関節腔内MRSA1,000,000個検出、翌5月1日右膝関節腔内MRSA1,000,000個検出という爆発的増加を合理的に説明することはできない。
平成21年4月25日第1回目手術前、主治医UKは予防的抗菌薬を投与せず院内感染防止対策を怠った上、同手術を「中央手術室」(クリーンルームではない。)にて実施した。平成20年12月24日、「中央手術室」(同上)は衛生上の問題が有り(第1回目手術約4ヵ月前である。)、医療器材等の消毒問題・古い医療機器の譲渡使用問題・保管方法の問題が多数指摘されていた。
平成21年4月29日、4月30日、受持医HNがビーフリード(主に糖分)添付文書記載の投与上限を超えて連日同剤を3,000ml投与し、5月1日午後11時の血糖値を「261」にまで上昇させ、第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)「45分前」に高血糖値状態を産生させた。
主治医UKは、持続洗浄終了後も不要なドレーンチューブを平成21年5月1日まで留置し続けた。異物留置バイオフィルム感染(難治性である。)の原因となる。
平成21年4月30日受持医HNは右膝MRSA感染治療に使用できないMRSA耐性ペニシリン系ビクシリンを継続投与し、翌5月1日チーフMAもMRSA耐性ペニシリン系ビクシリンを継続投与した。
つまり、主治医UK、チーフMA、受持医HNらによる意図的な右膝MRSA感染・右膝MRSA感染増悪が推認される。
12.セファゾリンの投与量・投与間隔をいずれも誤り、「右化膿性膝関節炎の疑い」に対する治療を行わなかった。
化膿性膝関節炎の疑い」の治療は、セファゾリン(抗菌薬)を1回2g1日3回(8時間毎)投与しなければならない。
ところが、平成21年4月26、27日受持医HNは、セファゾリン1g1日2回(12時間毎)投与したのみであり、セファゾリンの投与量、投与間隔をいずれも誤り、「右化膿性膝関節炎の疑い」の治療を行わなかった。これは不作為の傷害である。
ところで、セファゾリン1回2g投与すべきところ受持医HNが1gしか投与しなかったことについて意図的に「1gに減量」したと推認できる。
主治医UKは術前の予防的抗菌薬としてセファゾリンを「2グラム」を投与すると証言し、1回の投与量は2gであることを認識していた。
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)において、セファゾリンの投与量・投与間隔について主治医UKは以下のとおり証言した。
原彰一裁判官「セファゾリンの投与量については、本件ではどのくらい投与したかっていうのはご記憶ありますか。」
主治医UK「ないです。」
原彰一裁判官「セファゾリンの一般的な投与量については、どのようにお考えですか。」
主治医UK「1グラムキットというのが通常あると思います。例えば現在うちの施設では、術前の投与で術前の30分前に2グラム投与しています。」
原彰一裁判官「文献の中には、セファゾリンを、その2グラムを8時間ごとに投与するのがいいんではないかという文献もあるんですけれども、それは正しいのですか。」
主治医UK「正確ではありまんせんが、そういう8時間というのはその正確な値かどうかは分かりませんけれども、ある程度、うん、ちょっとそこら辺は確かではありません。僕の知識の中では。」
13.生活機能の毀損、健康状態の不良変更は傷害である
平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、右膝には発赤・熱感は一切認めず、右変形性膝関節症に因る慢性的右膝痛と右関節腔内に水が42ml溜まっていただけであり、確定診断のとおり、「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」に過ぎなかった。
平成21年4月25日正当性のない不要な右膝切開術の結果、右膝MRSA感染し、右化膿性膝関節炎 右膝慢性骨髄炎(MRSA)、右下肢 膝関節機能全廃、右膝疼痛増強、全ての抗MRSA薬に耐性となり、右膝MRSA感染(右膝関節・右大腿骨・右脛骨内にMRSAが常在・休眠)に対する治療が不可能な病態にあることは、筆者の生活機能の毀損、健康状態の不良変更であり、傷害である。
第3 横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による精神科受診患者に対する偏見
平成29年4月26日、筆者は同犬木寛に電話をし、「被疑者UK(主治医UK)らの行為は筆者の命を軽視したものであり、人の命を蔑ろにされたくはない。」旨を伝えたが、結局、筆者の命は蔑視・軽視された。
ところで、同日同犬木寛との応答の中で、非常に不快な質問を受けた。
告訴に当たり、「被害者」である筆者の精神科受診の有無は無関係であるはずである。しかし、以下通話記録のとおり(平成29年9月4日横浜検察審査会に送付した反訳書(平成29年9月4日付))、同犬木寛は筆者の精神科受診有無に拘泥したことから、精神科受診歴有が、不起訴処分決定に影響したと思われる
同犬木寛の「精神科受診有の患者は正規に対応する必要はない。」との排除理論があると思われる。
主治医UKらの被疑事実について、弁護士・医師・刑事らが、「不作為の傷害」、「故意の傷害」、「不作為の殺人未遂」に相当すると説明していたので、筆者が精神科を受診していなければ、「不起訴処分・嫌疑なし」とはならなかったと考える。
同 犬木寛「ちょっと立ち入ったことを聞いて恐縮なんですけど、先ほど精神科に通院されたっておっしゃったじゃないですか。えっと、昨日、今も行ってるんですか?」
筆者「いえ、精神科に行くと大変なことになると思って、もう、その後(後医である湘南東部総合病院退院の平成21年8月14日)直ぐに精神科に行くのを止めました。」
同 犬木寛「あ、じゃあ、今は外科の方、外科というかリハビリの?」
筆者「あ、(右膝MRSA感染に対し)、もう全然治療ができない状態なので、整形外科としてはもう治療ができませんので、(右膝疼痛対策として)痛み止めの薬を内科でもらっています。」
同 犬木寛「あ、じゃあ、昨日はその関係で病院に行かれたって?」
筆者「今日はちょっと、別のちょっと内科のことで行ってきました。」
第Ⅲ部 横浜第二検察審査会による議決
1.平成29年9月4日、筆者は横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分に対し、横浜検察審査会に審査申立書原本を送付した。
平成29年9月14日審査申立てを受理した横浜第二検察審査会は、平成29年12月19日、「本件不起訴処分は相当である。」との議決をした(平成29年9月14日付審査申立受理通知書:平成29年(申立)第11~16号、平成29年12月19日付「議決の要旨」と題する書面:平成29年横浜第二検察審査会審査事件(申立)第11~16号)。
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2.筆者は各審査申立書原本に「検察審査会法37、38条に基づく医師ら専門家による助言の要請」と明記し、「申立人(筆者)や被疑者(北里大学病院整形外科外来担当医SK、主治医UK、チーフMA、受持医HN、院内感染対策指導医M、看護師Y及び看護師O)の証人尋問のみならず、整形外科医、感染症科医、内科医等の医師ら専門家に助言を徴することができるよう配慮を望む。」と記載していた。
しかし、横浜第二検察審査会が筆者に送付した各「審査申立受理通知書」には、
なお、審査結果は書面によりお知らせします。」との記載があったので、横浜第二検察審査会には調査をする意思を認めないと思われた。
横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛の前記応答から、「精神科受診歴有の患者は正規に対応する必要はない。」という排除理論を踏襲しているものと思われる。
3.検察審査会は、「国民の常識」である。
横浜第二検察審査会の議決によって、
医師が治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療しないこと
患者の救命救急措置を講じないこと
医師が治療しないことに因る死の結果発生の危険性を認識しながら意図的に治療をしないこと
医師が治療途中に必須の治療を終了することに因る障害発生を認識しながら意図的に必須の治療を終了すること
患者の承諾なく医師が身体器官を消失・切除・切断すること
医師が不法に切開等手術すること
医師が治療不可能な程度にまで重篤な後遺障害を負わせること
医師が意図的に多剤耐性菌を産生させること
等、医師による常識を大きく逸脱した行為認容の判断をしたことになり、これらは「国民の常識」ということになる。
通常では上記判断をしないはずであるが、かかる判断を決定づけた背景には「精神科受診有無」が大きく影響し、障害者に対する日本国民の強度の偏見・差別を認めることができる。
神奈川県においては、
「相模原障害者施設殺傷事件」(相模原市
「川崎老人ホーム連続殺人事件」(川崎市
「大口病院連続殺人事件」(横浜市
等、障害者・高齢者・高齢患者に対する凶悪殺人事件が多い。
「相模原障害者施設殺傷事件」発生以降、神奈川県議会等は、「すべての人の命は平等であり、人の尊厳は守られなければならない。」旨宣言等をしているが、これは単なる形式上の言辞に過ぎず何ら意義はない
障害者に対する差別・偏見は日本国民の総意であると思われる。
第Ⅳ部 行政処分の有無は未定
1.平成29年2月6日、筆者は厚生労働省 医政局医事課試験免許室免許登録係 担当者Nに電話をし、北里大学病院医療過誤につき概略を説明した。
筆者は同Nに、「架空」の病院(茅ケ崎病院整形外科)における「架空」の診断(両変形性膝関節症)に基づく「架空」の治療歴(関節穿刺)のカルテ記載があり、また、最高裁にて右膝MRSA感染経路を「架空」とする重大な事実誤認が判決として確定した事実、治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実、治療途中に必須の治療を終了した事実、院内感染防止対策を怠った事実等を伝えた。
同Nは筆者に行政処分等申立書を提出するように返答した。
2.平成29年2月7日、筆者は、厚生労働省 医政局医事課試験免許室免許登録係 担当者N宛てに行政処分等申立書原本(平成29年2月7日付)及び証拠書類を送付した。
翌日2月8日筆者は同Nに電話をした。同Nは、「事実関係」を確認し、3月と9月に2回医道審議会があるが行政処分はその次(平成30年3月)になるかもしれないと回答した。
3.刑事事件とならなかった医療過誤についても、明白な注意義務違反が認められる場合については、行政処分の対象として取り扱うことになっている
平成29年7月7日横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分及び平成29年12月19日付横浜第二検察審査会による議決の結果(不起訴処分相当)を踏まえた上で、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)を補充すべく、
平成30年1月15日、筆者は厚生労働省 医政局医事課試験免許室免許登録係 担当者N宛てに補充書面(平成30年1月15日付)、上申書(平成30年1月15日付)、診断書(平成29年5月24日付)等を送付した。
4.平成30年1月31日、筆者は前記担当者Nに電話をし、平成29年2月7日に送付した行政処分等申立書(平成29年2月7日付)は医道審議会に提出されているかどうかを確認した。
同Nは、「医道審議会行政処分等申立書(同上)は提出しない。行政処分等申立書(同上)を見た結果、医道審議会に諮れるようなものではないと担当である自分一人で判断した。不起訴処分になったものについてはやりようがない。不起訴処分になったものについては医道審議会に出せない。自分は医療知識はない。」等を回答した。
筆者は同Nに、一例として、「行政処分等申立書に明記した北里大学病院医師らの行為について、カルテや診療録等を実際に見た弁護士・医師らは、治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実、治療が終わっていないにもかかわらず必須の治療を終了した事実等、刑事事件となる事案であると説明した。」旨を伝え医道審議会に対する行政処分等申立書提出の必要性を主張した。
これに対し、同Nは「検討します。」と返答した。
5.平成30年2月5日、筆者は前記担当者Nに電話をし、平成29年2月7日付行政処分等申立書とそれに付随する書類、平成30年1月15日付補充書面(1)から(3)、平成30年1月15日付上申書(1)から(2)とこれらに付随する書類について、医道審議会に提出する時期を尋ねた。
同Nは「現段階では、答えられないです。」と返答した。
同Nが医道審議会行政処分等申立書及び補充書面その他を提出するかどうかは未定である。
行政処分等申立書が医道審議会に提出されない限り、行政処分はなされない。
行政処分がなされない場合、処分行政庁である厚生労働省が不正と評価・認識している事案につき、北里大学病院については、「不問に付す」ということになる。
第Ⅴ部 筆者身辺における不審・不穏の事態
民事訴訟提起前後・告訴前後・行政処分等申立書提出前後、以下のとおり、筆者身辺における不審・不穏な事態が続発・頻発した。かかる事態が発生したことはこれまで一切無かった。
1.嫌がらせの電話続発・頻発
嫌がらせの電話が頻発し、そのため電話番号を変更したが、それでも、嫌がらせの電話は続発した。
2.正当な理由なく郵便物の内容取出可能な状態にまで破損(封をしてある信書を開封)・郵便物汚破損
3.不法侵入
平成26年2月15日(前夜から雪が降っていた。)23cm程の積雪であった。門扉は施錠し、カーポートはロックしていた。また、23cm程の積雪のため、門扉及びカーポートはいずれも物理的に開閉できない状態であった。敷地は塀や柵で囲っていた。深夜(14~15日)自宅門扉やカーポートからではなく、不法侵入者が犬を連れて(犬の足跡が残っていた。)、自宅敷地内に侵入した。自宅前道路に不法侵入者及び犬の足跡はなかった。隣家にも不法侵入者及び犬の足跡はなかったので近隣住民が不審に思い、筆者家族らに代わり、警察に届け出た。
その後、警察官による巡回パトロールが実施され、巡回パトロールを実施したこと及び異常がないことを示すメモが筆者宅郵便受及び隣家郵便受に投函されるなどして警察官が警戒に当たった。
4.不法侵入者
平成28年3月24日午後2時50分過頃、青いダウンジャケットを着用した(通常のダウンジャケットによる着膨れとは思えない。)不審な男が、カーポートのロックを外し(門扉は施錠しており開閉不可能。)、かつカーポート開閉扉に括り付けられた自転車(カーポート開閉扉がこじ開けられることのないように重し用にカーポート開閉扉と自転車とをワイヤー錠で括り付けていた。)をカーポートの開閉扉ごと道路に放置し、カーポート扉を無理やりこじ開けて、不法に自宅敷地内に侵入し、白い軍手状様を着用し、インターホンのモニターに映らないにように顔を背け続け、無言で暴力的に玄関ドアをこじ開けようとした。その後、当該不法侵入者は逃走した。
玄関ドアをこじ開けようとした音が尋常ではなかったので、筆者を含む家族3名は玄関ドアが破壊されたかと思い非常に恐怖を感じた。当該不審者は不法侵入から逃走まで終始無言であった。
当日は快晴であり、暖かかったのでダウンジャケット着用は不自然・不審であり防寒目的ではないと思われる。ダウンジャケットの両袖形状から通常入手できない衣服のようであった。
筆者らは警察に届けたが、警察官は話を聞いたのみであった。その後巡回パトロール等は一切行われなかった。筆者の家族は不法侵入者が映っている写真(筆者がデジカメ撮影しPC読取り後印刷)を持参し、近隣7軒に確認したが、当該不法侵入者は近隣7軒宅のインターホン等には映っていなかった。
筆者らの命が狙われたと思っている。
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5.現在に至っても筆者の身辺では不審・不穏な事態は続いている
筆者のデータを見た医師らは、主治医UKらの行為につき、「表(社会)に出せないほど酷い。」と批判している。

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅰ章

北里大学病院医療過誤に関する民事訴訟、告訴等について記載したいと思う。
第Ⅰ部 前代未聞の重大な事実誤認及び誤判
第1 はじめに
1 平成21年4月25日、北里大学病院整形外科にて、ケガでも骨折でも感染でもない、無傷の右膝痛に対し、正当性のない不要な右膝切開術(右膝約17.5cm縦切開)を受けた。
その結果、右膝MRSA感染し、右化膿性膝関節炎 右膝慢性骨髄炎(MRSA)、右下肢 膝関節機能全廃、右膝疼痛増強、全ての抗MRSA薬に耐性となり、右膝MRSA感染(右膝関節・右大腿骨・右脛骨内にMRSAが常在・休眠)に対する治療が不可能な病態にあり、右膝MRSA感染再燃悪化の場合、生命の危険・右下肢切断の可能性に曝露されているという重篤な後遺障害を負っている。
また、平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、「2週間の入院予定」の診断であったが、北里大学病院整形外科(平成21年4月24日~同年6月12日:50日間)及び他院整形外科(平成21年6月17日~同年8月14日:59日間)の計「109日間」の入院並びに2年4ヵ月に及ぶ通院・リハビリを強いられた。
なお、北里大学病院整形外科受持医HNが、診断書に虚偽病名及びその他の虚偽記載をし、虚偽診断書を作成したことに因り、筆者自身が加入し当然に受け取るべき後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金等、計約761万円を受け取ることができなかった。
筆者元代理人弁護士による任意開示において、看護記録や診療録等は改竄・隠蔽されていた。また、筆者元代理人弁護士らによる証拠保全においても診療録等は改竄・隠蔽され、結局、これらは開示されなかった。
平成21年4月25日第1回目手術6日後の5月1日、偽造された手術説明同意書に基づき、第2回目手術が実施された。
北里大学病院整形外科入院前に正常に存在していた筆者の身体器官が、入院手術後に消失、切除、切断されていた。
すなわち、右膝半月板消失、右膝前十字靭帯ほぼ切除、右膝蓋下肢神経切断等である。
右膝半月板消失及び右膝前十字靭帯ほぼ切除につき一切説明は無く、カルテに記載が無い。
右膝半月板消失に至ってはカルテにも診療録にも記載が無い。
また、北里大学病院整形外科入院前に正常に存在していた右大腿骨及び右脛骨は、入院手術後に著しく損傷していた。
右大腿骨及び右脛骨は虫喰い状骨破壊を認め、特に、右大腿骨内側及び右脛骨内側が大きく破壊され損傷しているにもかかわらず一切説明は無かった。これらの事実はカルテや診療録に記載すらない。筆者はこれらの事実を他院整形外科医らの画像診断によって初めて知った。
北里大学病院整形外科入院中、右膝レントゲン撮影検査を実施したが、右膝レントゲン撮影検査結果所見はカルテにも診療録にも一切記載は無い。
平成21年4月24日右膝には発赤・熱感は無く、右変形性膝関節症に因る慢性的疼痛と右膝関節腔内に水が42ml溜まっていただけであった。
平成21年4月30日、確定診断は、「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」であった。
つまり、平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、「右化膿性膝関節炎」ではなかったのである。
なお、平成21年4月24日筆者は他科受診のため北里大学病院を訪れていた。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来担当医SKが右膝関節穿刺によって水42mlを抜いた後、右膝痛は完全に消失した。
筆者が診察室を退室しようとした時、外来担当医SKは、「ちょっと待って。上の先生呼んでくる。」と言って立ち去った。
その後主治医となるUKが現れ、生命に関わる一刻を争う緊急事態であると畏怖させ、正当性のない不要な右膝切開術(右膝約17.5cm縦切開)を強要し緊急入院させたのである。
筆者のデータ・右膝レントゲン画像・右膝MRI画像等を見た医師らは、「初診医は誰だ。今時こんなことやっているのか。」と怒りを露わにしている。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来担当医SKに関わったことに因り、筆者のその後の人生は台無しにされ、筆者のみならずその家族の生活までもが振り回され一変した。
2 北里大学病院医療過誤につき、弁護士5名と委任契約を締結したが、問題は解決しなかった。
3 北里大学病院患者支援センターSW係長HYに示談での解決を申入れたが、「裁判しなさい。」と回答したのみであった。
4 北里大学病院医療過誤につき、民事訴訟を提起したが敗訴した。弁論準備手続きは一切行われなかった。
東京地裁から最高裁まで杜撰かつ無駄な裁判であった。
第2 裁判経緯
1 東京地裁 平成25年(ワ)第10076号
菅野雅之 裁判長(本多知成裁判長 途中交代)
篠原礼 裁判官
原彰一 裁判官
2 東京高裁 平成27年(ネ)第1710号
瀧澤泉 裁判長
中平健 裁判官
布施雄士 裁判官
3 最高裁 平成27年(オ)第1416号
      平成27年(受)第1764号
小貫芳信 裁判長
千葉勝美 裁判官
鬼丸かおる 裁判官
山本庸幸 裁判官
第3 最高裁の重大な事実誤認
■「架空」が証拠
1.平成20年12月右膝痛が発現したが、同年同月いかなる病院のいかなる整形外科をも受診した事実はない。
平成21年1月13日北里大学病院整形外科初診、同日両変形性膝関節症と診断され、右膝関節腔内にアルツ(ヒアルロン酸)投与。
2.平成21年4月24日、北里大学病院整形外科外来担当医SKは、「茅ケ崎orthoでBill knee OAとDx.膝水症でpuncture数回」とカルテ記載した。これらは全て「架空」である。
ortho:整形外科、Bill knee OA:両変形性膝関節症、Dx.:診断、puncture:穿刺
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3.北里大学病院整形外科主治医UKは、UK自身の陳述書に「茅ケ崎病院整形外科において両変形性膝関節症と診断され、穿刺を数回受けていました。」と記載した。
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(611号法廷)において、主治医UKは、UK自身の上記陳述書記載の根拠について、平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来担当医SKのカルテ記載をもとにしたと証言し、また、右膝MRSA感染経路特定につき、「どこかでされた注射で(MRSA)感染をした可能性が一番高いと思っています。」と証言した。
4.筆者は、陳述書に、「平成20年12月右膝痛発現に対し同年同月受診した事実は無いこと及び右膝痛に対する初診は平成21年1月13日北里大学病院整形外科である事実」を明記しこれらの事実を主張し、平成21年1月13日北里大学病院整形外科初診・診断・治療歴記載のある診療情報提供書(2009(平成21)年1月13日付)を証拠として提出し、準備書面に記載する等繰り返し主張してきた。
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5.さらに、平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、筆者は、「平成20年12月右膝痛が発現しましたが、同年同月いかなる病院のいかなる整形外科も受診してないんですよ。」と証言した上、主治医UK陳述書記載の「茅ケ崎病院整形外科において両変形性膝関節症と診断され、穿刺を数回受けていました。」の記載について、「こういった事実はありませんから、いいですね。」と念を押して証言し主張した。
しかし、原審(東京地裁)は筆者の主張を採用しなかった。
6.その結果、原審(東京地裁)は、右膝MRSA感染経路特定につき、審理を尽くさず、確定診断名「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」並びに「入院後発症傷病名 MRSA関節炎」及び「後発疾患 MRSA関節炎」との明記のある書証を証拠として採用せず、主治医UKが陳述書に記載した、
架空の病院」(茅ケ崎病院整形外科は存在しない。)における
架空の診断」(両変形性膝関節症)に基づく
架空の治療歴」(関節穿刺数回)とする
前代未聞のきわめて重大な事実誤認を招いた。
7.控訴審(東京高裁)においても、右膝MRSA感染経路特定につき審理が尽くされることは無かった。
架空」をカルテ記載した北里大学病院整形外科外来担当医SKの証人尋問を実施せず、また、「入院後発症傷病名 MRSA関節炎」につき、「判断」をしなかった。
8.最高裁は、「入院後発症傷病名 MRSA関節炎」という右膝MRSA感染経路特定に関する「判断の遺脱」について「判断」をしなかった。
結局、右膝MRSA感染経路は、「架空」が証拠となり判決として確定した。これは重大な事実誤認である。
9.最高裁は法律審であり、事実認定をし直すことができないとしても、「判断の遺脱」について「判断」をしていれば、右膝MRSA感染経路特定を「架空」とする前代未聞の重大な事実誤認を回避することはできた。
入院後発症傷病名」とは「入院後に発症した傷病名であり入院時にはなかった傷病名である。」と定義されている。
したがって、まず、主治医UKの「どこかでされた注射で(MRSA)感染した可能性が一番高い」との証言は証拠として採用できない。右膝MRSA感染経路は、「どこかでされた注射」ではなく、「北里大学病院入院後」だからである。
よって、最高裁は当然に原審に事実誤認があると考えなければならない。次に、このような場合、破棄した上で事件を原審である事実審に差戻して、事実審にて事実認定をやり直させるのが最高裁の常識的対応であり、また、そうしなければならなかったのである。
架空」が証拠として確定したことは日本司法にとって司法の権威を失墜させる取返しのつかない著しい汚点である。
最高裁が騙されたのである
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第4 最高裁の誤判
MRSA感染症増悪を不適切ではないとする誤判
1.MRSA感染症に対し、バンコマイシン(抗菌薬)を直ちに投与しなければならない。
2.平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、右膝MRSA感染の認識時期について、主治医UKは、「(平成21年)4月30日です。」と証言した。
また、(平成21年)4月30日バンコマイシンを投与開始しないことに因る右膝MRSA感染増悪について、主治医UKは、「あると思います。」と証言した。
3.つまり、主治医UKは、平成21年4月30日右膝MRSA感染を認識し、かつ同日バンコマイシンを投与開始しないことに因る右膝MRSA感染増悪を認識し、同剤を投与開始しなかったのである。
4.したがって、「4月30日時点でバンコマイシンを投与開始しなかったことは不適切である。」と当然に判断しなければならない。
5.ところが、原審(東京地裁)は、「4月30日時点でバンコマイシンの投与が行われなかったことが不適切であったとはいえない。」と判断し、最高裁にてこれが判決として確定した。
6.右膝MRSA感染増悪とは、右膝MRSA感染部位が増大するというだけでなく、「」の結果発生の危険性があったということである。
右膝MRSA感染、つまり、右化膿性膝関節炎は緊急性の高い疾患であり急速に進行するため、治療のわずかな遅れが膝関節の機能障害をきたすだけでなく、「」をもたらす危険性のある救急疾患である。
7.平成21年4月30日、CRP:29.75、SpO2:88%(意識消失)、体温39.8℃、ARDS(急性呼吸促迫症候群:致死率50%超)を発症し、筆者は敗血症性ショック(死亡率30~70%)に陥り瀕死とも言える重篤な病態に陥っていた。
最高裁の上記判断は、右膝MRSA感染増悪を認容するだけでなく、「」の結果発生の危険性を認容する重大な誤判である。
第5 最高裁の誤判
■右膝障害の結果発生を認容する誤判
1.平成21年6月11日、北里大学病院整形外科受持医HNは、筆者及びその家族らに「右化膿性膝関節炎は良くなっている。右膝MRSA感染予防のためにザイボックス(錠剤)を服用し続ける必要がある。(平成21年)6月24日(HN)外来診察予約とする。退院を許可する。」と説明した。
同日、受持医HNは、「化膿性膝関節炎は今のところよくなっていて菌も関節内にないが、骨髄内に入って骨髄炎になるかもしれないのでザイボックスという抗MRSA内服薬を開始した。」とカルテ記載した。
2.しかし、平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、主治医UKは、「(平成21年6月11日時点は)右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらず、バンコマイシンを継続投与すべき状態であった。」旨を証言し、また、右膝障害の原因について、「(平成21年6月11日)バンコマイシンを継続投与しなかったことである。」旨を証言した。
3.つまり、主治医UKは、平成21年6月11日右膝MRSA感染中であり、バンコマイシンを継続投与しなければならないことを認識し、かつ同日バンコマイシンを継続投与しないことに因る右膝障害の結果発生を認識しておきながら同剤を継続投与しなかったのである。
4.したがって、「6月11日バンコマイシンを継続投与しなかったことは不適切である。」と当然に判断しなければならない。
5.ところが、原審(東京地裁)は、「(6月11日)バンコマイシンの投与を終了し、ザイボックスの投与を開始したことが不適切であったとは認められない。」と判断し、最高裁にてこれが判決として確定した。
6.最高裁の上記判断は右膝障害の結果発生を認容する重大な誤判である。
7.なお、筆者らは平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)における主治医UKの証言によって、平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらずバンコマイシンを継続投与しなければならなかった真実を初めて知ったのである。
8.平成21年6月11日同日でありながら、主治医UKと受持医HNの見解は真逆である。
転帰は「軽快」となっていた。
平成21年6月11日、受持医HNは、「骨髄炎になるかもしれないので」とカルテ記載したが、実際には、「骨髄炎」に罹患していた。
9.北里大学病院以外の整形外科医らは、北里大学病院入院時・入院中撮影の平成21年4月24日撮影右膝MRI画像、同年5月1日撮影右膝MRI画像、同年5月14日撮影右膝MRI画像について以下のとおり、画像診断した。
(1)4月24日撮影右膝MRI画像から右膝関節に水が貯留していること。
(2)5月1日撮影右膝MRI画像から骨髄炎を発症していること。
(3)5月14日撮影右膝MRI画像から、
①5月1日撮影時に比し、骨の感染増大・骨髄炎増悪
右膝半月板消失
右膝前十字靭帯ほぼ切除され不鮮明
また、平成21年6月17日後医である湘南東部総合病院整形外科受診時、右膝MRI検査の結果、右膝骨髄炎(MRSA)に罹患しているとの説明があり、診断書に明記されている。
第6 最高裁の誤判
MRSA感染症増悪を不適切ではないとする誤判
1.MRSA感染症の治療には、抗MRSA薬を使用すべきであり、MRSA耐性抗菌薬を使用することはできないMRSA感染症に対するMRSA耐性抗菌薬使用はMRSA感染を増悪させる。
2.クーペラシンはテトラサイクリン系抗菌薬であり、テトラサイクリン系はMRSA耐性抗菌薬である。よって、右膝MRSA感染症に対するクーペラシン投与は右膝MRSA感染を増悪させる。
3.受持医HNは、平成21年5月7日から同年6月1日まで、右膝MRSA感染中の筆者にMRSA耐性テトラサイクリン系クーペラシンを長期継続投与した
4.したがって、「テトラサイクリン系クーペラシンを投与したことは不適切である。」と当然に判断しなければならない。
5.ところが、原審(東京地裁)は、「クーペラシンを投与したことが不適切であったということはできない。」と判断し、最高裁にてこれが判決として確定した。
6.最高裁の上記判断は右膝MRSA感染増悪を認容する重大な誤判である。
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第7 最高裁による医療水準に対する従前と異なる法律判断
■医師独自の見解に基づく特異的な治療方法が医療水準として確定
1.「化膿性膝関節炎の疑い」の治療方法は、「抗菌薬の静脈投与」である
これが医学界において認められ医学文献に記載ある治療方法である。
にもかかわらず、医療水準に従わない医師独自の見解に基づく治療方法を容認する判断が判決として確定した。
つまり、医師が医療水準を遵守する必要はないということである。
2.平成21年4月24日、「化膿性膝関節炎の疑い」に対し、主治医UKは、右膝切開術(右膝約17.5cm切開)を決定し、翌4月25日に右膝切開術+持続洗浄を実施した。
つまり、主治医UKの治療方法は医療水準に反する医療行為である。
3.平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、「化膿性膝関節炎の疑い」の治療方法として、主治医UKは、「(抗菌薬の静脈投与という治療方法は)存在しますけれども、私の中では正しいとは思えないです。」と証言し、
また、「化膿性膝関節炎の疑い」の時点において、「私たちの施設では、もう関節を切開して関節包をまず取るということをやっています。」、「関節鏡視下にはやらない方針でいます。」と証言した。
4.主治医UK独自の見解に基づく「持続洗浄」とは、膝関節内を洗浄することを目的とせず、右膝関節内MRSA検出中(細菌培養陽性)に持続洗浄を終了させるものである。
よって、持続洗浄を何度実施したとしても永久に膝関節内が洗浄されることはない。菌を検出すれば繰り返し手術するというものである。
平成21年5月12日主治医UKは筆者に右膝関節内から菌を検出したと説明し「3回目の手術」を示唆した。持続洗浄について、主治医UKは、「流している水がどんどん菌を流してくれているとは、実は思っていないんです。」と証言した。
 
5.医学界において認められた「持続洗浄」とは、膝関節内を洗浄することを目的としており、膝関節内から細菌検出中に持続洗浄を終了させることはできない。
つまり、主治医UKの持続洗浄と医学界において認められた持続洗浄とはその方法も目的もいずれも完全に異なる。
6.主治医UKは筆者に治療方法の選択の余地を一切与えなかった。
主治医UKの「右化膿性膝関節炎の疑い」に対する治療は、「右膝切開術+持続洗浄」のみである。
7.最高裁は、医師が医療水準を遵守せず医師独自の見解に基づく特異的な療法を独断で決定し患者に治療方法の選択の余地を一切与えず患者の自己決定権を否定する判断を判決として確定させた。
8.ところで、平成21年4月24日筆者が採血や右膝造影MRI等の検査結果を質問したことに対し、主治医UKは、「連休で検査技師が休みでいないので検査できない。検査結果は判らない。生命に関わる一刻を争う緊急事態である。緊急入院して緊急手術を実施しなければ命にかかわる。オペ室が空き次第、夜間でも緊急手術を実施する。入院期間は2週間で済む。」と返答した。
しかし、実際には、採血結果、滑膜炎、グラム染色陰性等が判明していた。
主治医UKは検査結果を故意に隠蔽した。
筆者は平成18年頃から医学薬学英語論文を読み、とりわけ、整形外科学に関する情報収集をしていたので、滑膜炎、グラム染色陰性の意義を理解していた。
これらの検査結果を知っていれば北里大学病院入院を拒否していた。
主治医UKの「緊急入院して緊急手術を実施しなければ命にかかわる。一刻を争う緊急事態である。」との言辞は筆者及びその家族らを畏怖させた。
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9.なお、平成21年4月24日主治医UKが、採血結果、滑膜炎、グラム染色陰性等の検査結果を故意に隠避したのは、「右化膿性膝関節炎の疑い」をもっていなかったからである。
右膝は発赤も熱感も無かった。42mlの水が右膝関節内に溜まっていたので腫脹を認めたのである。
化膿性膝関節炎の場合急性疼痛であるが、筆者の右膝は慢性的疼痛であった。
平成20年12月右膝痛発現、平成21年1月13日北里大学病院整形外科にて両変形性膝関節症と診断され右膝関節腔内アルツ投与を受ける等していたが、右膝痛は改善せず左膝痛も発現し慢性的両膝痛であった。
「化膿性膝関節炎」は「緊急性」のある疾患である。「化膿性膝関節炎の疑い」があれば直ちに治療を開始しなければならない。
ところが、主治医UKは、平成21年4月24日筆者を北里大学病院整形外科感染病棟6Bに緊急入院させておきながら、同日「化膿性膝関節炎の疑い」の治療を一切開始しなかった。
「右化膿性膝関節炎の疑い」を全く認めず、「緊急性」が無かったからである。
平成21年4月24日主治医UKは緊急手術に備え「絶食(NPO)」を指示し、同日14:40最終飲水となった。
「絶食」指示によって、あたかも、同日中に緊急手術を実施するかのように思われる。
ところが、同日北里大学病院整形外科外来担当医SKは、「明朝9:00on call ope予定」とカルテ記載していた。
主治医UKは4月24日緊急手術を実施する意思はなかった。手術開始は、翌4月25日午前11時10分であった。
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10.平成21年4月30日確定診断は、「慢性の滑膜炎、皮下脂肪組織炎」であった。
つまり、平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前、「右化膿性膝関節炎」ではなかったのである
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chronic synovitis:慢性の滑膜炎
panniculitis:皮下脂肪組織炎
第8 主治医UKによる人命軽視
1.平成21年4月25日第1回目手術後、CRPは高度上昇持続した。
4/24 CRP:1.84
4/25 CRP開示せず
4/26 CRP:16.44
4/27 CRP:20.16
4/28 CRP:26.19
4/29 CRP:26.78
4/30 CRP:29.75、SpO2:88%(意識消失)、体温39.8℃
5/1  CRP:31.31
2.主治医UKはCRP高度上昇持続を「あれあれっと」思うに留まった。
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)において、主治医UKは右膝MRSA感染認識時期及びCRP高度上昇持続について以下のとおり証言した。
原彰一裁判官「そのMRSA感染について、どの段階からその可能性を認識され始めましたか。」
主治医UK「この4月30日です。」
原彰一裁判官「それまでは、セファゾリンが有効の可能性が高いだろうと、そういうふうに思われていたんですか。」
主治医UK「そこまでは、そうかと言われると、使っている間、使い始めてからずっとやっぱり気にはするわけです、治療している側としては本当に効いているのかどうか。だから、毎日CRPの値を確認しているわけです。確認しながら、あれあれっと思ってはいるわけですよね。ただ、あれあれっと思っていても、感染なのか、ほかの肝機能障害によるものなのか、あるいは皮疹のためなのか、そこの区別はつかないわけです。ここで菌が出たことではっきり証拠がつかめたと、効いていないんだと。」
3.つまり、主治医UKは平成21年4月30日MRSA検出までCRP高度上昇持続の原因を不明とした。同日18:30看護記録には、「Dr.U診察 皮疹観察」と記載があるのみである。
4.平成21年4月30日筆者は、敗血症性ショック(死亡率30~70%)、ARDS(急性呼吸促迫症候群:致死率50%超)を発症し、瀕死の病態であった。敗血症性ショックに対する救命救急措置とは、菌に感受性のある抗菌薬投与、つまり、右膝MRSA感染症に対しバンコマイシンを直ちに投与開始しなければならないということであるが、主治医UKはバンコマイシンを投与開始せず、筆者の救命救急措置を実施しなかった。それどころか、主治医UKは右膝MRSA感染を増悪させる、MRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認した。
5.平成21年5月1日主治医UKは、「生死にかかわる可能性もあること」とカルテ記載し、筆者がきわめて重篤な病態に陥っていることを認識していた。同日CRP:31.31である。
しかし、同日主治医UKは右膝MRSA感染症治療に必須のバンコマイシンを投与開始せず、右膝MRSA感染症の治療に使用できないMRSA耐性ペニシリン系ビクシリン継続投与を容認した。
主治医UKに治療の意思はない。異常な人命軽視である。
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第9 意図的な右膝MRSA感染が推認されること
1.主治医UKらによる意図的な右膝MRSA感染が推認されること
(1)4月24日 採取関節液培養検査結果 陰性
(2)4月25日 採取関節液・組織・その他培養検査結果 陰性
(3)4月26日 開示なし
(4)4月27日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 SC菌数わずか
(5)4月28日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 SC菌数わずか
(6)4月28日 血液培養・尿培養検査結果 陰性
(7)4月29日 血液培養・尿培養検査結果 陰性
(8)4月30日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
(9)5月1日  採取関節液培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
(10)5月1日 ドレーン 培養検査結果 MRSA 菌数 06菌数100万
ドレーン:右膝関節内に留置したドレーンチューブ
2.MRSA SC(Sub Culture:増菌培養)とは、菌が少ないものを想定した場合に無理やり増やす操作を行った結果MRSAが検出されたということであり、MRSA 菌数 06とはMRSA1,000,000個検出したということである。
3.MRSAは2個に分裂するのに210分かかる。つまり、半日かけても「8個」にしか増えない
4.膝関節腔内は「無菌」である
5.平成21年4月25日右膝切開術前、主治医UKは予防的抗菌薬を投与せず、院内感染防止対策を怠った。予防的抗菌薬を投与しなかったので、4月25日検体培養検査結果は、抗菌薬の影響を一切受けていない。
6.以上のことから、平成21年4月30日右膝関節腔内MRSA1,000,000個検出、翌5月1日右膝関節腔内MRSA1,000,000個検出という爆発的増加を合理的に説明することはできない。
術前予防的抗菌薬を投与せず院内感染防止対策を怠った上、意図的な右膝MRSA感染が推認される。
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第10 MRSA感染症治療の基本を無視し、右膝MRSA感染を増悪させる行為態様
1.平成21年4月30日右膝MRSA感染を認識した主治医UKは、同日バンコマイシンを投与開始せず、翌5月1日生死にかかわることを認識しておきながらバンコマイシンを投与開始しなかった。いずれも右膝MRSA感染を増悪させ、また、生命を危機的状況に曝露させる行為である。
2.平成21年4月30日右膝MRSA感染を認識した主治医UKがバンコマイシンを投与開始したのは、「5月10日」であった。
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平成21年5月10日バンコマイシン投与開始(2000mg:1回0.5g 1日4回分割投与)
3.バンコマイシン投与開始「3日後」にTDM(薬物血中濃度モニタリング)を実施しなければならない。ところが、TDMは「(平成21年)5月18日」のみである。つまり、主治医UKは、MRSA感染症治療の基本であるバンコマイシン投与開始3日後に実施しなければならない「TDM」を実施しなかった。
4.医薬品適正使用ラウンドが「骨の感染」に対して移行性を考慮しバンコマイシン増量投与の旨を指示したが、主治医UKは同剤を増量投与しなかった。
5.平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、バンコマイシン12.5L(平成21年5月18日採血結果)の表示について、主治医UKは以下のとおり証言した。
原彰一裁判官「そのバンコマイシンというところで、「12.5とあるんですが、その隣に「L」というふうに書かれているかと思います。この「L」というのは、どういった意味なんですか。」
主治医UK「ローだと思います。」
原彰一裁判官「ローというのは、要は低いということですよね。」
主治医UK「低いということだと思いますね。」
原彰一裁判官「これは、本来あるべき数値よりも低いとそういう意味ではないんですか。」
主治医UK「分かりません。(以下省略)」
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6.バンコマイシン12.5Lとあるのは、骨の感染に対するトラフ値は「15~20μg/ml」でなければならないが、「12.5」であったので、「L」と表示されたのである。
原審(東京地裁)は、「「L」との表記が何に対して低いことを意味するのかも不明である。」と判断し審理を尽くすことはなかった。
控訴審(東京高裁)においても審理を尽くさず、TDMの採血時刻につき「判断」をしなかった。
最高裁は、「判断の遺脱」について「判断」をしなかった。結局、「12.5L」の意義は不明として確定した。
7.主治医UKは、平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっていないことを認識しバンコマイシンを継続投与しないことに因る右膝障害の結果発生を認識しながら同日バンコマイシンを継続投与しなかった
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平成21年6月10日バンコマイシン投与終了
8.以上のとおり、主治医UKは、右膝MRSA感染症に対し直ちにバンコマイシンを投与開始せず、バンコマイシン投与開始3日後にTDMを実施せず、骨(標的組織)の感染に対しバンコマイシンを増量投与せず、右膝MRSA感染中にバンコマイシン継続投与を終了するなど、MRSA感染症治療の基本を無視し、右膝MRSA感染を増悪させた。
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★上記TDMの診断名欄に「骨髄炎」の記載がない。
★採血時刻は朝食前血糖値測定のために午前6時30分頃でありバンコマイシン投与終了約3時間後であった。また、バンコマイシン2gを1日4回分割投与していた(午前9時、午後3時、午後9時、午前3時)。よって、12.5(投与前)とあるが,12.5(投与後)である。要するに、トラフ値ではなく、「ピーク値である
血中濃度も治療計画の要点もカルテに一切記載が無い。但し、保険請求はしている。
第11 繰り返しの右膝切開術に固執・拘泥する主治医UK
1.平成21年5月12日夜、主治医UKは筆者に「右膝から菌が出たので、3回目の手術をする予定だ。」と説明した。
5月13日看護記録に「昨夜U Drの方からドレーンよりまた細菌が出たと言われ、今後どうなっていくのか不安であると。『また手術とかするんですかね?心配です。』」と記載があるとおりである。
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2.平成21年5月11日受持医HNは、「来週debriか?」とカルテ記載した。debriとはデブリドマン(右膝切開術+持続洗浄)のことである。
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3.医薬品適正使用ラウンド(2009.5.13付)にも「手術予定」と記載がある。
医薬品適正使用ラウンドの病棟及び患者名以外の内容は開示されておりその記載内容から、医薬品適正使用ラウンド2009.5.27付と2009.6.3付の記載内容は同一である。文字の大きさを変更したに過ぎない。
4.第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)において主治医UKが死の結果発生をもたらす危険性を認識しながら、第2回目手術直後から約4時間もの間、必須の持続洗浄を実施しなかったので、主治医UKには右膝MRSA感染症治療の意思を認めない。
5.主治医UKの持続洗浄は医学界において認められておらず医学文献に記載もないきわめて特異的な療法である。情報用紙に記載のとおり、第2回目手術前(5/1)から持続洗浄を「3日間」で終了する計画をするなど右膝関節内MRSA検出中(細菌培養陽性中)に持続洗浄を終了し、菌検出を理由として繰り返し右膝切開術を執拗に行うものである。持続洗浄を何度実施しても永久に右膝関節内が洗浄されることはない。
主治医UKによる執拗な繰り返しの右膝切開術に因り筆者は敗血症性ショック等に因る死亡の危険性があった。
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6.なお、医薬品適正使用ラウンド(2009.5.13付)に、「ミノ」と表記がある。他患者の欄には「MINO」と表記があるが、筆者の欄に記載のある「ミノ」とはミノマイシンではない。右膝MRSA感染症治療に使用できないMRSA耐性テトラサイクリン系クーペラシンであり、その成分名「ミノサイクリン塩酸塩」の「ミノ」を表記したものと思われる。
クーペラシンは、「菌交代症に基づく新しい感染症」を発現させる
平成21年5月7日から同年6月1日まで、受持医HNは右膝MRSA感染を増悪させるMRSA耐性テトラサイクリン系クーペラシンを長期継続投与した。
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第12 ザイボックス使用に固執する主治医UK
1.平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)において、主治医UKは平成21年6月11日時点の右膝病態及び右膝障害の原因につき以下のとおり証言した。
(1)被告代理人弁護士「(6月11日)その時点では、原告の症状はどういった状況だったんでしょうか。」
主治医Uk「まだ完全に陰性をカバーしていないという状況で。ー中略ーまだそこで十分治療が終わっているわけではないです。治療の途中というところですね。」
(2)原彰一裁判官「右膝の障害が残ってしまったということがあるとすると、その原因はどこにあるというふうにお考えになりますか。」
主治医UK「治療は、うまく継続されていないのではないかと思います。ー中略ー(6月11日時点は)まだ治療の途中でしたけれども。で、通常はまだ点滴を継続すべき時期だったんです。(以下省略)」
原彰一裁判官「仮に、その治療の継続をしてなかったことによって悪化したんじゃないかということだとすると、それは、退院後にさらに感染が悪化したとそういうことが起こったとそういうことなんでしょうか、そういうのを推測されているということなんでしょうか。」
主治医UK「退院後の治療がどうなっているのかが分からないので、(以下省略)」
2.つまり、主治医UKは平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらず治療の途中でありバンコマイシンを継続投与すべき病態である事実を認識し、かつ6月11日バンコマイシンを継続投与しなかったことが右膝障害の原因である旨を証言した。
3.しかし、2009(平成21)年6月11日付診療情報提供書には、受持医HNの記名押印及び主治医UKの記名押印がある。同診療情報提供書には、「今後ザイボックス内服加療」と記載があり、また、「右膝MRSA感染中」であることについて記載は無い。
主治医UKはザイボックス使用に固執している。
4.2006(平成18)年4月20日ザイボックスはMRSA感染症に対する適応が承認されたが、第Ⅲ相臨床試験にて骨髄炎患者は「除外基準」となっていた。
つまり、ザイボックスのMRSA骨髄炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。
5.なお、以下の経緯から診療情報提供書(2009(平成21)年6月11日付)の宛先欄は、「空欄」となっている。
平成21年6月12日北里大学病院整形外科退院後、右膝の激烈な疼痛は限界を超えていた。そのため平成21年6月17日午後2時迄に湘南東部総合病院整形外科受診のため診療情報提供書が必要であった。6月17日午前9時頃、診療情報提供書を受け取るために筆者の家族が北里大学病院整形外科外来に出向いたが診療情報提供書はなかなか見つからなかった。同日午後ようやく入手した診療情報提供書の宛先欄には、「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」の記載があった。6月17日午後2時迄に湘南東部総合病院整形外科に診療情報提供書を提出するため、北里大学病院患者支援センター事務方が同診療情報提供書の「宛先欄」を切り取り「空欄」にし、これをコピーしたものが北里大学病院患者支援センターから湘南東部総合病院整形外科にファックス送信された。よって、診療情報提供書(同上)の宛先欄は空欄となっている。診療情報提供書(同上)の写しはカルテに添付されていない。
6.平成21年6月17日午後2時頃、湘南東部総合病院整形外科受診即日入院。同日同病院整形外科医は、採血・右膝レントゲン撮影検査・右膝MRI検査等を実施し、右化膿性膝関節炎 右膝骨髄炎(MRSA)と診断し、また、「安易なザイボックス使用」は不適切であると筆者らに説明し、同日午後直ちにバンコマイシンを投与開始した。平成21年7月14日までバンコマイシンを継続投与するも右膝MRSA感染部位が増大し同剤は奏功しなかった。
平成21年6月11日朝食後分から同年6月17日朝食後分までザイボックスを服用した事実を医師らに伝えた。医師らはザイボックスに無効・耐性となっており今後ザイボックスは使用できないと診断した。
つまり、抗MRSA薬の中で最上位格にあり、MRSA感染症治療の最後の砦と言われるザイボックスに無効・耐性となった。
筆者はMRSA感染症治療薬を全て失った。
7.ところで、診療情報提供書(同上)に「発赤」と記載があるがこれは「虚偽」である。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来受診時右膝関節に水が「42ml」溜まっていたので腫脹(swelling+)していた。しかし、発赤・熱感は無かった。同日カルテに「redness-、heat-」と記載があるとおりである。
また,診療情報提供書(同上)に、「右化膿性膝関節炎のため4月25日デブリドマン、持続洗浄施行しました」と記載があるが、「右化膿性膝関節炎」の記載は「虚偽」である。「右化膿性膝関節炎の疑いのため4月25日デブリドマン、持続洗浄施行しました」である。
関節液培養検査により、「菌」を検出しなければ、「化膿性膝関節炎」と診断することはできない。
平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来にて採取関節液培養検査結果は「陰性」、翌日4月25日採取関節液・組織・その他培養検査結果は全て「陰性」(4月25日第1回目手術前予防的抗菌薬を投与しなかったので、同日採取検体の培養検査結果は抗菌薬の影響を一切受けていない。)。
つまり,平成21年4月24日北里大学病院整形外科入院前は「右化膿性膝関節炎」ではなかったのである
8.平成21年4月24日採取関節液性状を見た他院整形外科医らは全員一致で、「透明でありただの水。」「ただの水であり化膿性ではない。」と診断した。なお、慢性の滑膜炎に因る炎症細胞により糖を消費した。糖値は有用な情報ではない。
9.主治医UKは「退院後の治療がどうなっているのかが分からない」と証言したが、平成21年6月11日受持医HNは、筆者らに「右化膿性膝関節炎は良くなっている。右膝MRSA感染の予防を目的としてザイボックスを服用し続ける必要がある。と説明した。同趣旨同日カルテ記載のとおりである。そのため、ザイボックス薬袋に記載のあるとおりザイボックスは平成21年6月24日分まで処方されていた。治療方針を決定する立場にあった主治医UKが、「退院後の治療」について分からないはずがない。前記診療情報提供書(同上)に主治医UKの記名押印があることからも明らかである。
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平成21年6月10日バンコマイシン投与終了 
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第13 拷問・非人道的行為
1.第2回目手術(平成21年5月1日午後11時45分~2日午前4時45分)直後の午前4時50分頃から午前9時頃まで、北里大学病院整形外科看護師Y(名不詳)及び看護師O(名不詳)は筆者を床上約160cmの高さに設置した担架状様に放置した。
担架状様はぐらついており不安定であった。外部との連絡手段は傍らの柱に装着した受話器(床上約150cmに設置)のみであった。当該小部屋にはベッドはなくナースコールもなかった。
2.「術直後から持続洗浄を実施しなければ、右膝関節内の菌が全身を駆け巡り死に至る。」と説明していた主治医UK自身が術直後から持続洗浄を実施しなかったのである
医師が患者を治療せず放置したことは到底理解できる事案ではなく、何らかの目的があったと推認する
第2回目手術終了直後手術室から出た時、看護師Yが単独かつ片手で軽々とベッドを押していた。
持続洗浄一式(ポータブル持続洗浄機器・電源装置・排液瓶等)をベッドに搭載しておらずベッドに重量感が全く無かったからである。
右膝には持続洗浄用の2本のチューブが装着されておらず、持続洗浄を実施することは完全に不可能である。持続洗浄用の生理食塩水ボトルパック1リットルも当然に無かった。
右膝にチューブが装着されていなかったので持続洗浄を実施していないことを筆者及びその家族ら計4名が確認している。筆者の高齢の家族らは前夜からの泊り込みであったため疲労が重なっており、また、主治医UKの「手術は無事成功しました。」との言辞を信じ帰宅した。
3.床上約160cmの高さに設置した担架状様に放置された筆者は、看護師Y及び看護師Oに「持続洗浄を実施して下さい。持続洗浄を実施しなければ右膝内の菌が全身を駆け巡り死に至ると説明がありました。死にたくないです。ここから落ちると危ない、怖い。ベッドに寝かせてください。」と訴えた。
しかし、看護師Yは筆者に、「持続洗浄は実施しない。治療しないことになっている。タダトモでしょ。治療の対象になっていない。ベッドに寝かせない。」と言明した。看護師Oも同様の返答をした。
筆者が「死の恐怖」を訴えたことに対し、看護師Yは「どうでもいい。」と吐き捨てるように言った。
同日午前9時頃、床上約160cmの高さに設置した担架状様からベッドに降ろされる時、看護師Y又は看護師Oいずれかの看護師が筆者の顔面に「白い布」を被せたので視界が遮られた。病室までの経路は不明であるが、途中、非常扉を開けるような音及びいずれか一方の看護師の靴音が(非常階段に響くように)反響していた。なお、筆者は恐怖のあまりこの「白い布」を取り除くことを躊躇した。
上記担架状様が設置された小部屋にいる間、午前6時頃病棟に流れるアナウンスを筆者は聞いていないことから、6Fにいるものの、病室のある病棟とは隔絶された場所に放置されていたと推測する。
同日午前9時頃病室に戻された筆者は、E看護師に前記事実を伝えた。E看護師は筆者の話を聞いた後、無言で病室を飛び出して行った。暫くして看護師Yが、「だってタダトモでしょ。タダにはやってられない。」と大声で話すのが聞こえた。前記事実につき北里大学病院から謝罪はなかった。
4.平成21年5月2日CRP:29.36、ARDS(急性呼吸促迫症候群:致死率50%超)を発症し、術直後の瀕死とも言える患者をベッドに寝かせずに、床上約160cmの高さに設置した担架状様に放置した上、必須の治療を受けさせないことが、日本において行われていたことは驚愕である。
5.当時、筆者は無職であり将来に対する不安から精神科を受診し「うつ病」と診断され、医療費が無料であった。看護師Yの「タダトモ」とは当時のプロバイダCMから「無料」を意味すると思われる。
つまり、北里大学病院整形外科では、「医療費無料」の筆者は「治療の対象とはならなかった。」ということである
6.第2回目手術直後から約4時間もの間、死亡しても構わないとして主治医UKが必須の持続洗浄を実施せず、また、看護師Yや看護師Oらが「落下の恐怖」や持続洗浄を実施しないことに因る「死の恐怖」に曝露させ続けた。
主治医UK、看護師Y、看護師Oらの行為は、拷問であり非人道的行為であり「医療の名」に値しない
7.患者が死亡しても構わないとして治療をしない事件に関する最高裁判所判例は見当たらない。
筆者は判例のない法律解釈につき最高裁判所の判断の必要性を主張し上告受理申立理由書に明記したが、最高裁は上告審として受理しない決定をした。これは、患者が死亡しても構わないとして治療しないことを認容する判断である。
8.精神科受診による医療費無料の患者以外にも医療費無料の患者は存在する。医療費無料の患者が全て治療の対象にならないとは考えられない。
しかし、最高裁の上記判断には、「うつ病患者は正規に対応する必要はない。」との排除理論が背景にあると思われる。
平成21年6月10日受持医HNは転院先を「相模台病院」と決定し、翌日6月11日受持医HNは、「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」宛診療情報提供書(2009(平成21)年6月11日付)を発行した。
また、情報用紙には、「6/10 今后 さがみ台HOSPへ転院push予定!」と明記がある。
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)にて、受持医HNは、「精神科の備わっている病院がいいのではないかということで、病院を探すことになりました。」と証言し、転院先を「相模台病院」としたことについて、受持医は、「はい。」と証言した。
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相模台病院精神科は、閉鎖病棟(69床)、解放病棟(20床)である(平成23年時点)。
平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であり治療が終わっておらずバンコマイシンを継続投与すべき時期であり同剤を継続投与しなかったことが右膝障害の原因であると主治医UKが証言している以上、転院先を「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」と決定したことは不適切であり転医義務違反である。
これについて、原審(東京地裁)は事実誤認に基づく誤判をし、控訴審(東京高裁)は判断を遺脱した。
筆者は、上告受理申立理由書に「判断の遺脱」を記載し、また、上告理由書に受持医HNが筆者の同意なく強制的に転医先を「相模台病院精神科閉鎖病棟」又は「相模台病院精神科」と決定したことは、自己決定権の侵害であることを主張した。しかし、最高裁は上告審として受理せず、また、上告を棄却した。
平成21年6月11日時点は右膝MRSA感染中であった筆者の転院先が「精神科」であることを不適切であると判断せず、かつ筆者の同意なく整形外科医が「精神科入院」を強制的に決定し精神科宛に診療情報提供書(2009(平成21)年6月11日付)を発行したことを不適切であると判断せずこれが判決として確定した。
最高裁の精神科受診患者に対する偏見・差別を強く示唆するものである。
後述するとおり、横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛、横浜第二検察審査会(国民の常識)らも同様の考えをもっていると思われる。
9.なお、北里大学病院医療過誤について、北里大学病院入院中のカルテ記載や診療録を提示しながら、筆者は複数の医師らに相談してきた。
うつ病」とのカルテ記載を見た整形外科医、精神科医、内科医らは筆者に「うつ病ではない。うつ状態である。」と診断した。
第14 菅野雅之裁判長の訴訟指揮
1.東京地裁民事第30部菅野雅之裁判長訴訟指揮について、弁護士らは、「北里大学病院だけでなく、前医や後医を含めて審理の対象とするのが通常である。訴訟指揮は菅野雅之裁判長にあるが、前医や後医を審理の対象としないことはおかしい北里大学病院だけでなく前医や後医を含みトータルで損害賠償金を得るのが通常である。」と指摘した。
2.菅野雅之裁判長は弁論準備手続きを一切実施せず、審理が尽くされることはなかった。
第1回口頭弁論から第8回口頭弁論まで菅野雅之裁判長 訴訟指揮、
第9回口頭弁論から第10回口頭弁論(証人尋問実施)まで本多知成裁判長 訴訟指揮、
第11回口頭弁論にて本多知成裁判長 判決言渡し。
3.菅野雅之裁判長の指示により、争点整理案を作成することになった。平成25年12月16日第4回口頭弁論期日において、裁判所(東京地裁)が争点整理案を作成し双方に渡すとの説明があり、同期日のプロセスカードにも同趣旨の記載がある。
ところが、争点整理案は裁判所からではなく、被告代理人弁護士から筆者にメール添付にて送信された。
この点につき、筆者は弁護士らに被告代理人弁護士から送信された争点整理案を提示し相談した。当該争点整理案を見た弁護士らは、「争点整理案は裁判所から原告・被告双方に送信される。裁判所が被告代理人弁護士に迂回させて送信するのはおかしい。菅野雅之裁判長に裁判所から直接送信するように訴えた方がいい。」と返答した。
そこで、法廷にて筆者は菅野雅之裁判長に「争点整理案を被告代理人弁護士からではなく裁判所から直接メール添付送信して頂きたいです。」と訴えた。
これに対し、菅野雅之裁判長は筆者に「メール送信には時間とお金がかかる。」と返答し、結局、裁判所から直接筆者に争点整理案・争点整理メモが送信されることはなかった。
菅野雅之裁判長の「メール送信には時間とお金がかかる。」との言辞は不可解であり、侮蔑した返答との単純問題ではないと思われる。
4.裁判所の職務怠慢
主治医UKが、「どこかでされた注射で(MRSA)感染した可能性が一番高いと思っています。」と証言し、かつUK自身の陳述書に記載した、存在しない「架空の病院」(茅ケ崎病院整形外科)における「架空の診断」(両変形性膝関節症)に基づく「架空の治療歴」(関節穿刺数回)が、最高裁にて右膝MRSA感染経路特定として判決として確定したことについて、これを実際に見た全ての医師及び弁護士らは全員一致で、「あり得ない。聞いたことがない。」と返答した。
医師らは、「裁判所が事実確認をしなかったことは重大な問題であり、職務怠慢である。こんなこと(架空)がまかり通ることは聞いたことがない。」と返答した。
弁護士は、「(筆者が)平成20年12月整形外科を受診した事実がないことを主張しているのであるから、同年同月の保険証を確認し整形外科受診歴の有無を確認すれば済む話である。これは裁判所の仕事である。こんなこと(架空)がまかり通るのは聞いたことがない。あり得ない。」と返答した。また、他の弁護士は、「信じられない。」といった様子で無言になってしまった。
第15 裁判官の不審な言動
1.受持医HNに自己紹介する本多知成裁判長
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)において、受持医HNの証人尋問の冒頭、まず、本多知成裁判長が受持医HNに、「裁判長の本多です。」と自己紹介した。受持医HNは無言で対応した。一方、主治医UKには「自己紹介」しなかったので、受持医HNに対する同裁判長の言動は不可解であった。
なお、本多知成裁判長の上記言辞は受持医HN証人尋問調書に記載がない。
2.被告代理人弁護士に注意され、動揺し謝罪する原彰一裁判官
平成26年12月18日東京地裁民事第30部法廷(同上)において、原彰一裁判官(左陪席)が受持医HNに尋問した際、被告代理人弁護士2名の内1名が、原彰一裁判官に向かって、「その質問はしないことになっているっ!」と強い口調で注意した。
これに対し、原彰一裁判官は動揺し当該弁護士に、「すみません。」と謝罪した上で、当該尋問を止めた。不審な事象であり裁判に疑問をもつ事案であった。
なお、同代理人弁護士と原彰一裁判官との応答は受持医HN証人尋問調書に記載がない。
北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅱ章につづく。